こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『腹横筋トレーニングの方法~低負荷から高負荷まで~』について解説させていただきます。
腹横筋とは腹筋群の最深部にある筋肉でコルセットのような走行をしている筋肉です。
アスリート・スポーツ選手のトレーニングや、腰痛予防・治療、脳卒中におけるリハビリテーションにおいて注目されている筋肉です。
腹横筋は、体の中心部を支えるコアマッスルを構成する筋肉ともされており、腹横筋が上手く活動し、体幹が安定することで、体のパフォーマンスがよくなったり、身体の動き(特に末梢部分)がよくなったりします。
腰痛においては、腰椎が安定することで腰痛が軽減したり、腰椎の前彎姿勢が改善し、椎間関節性腰痛や脊柱管狭窄症の症状が軽減することがあります。
『腰部脊柱管狭窄症に対する運動療法の効果は?~腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2021 改定第2版より~』
●コアマッスル:
上部・・・横隔膜
側部・・・腹斜筋、腹横筋
背部・・・多裂筋
腹部・・・腹横筋
下部・・・骨盤的筋群
腹横筋の機能解剖
起始:
・第7-12肋骨の肋軟骨の内面
・胸腰筋膜の深葉
・腸骨稜の内唇
・鼡径靭帯の外側
停止:
腹直筋鞘の後葉、白線
作用:
・片側:体幹を同側に回旋する
・両側:呼気に働き、腹部の緊張を維持する(腹圧負荷)
神経支配:
肋間神経(T5-T12)、腸骨下複神経、腸骨鼡径神経、陰部大腿神経
腹横筋はドローイン(draw in)といい、腹部を引き下げる(ひっこめる)ようにすると腹圧が高まり、腰椎が後彎し、腹横筋が収縮します。
腹横筋トレーニング:軽負荷
上記の左図ではドローインでの腹横筋トレーニングを提示しています。
ドローインでのトレーニングは軽負荷で初歩的な腹横筋トレーニングになります。
背中側に手やタオルなどを入れ、押し付けるようにすると腹横筋が収縮しやすくなります。
ドローインが可能になればレベル1→レベル2→レベル3と段階的に負荷を上げていきます。
ドローインしながらの下肢の運動をすることで、体幹と末梢の筋を分離した活動ができるようになります。
体幹と末梢が分離できず同時収縮してしまうと良いパフォーマンスが発揮できません。
この際に呼吸が止まっていないか確認します。
呼吸が止まっていると腹横筋と横隔膜が同時収縮しており、分離した活動ができていないということになります。
上肢の挙上は腹横筋に対して遠心性収縮の形態を促進するため、筋活動が高まります。
上記の右図ではドローインを立位で行っています。
立位でドローインをすると体幹筋の中でも腹横筋が選択的に収縮できると下記の書籍で報告されています。
【参考書籍・論文】
(Takaki S,et al:2010)
『腰痛の病態別運動療法 体幹機能向上プログラム』編集:金岡恒治 文光堂
◆腹横筋トレーニング:中負荷
バランスボール(直径40㎝か45㎝くらい)を膝の裏(膝窩)で挟み、持ち上げることで、腰椎が後弯し、強烈に腹圧が高まります。
比較的腹横筋の収縮は強いトレーニングになります。
10回~20回行うだけでも疲れるトレーニングです。
上記の腹横筋トレーニングは下記の論文で紹介されているものを参考にしました。
実際は背中に設置した圧センサーを40mmHgになるようドローインさせた状態で上記のようなトレーニングをすると腹横筋が収縮することが報告されています。
このトレーニングでは段階的にエアスタビライザー(バランスディスク)を使用し不安定な環境にしたり、足部に重錘を巻いてトレーニングしていくことで負荷が高くなります。
注意事項は体幹筋や腹横筋の筋活動が低い方はバランスを崩し転倒しやすいので、近くで誰かがサポートできる環境で行う必要性があります。
【参考論文】
『座位での有効な腹横筋トレーニングの検討-超音波診断装置による筋厚を中心に-』
(村上 幸士.理学療法学.2010)
腹横筋トレーニング:高負荷
上記のトレーニングはパピーポジションといい、腹臥位(うつ伏せ)の状態から腹部を持ち上げ肘・前腕で体重を支えます。
この時、両膝は床に接地している状態で大丈夫です。
パピーポジションの状態から上下・左右・円運動を行うとかなり高負荷の腹横筋トレーニングになります。
この際、両膝も床から離して運動すると負荷量がさらに高くなります。
上記のトレーニングはパピーポジションの状態から膝をお腹に近づけるように、脚を交互に動かします。
このトレーニングは下記のプロのサッカープレイヤーである長友選手の書籍に掲載されていたトレーニングを参考にしております。
今回は、『腹横筋トレーニングの方法~低負荷から高負荷まで~』について解説させていただきました。