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『股関節の可動域制限因子として〇〇筋は最重要!』~長内転筋~

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『股関節の可動域制限因子として〇〇筋は最重要!』について解説させていただきます。




早速ですがタイトルにある〇〇筋は長内転筋のことです!

長内転筋は股関節の関節可動域(ROM)制限の因子としてはとても重要になります。

長内転筋は縫工筋、鼡径靭帯とともにスカルパ三角を構成しています。

 

◆長内転筋

起始:恥骨上枝と恥骨結合の前面

停止:大腿骨粗線:粗線中央1/3の内側唇

作用:股関節;内転、屈曲(70°まで)、伸展(屈曲80°以上の時)

    軽度の股関節外旋

    前額面と矢状面における骨盤の安定

神経支配:閉鎖神経(L2-L4)

上記のように股関節内転屈曲作用がありますが、

股関節屈曲70°までは屈曲作用

股関節屈曲80°以上の時は伸展作用

となります。

 



書籍によっては股関節屈曲60°を境に屈曲作用と伸展作用が逆転すると記載のものもあります。

ということは、股関節の内転・屈曲・伸展に作用していますので、逆の発想をすれば、

股関節の外転・伸展・屈曲の関節可動域制限に関与します。

長内転筋だけで3方向の股関節運動を制限することになります。

股関節周辺の怪我や骨折、手術などをすると、長内転筋が筋スパズムを起こし、硬くなりやすくなります。

長内転筋スパズム(硬さ)を起こしやすい疾患

・大腿骨頚部骨折

・大腿骨転子部骨折

・大腿骨転子下骨折

・変形性股関節症

・股関節唇損傷

・人工骨頭置換術後

・人工股関節全置換術(THA)後

など

 



◆長内転筋スパズムを起こす原因

・手術、怪我の影響

大腿外側に術侵襲のある手術により、大腿外側の筋力低下を起こす、

・疼痛回避姿勢の持続

・股関節包の前内側損傷

などが挙げられます。


 

 

・手術の影響

大腿外側に術侵襲のある手術により(股関節手術のほとんどが外側に術侵襲)、大腿外側の筋力低下を起こすことで、股関節内側の筋活動が高まります。

外側の筋力が低下し、内側が筋活動が高まるため、筋のインバランスが生じ、長内転筋の筋スパズムが生じることが考えられます。

・疼痛回避姿勢の持続

怪我や手術等で安静期間がある場合、臥位で安静にする時間が増えると思います。

股関節のゆるみの肢位(安静肢位、LPP:loose-packed position)は細かな誤差はありますが、だいたい股関節屈曲30-65°、外転15°、外旋15°と言われています。

この状態で、下肢の挙上や、下肢の運動を行うと、長内転筋が導入されやすくなり、長内転筋の筋スパズムが生じることが考えられます。

   



・股関節包の前内側損傷

股関節の周囲の骨折や損傷などにより、股関節包を損傷することがあります。

股関節包には3つの支配神経が存在し、股関節包前内側部は長内転筋に関連する閉鎖神経が支配しています。

股関節包前内側部を何らかの形で損傷すると、閉鎖神経の反射により長内転筋が筋スパズムを生じることが考えられます。

★股関節包の神経支配

・前外側部→大腿神経支配→腸腰筋、縫工筋、恥骨筋、大腿四頭筋

前内側部→閉鎖神経支配→長内転筋、大内転筋、薄筋

・後方部→坐骨神経支配→ハムストリングス、大内転筋

 



◆長内転筋の硬さチェック

股関節外転の参考可動域は45°であるため、骨盤・腰椎の代償(前彎・前傾)なく90°開脚できれば正常(股関節内転筋全般の硬さをチェックしてます)

 

◆長内転筋のストレッチ

長内転筋のストレッチやリラクセーションは様々な方法がありますが、これはごく一例になります。

膝立て(股関節屈曲60°)の状態から開排させると長内転筋のストレッチになります。

逆にストレッチ肢位から膝立てのポジションに戻すと起始・停止が近づき長内転筋のリラクセーション(弛む)効果が得られます。

 

ちなみに膝立ての状態から開排させると大腿内側部で一番張りが強く触れる筋肉が長内転筋です。

長内転筋の硬さがとれれば、股関節の外転・屈曲・伸展の関節可動域が改善します。

股関節の関節可動域を改善させる際には長内転筋にも着目してみて下さい。

今回は、『股関節の可動域制限因子として〇〇筋は最重要!』について解説させていただきました。

 



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