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『変形性膝関節症にステロイド注射は効果があるの?~変形性膝関節症診療ガイドライン2023~』

一般の方向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、

について解説させていただきます。



変形性膝関節症は、主に加齢の影響で膝の軟骨がすり減り、膝に強い痛みを生じる病気です。病気が進行すると痛みは強くなる傾向にあり、日常生活に大きな影響を及ぼすようになります。

変形性膝関節症の主な原因は、関節軟骨の老化、肥満やO脚変形、怪我や病気などが挙げられます。特に、加齢により軟骨を作る細胞(軟骨細胞)の働きが衰えることが主な原因とされています。

治療は症状の程度によりますが、痛み止めの内服薬や外用薬、膝関節内にヒアルロン酸の注射、大腿四頭筋強化、関節可動域改善などの運動器リハビリテーション、膝を温めたり、電気治療、超音波治療などの物理療法などが行われます。

症状が進行してもこれらの治療で改善しない場合は、手術治療も検討されます。

その中でも膝関節にステロイド注射を行っている方もいらっしゃると思います。

その効果については気になるところですね。



◆ステロイド膝関節内注射とは

変形性膝関節症に対するステロイド関節内注射は有用であるが短期的効果のみであり、頻回の投与や長期間の使用は避けるべきであるといわれています。

〔ステロイド膝関節内注射の効果〕

●痛みの緩和: ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、ヒアルロン酸注射に比べ即効性があります。

●炎症の抑制: 軟骨の擦り減りによる滑膜の炎症を抑えるので、鎮痛効果も期待できます。

◆変形性膝関節症にステロイド関節内注射は有用か?

変形性膝関節症診療ガイドライン2023の中で

『変形性膝関節症にステロイド関節内注射は有用か』という項目がありましたのでご紹介いたします。

世界中の9論文から効果を検証しております。

【推奨文】

変形性膝関節症に対するステロイド関節内注射は有用であるが短期的効果のみであり、頻回の投与や長期間の使用は避けるべきである。

・推奨度2:弱い(実施することを提案する)

・合意率:79%

・エビデンスの強さC :効果の推定値に対する確信は限定的である

ステロイド注射の除痛効果に関しては、注射後数週間はステロイド注射群が、プラセボ関節内注射群(偽薬)より有意に高いが、長期的には効果は低いという報告があるようです。

ステロイド関節注射の優位性を示す報告とプラセボ注射(偽薬)と同等であるという報告が混在しており、ステロイド関節内注射はプラセボ関節内注射に対する優位性は示されなかったようです。

機能改善に関する解析では、経過観察期間が2年や12週の報告があるが、ステロイド関節内注射の優位性は示されなかったようです。

ADL(日常生活動作)に関する解析では、ステロイド関節内注射の優位性は示されなかったようです。

合併症に関しては3論文が該当しており、注射部位の痛み、腫脹、紅斑および顔面紅潮、高血圧などを認めたようです。

糖尿病の発生はなかったようです。

ステロイド関節注射による化膿性関節炎やステロイド関節症の報告があるが、論文で行われるような単回および数回の注射ではそのような報告例は化膿性関節炎で29 論文中1例であり、稀であるようです。

MRIを用いて評価では関節内注射後の軟骨容量の減少を評価しでおり、注射後2年でステロイドは0.21 mm、プラセボ(偽薬)は0.10 mmとステロイド関節内注射のほうが有意に軟骨容量の減少を認めたようです。

滑膜炎評価では、ステロイド関節内注射後14週と26週で炎症の軽減を有意に認めたようです。



◆まとめ

以上よりステロイド関節内注射による除痛効果、膝関節機能、ADL(日常生活動作)の改善効果は炎症の鎮静化や短期の効果にとどまっているようです。

合併症リスクはプラセボ(偽薬)と比較して高くはなかったですが、ステロイド関節内注射による軟骨損傷、変形性膝関節症進行の危険性があることがわかっております。

したがって、日常診療においてステロイド関節内注射を頻回に行うことや間隔を空けずに使用すること、長期に行うことは推奨されておらず、合併症に注意し、炎症の鎮静化や短期の除痛に限った使用にすべきであるとされています。

今回は、

『変形性膝関節症にステロイド注射は効果があるの?~変形性膝関節症診療ガイドライン2023~』

について解説させていただきました。

 『変形性膝関節症にヒアルロン酸注射は効果があるの?~変形性膝関節症診療ガイドライン2023~』

 『膝の軟骨がすり減ってるから痛い』は間違い?

  『変形性膝関節症に鍼やお灸は危ない?~変形性膝関節症診療ガイドライン2023~』