こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『腰部脊柱管狭窄症のリハビリの方法!!』について解説させていただきます。
腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が狭くなって、中を通る神経や血管が圧迫され、血流が悪くなり、腰や脚の痛みやしびれが起こる症状とされています。
特に高齢者に多い疾病になっています。
「腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2021 改定第2版」には以下のようなことが記されています。
・運動療法は効果的であるが、運動療法の具体的な方法は確立されていない。
今回は2007年に日本で報告された論文をもとに、具体的な運動療法の方法をご紹介いたします。
『腰部脊柱管狭窄症に対する運動療法の効果は?~腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2021 改定第2版より~』
◆腰部脊柱管狭窄症の特徴
・60歳以上の高齢者
・腰、下肢痛やしびれ
・前屈で症状緩和
・後屈で症状悪化
・間欠性跛行
などが挙げられております。
◆腰部脊柱管狭窄症に対するリハビリの効果の論文
「馬尾性間欠性跛行に対する運動療法の効果」
【林 典雄:日本腰痛会誌,13(1),2007】
・腰部脊柱管狭窄症と診断され、3ヵ月以上継続する馬尾性間欠跛行を主訴の方に、運動療法を実施した23症例(平均年齢71.9±9.4歳、男性16例、女性7例)の報告です。
・23例中22例(95.7%)でThomasテスト、PLFテスト、Oberテスト(変法)が陽性であった。
要するに、股関節の伸展制限(腸腰筋・大腿筋膜張筋のタイトネス)と腰椎後彎可動性の低下があるということになります。
PLFテストとOberテスト変法については下記でご紹介しております。
大腿筋膜張筋、腸腰筋、椎間関節、多裂筋の拘縮除去のリハビリを行ったところ、15例でThomasテスト、PLFテスト、Oberテスト(変法)が陰性化したと記されています。
さらに歩行距離については
・1か月以内に1km以上連続歩行が可能になった症例38.0%
・2か月以内に1km以上連続歩行が可能になった症例33.4%
・3か月以内に平均640m歩行可能になった症例19.9%
・運動療法無効例8.7%
と報告されています。
股関節の伸展制限を改善させて、腰椎前彎位を改善させるリハビリをすると歩行距離が延びることがわかりますね。
◆腰部脊柱管狭窄症(保存療法)に対するリハビリの可能性
腰部脊柱管狭窄症は【解剖学的要因】と【機能的要因】があるとされており、
【解剖学的要因】は骨棘、椎間板の膨隆、椎体の滑り、靭帯の肥厚などで脊柱管が狭窄されている状態であり、運動療法では改善ができないものです。
一方【機能的要因】では腰椎姿勢の改善により脊柱管の狭窄を改善させることが期待できます。
腰椎の機能解剖学では、
腰椎完全屈曲で椎間孔直径19%、脊柱管の容積11%増大
腰椎完全伸展で椎間孔直径11%、脊柱管の容積15%減少
(Adams:spine 5,1980)
すると報告されています。
要するに、腰椎過前彎(腰椎伸展位)姿勢を解消できれば、椎間孔および脊柱管の容積を拡大でき、脊柱管狭窄症状の軽減につながる可能性があります。
◆腰部脊柱管狭窄症のリハビリコンセプト
腰部脊柱管狭窄症のリハビリコンセプトとしては、硬膜外圧を減少させ脊髄内の阻血を改善させることであると考えます。
方法としては、
【腰椎の伸展(前彎)を是正する】
・股関節伸展制限除去
・多裂筋の攣縮除去
・椎間関節の拘縮除去
・腹横筋ex
股関節の伸展制限を改善させ、多裂筋、椎間関節の拘縮除去により腰椎の前彎姿勢を改善できる可能性があります。
・腸腰筋
・大腿直筋
・大腿筋膜張筋
・中殿筋前部線維
・恥骨筋
・長内転筋
などが股関節の屈筋であり、股関節伸展制限の要因となります。
『股関節の可動域制限因子として〇〇筋は最重要!』~長内転筋~
また、腹横筋の収縮は、腹圧を高め、腰椎を後彎させる方向に働きます。
【外側タイプ(椎間孔狭窄)に対して】
椎間孔を拡大させる椎間孔拡大徒手操作を実施後に、大腿神経・坐骨神経を滑走させる運動が有効と考えます。
今回は、『腰部脊柱管狭窄症のリハビリの方法!!』について解説させていただきました。