こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『股関節可動域を拡大させるため有効な頚部軸屈曲を知ってますか?』について解説させていただきます。
股関節屈曲関節可動域練習中に
股関節の前面が詰まって痛い(インピンジメント)
殿部の伸張痛が強い(術後など)
を経験することはありませんか?
特に人工股関節全置換術(THA)や、大腿骨頚部骨折/大腿骨転子部骨折を受傷されて、人工骨頭置換術やCHS(Compression Hip Screw)、ハンソンピンやγネイルをはじめとするSFN(Short Femoral Nail)などの手術後に上記のような現象がよくあります。
◆大腿骨頚部軸屈曲(回旋)
そんな時に、大腿骨頚部軸に沿って屈曲を行うと股関節前面のインピンジメント(臼蓋前面と軟部組織)や殿部の伸張痛を軽減させた状態で股関節関節可動域練習(ROMex)を実施できます。
この大腿骨頚部軸に沿って屈曲させる方法を『大腿骨頚部軸屈曲』または『大腿骨頚部軸回旋』と近年は言われています。
この大腿骨頚部軸屈曲の良いところは、後方アプローチによる人工股関節全置換術(THA)や人工骨頭置換術後にもあります。
後方アプローチによる人工股関節全置換術(THA)や人工骨頭置換術後のリハビリでは股関節屈曲・内転・内旋肢位や股関節過屈曲は脱臼肢位となりますが、大腿骨頚部軸屈曲では脱臼しませんので、安全に股関節屈曲(頚部軸での)の関節可動域を拡大できます。
頚部軸に沿って股関節を運動させる「屈曲」なの「回旋」なのか、確かに表現が難しいところではあります。
似たような運動学で肩関節では『肩甲骨面挙上』というものがあり、こちらは広く広まっていると思います。
肩甲骨面に合わせて上肢を挙上していく運動学ですが、屈曲や外転と挙上の面が少し違います。
この肩甲骨面挙上は骨形態学的に肩が違和感なくスムーズに挙上できる運動学となっております。
股関節での大腿骨頚部軸屈曲(回旋)は、肩のように「挙上」といった表現で屈曲でも外転でもない表現をできますが、股関節に関しては良い表現方法がないので、「屈曲」か「回旋」か言葉表記が難しくなっております。
大腿骨頚部軸屈曲も肩甲骨面挙上と同じように、股関節屈曲する際に骨形態学的に違和感なくスムーズに運動が行える運動学となっております。
具体的には股関節の頚体角に合わせて屈曲していくのが正しい大腿骨頚部軸屈曲になっております。
◆大腿骨頚体角
大腿骨頚体角について、正常は125°と言われています。
頚体角を角度計(ゴニオメーター)で測定してもよいのですが、頚体角を調べる指標があります。
上の図のように、
・上前腸骨棘と恥骨結節を結んだ中点
・大転子下端から2横指下
この2点を結ぶとだいたい頚体角のラインになります。
この方法で頚体角のラインがわかれば、このラインに沿って股関節屈曲を行い、大腿骨頚部軸屈曲を行います。
この方法(股関節頚部軸屈曲)で股関節屈曲の関節可動域練習を進めれば、股関節可動域(ROM)や日常生活動作(ADL)を拡大しやすくなると思われます。
今回は、『股関節可動域を拡大させるため有効な頚部軸屈曲を知ってますか?』について解説させていただきました。
『変形性股関節症(OA)における発症の危険因子と進行の予測因子』
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