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『徒手療法の手技(種類)一覧をまとめて解説』

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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

について解説させていただきます。      



           

徒手療法については日本理学療法士協会により、2011 年に理学療法診療ガイドライン第 1 版に徒手的理学療法として掲載されている。

徒手的理学療法は徒手理学療法 manual physical therapy:MPTとも記されます。

 徒手理学療法は、セラピストの手(hand)を用いた直接的理学療法手技の総称であり運動療法に含まれています。

広義の意味では徒手的関節可動治療、徒手的伸張運動、徒手抵抗運動、治療マッサージ、PNF 手技、動作介助やハンドリングもこの範疇に含まれます。

狭義にはモビライゼーション、マニピュレーション、スタビライゼーション,神経系による運動制御を図るモーターコントロールが代表的な手技である。

モビライゼーションは 徒手理学療法 の一治療手技であり、筋モビライゼーション、神経モビライゼーション、軟部組織モビライゼーション、関節モビライゼーションなどがあります。

【参考】板場英行:理学療法学 第 43 巻第 3 号 263 ~ 272 頁.2016 年



◆ノルディックコンセプト(カルテンボーン-エビエンスコンセプト)

(Nordic concept)(Kaltenborn-Evjenth concept))

ノルウェーの理学療法士であるカルテンボーン氏が発展させた学派で、日本では日本理学療法士協会から徒手療法のスタンダードとして認められているコンセプトです。日本運動器徒手理学療法学会にて認定コースを受講することができます。

後にEvjenth氏のストレッチング・筋力強化・協調性トレーニングなども取り入れており、Kaltenborn-Evjenth systemとも呼ばれます。

Kaltenborn-Evjenth conceptは関節、神経、筋肉系の包括的な生体力学的評価と個々の機能能力に基づいた治療と訓練システムです。

以下に、Kaltenborn-Evjenth conceptの主な特徴をまとめてみます:

1,関節の評価と治療に対する並進のアプローチ:Kaltenborn-Evjenthコンセプトでは、可動域と運動の質を評価するために、回旋運動(骨の運動)に加えて、並進運動(副運動)を行います。

2,凹凸の法則:Kaltenborn-Evjenthコンセプトの基本的な理論の一つです。

3,関節のポジショニングと運動への3次元アプローチ:Kaltenborn-Evjenthコンセプトが発展させた理論とテクニックの一つで、関節モビライゼーションを用いた治療の体系を示しています。

また、Kaltenborn-Evjenthコンセプトは、Evjenthと協同して、関節だけでなく、軟部組織治療と局在診断の手法を確立し、より安全で効果的な治療の確立に貢献しています。

なお、Kaltenborn-Evjenthコンセプトの国際セミナーは日本でも開催されており、基礎コース49日間、上級コース34日間を受講し試験に合格するとOMPT-diplomaを取得できるようです。このように、Kaltenborn-Evjenthコンセプトは理学療法の一つとして、その理論と実践を通じて、患者の機能改善に寄与しています。

コース終了には大変な時間と労力、金銭がかかります。徒手療法手技の中では最も時間を要し、お金もかかると言われています。

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◆マリガンコンセプト(Mulligan concept)

1970年代にニュージーランドの理学療法士 Brian Mulligan が発展させた徒手療法のテクニックの1つですマリガンテクニックは理学療法士協会でも主催で開催されております。日本の講習会では、上半身編・下半身編として各3日間にわたって開催され、計6日の講習でコンセプトの全体を網羅します。

参加するとテクニックで使用する専用バンドがもらえたり、セルフエクササイズ用のアイテムが購入出来ます。

マリガンコンセプトの最大の特徴は、臥位だけでなく座位や立位で自動運動を伴いながらのモビライゼーションを行なう点にあります。また、セルフエクササイズも重要視する点が特徴的です。マリガンは、マリガンコンセプト以外の理学療法も同時に用いることを推奨しています。

以下に、マリガンコンセプトの主な特徴をまとめてみます:

1,自動運動を伴うモビライゼーション:

マリガンコンセプトの最大の特徴は、臥位だけでなく座位や立位で自動運動を伴いながらのモビライゼーションを行なう点です。

2,即時的効果:

マリガンテクニックは、それが「適応」であり、尚且つ「適切」に用いられた場合は、クライアントの症状を直ちに改善させることが期待できます。

3,セルフエクササイズの重視:

マリガンコンセプトが「テクニックの適応を見出し、適切な手技を実施すれば直ちに機能を改善する事が出来る」といった特徴を持っている反面、それは一時的な効果でしかない事も多い点に起因します。そのため、マリガンコンセプトで改善された機能を維持するためには、「クライアントに機能障害の原因を理解してもらい、自ら治療に参加するような働きかけが大切」という視点が大切になります。

このコンセプトの核となるのは

NAGS(椎間関節自然滑走法)、REVERS NAGS(逆椎間関節自然滑走法)、SNAGS(持続的椎間関節自然滑走法)、MWMS運動併用モビライゼーションテクニックは、刺激を加えるor刺激(力学的負荷)を加えた状態で自動運動を実施しすることによって、患者の変化(痛み、可動域など)を評価します。

そして、良い変化が認められた場合には、その刺激を治療として用いて、変化が無ければその刺激は非適用と判断します。

また、マリガンコンセプトは無痛が原則となっており、評価時点で痛みが出てしまう場合も非適用と判断します。


◆マッケンジー法(The McKenzie Method of Mechanical Diagnosis and Therapy)

ニュージーランドの理学療法士 Robin A McKenzie.(マッケンジー)が1950年代に発展させたコンセプトになります。

マッケンジー法は姿勢や動作等のメカニカルな負荷を加えたことで得られる反応に基づいて分類し、その分類に沿ってマネジメントを展開してきます。クライアントの主体性を重要視し、セラピストによる徒手介入はあくまで補助的手段という位置づけになります。

セルフエクササイズや教育中心の治療法であることが特徴的です。

マッケンジー法は、整形外科的な診断名から評価やマネジメントをするのではなく、メカニカルな負荷を加えたことによって生じる症状や反応の変化を的確に捉えて分類し、その分類に沿ったマネジメントを展開していきます。

そして、マッケンジー法では適切なエクササイズ指導や教育をするために、クライアントを下記の4つのSyndromeに分類します。

・Postural syndorome

・Disfunction syndorome

・Derangement syndrome

・OTHER(分類不能)

この分類に用いる主な評価として『問診』と『力学的負荷テスト』があります。

これらに正しく分類するということが重要であり、その分類ができれば治療方針は自然と決まります。

以下に、マッケンジー法の主な特徴をまとめてみます

1,自己管理の重視:

マッケンジー法は、腰痛や首の痛み、手足の痛みなどで悩む人が、自身の問題を自らが主役となって解決すべきであるという哲学です。自助論として、世界中の患者や臨床家から信頼され活用されています。

2,安全で信頼性の高い検査方法:

マッケンジー法の特長の一つは、検査方法が安全で、その結果の信頼性が高いということがあげられます。信頼性の高い結果に基づいて、その人に合った自己管理プランが立てられます。

3,包括的な健康回復・維持のシステム:

マッケンジー法は、確固たる原則、基準に基づいて、初回の検査から再発の予防対策に至るまでを含んだ、本当の意味での包括的な健康回復・維持のシステムです。

4,マッケンジー体操:

マッケンジー法には、マッケンジー体操と呼ばれる、腰部に対して屈曲・伸展刺激を加えるシンプルな体操が含まれています。反復・持続的刺激の2パターンがあり、これらは椎間板・靭帯・関節包・筋筋膜への機械的刺激によって起こる「機械的作用」と「神経生理学的作用」を狙って実施されます。

マッケンジー法は、理学療法などの分野において、最も多く研究の対象とされるものの一つです。このシステムをきちんと理解して活用すれば、非常に高い効果が得られるとされています。



◆パリスコンセプト(Paris concept)

アメリカの国際的に徒手療法の第一人者である Stanley V. Paris(パリス)という理学療法士が発展させた学派で、徒手理学療法研究所が研修会を主催しています。

世界的にも有名な徒手療法であり日本でも広く普及している手技であり、日本徒手療法学会の講習会でコースを受講することができます。

S1~S4までの脊柱・骨盤帯のコース、E1-2の四肢のコース、MF1の筋筋膜のコースで構成されています。

全コースを終了後に、希望者はアメリカで6日間にわたる認定試験を受けることが可能です。

Parisの徒手療法の特徴としては

・脊柱の疼痛の原因として1つの組織に注目するのではなく、解剖学を基に複数の組織が原因となり得ることを認識

・解剖学、運動学から病態を考える

・1963年より脊柱不安定性が疼痛の原因となることについて臨床的に注目

・kaltenborn氏らがすでに述べていた関節運動学を評価に取り入れている

・Cyriaxが述べた終末感覚(end feel)を発展させ評価に取り入れている

・スラストよりも非スラストを強調

・治療手技は多くのものを取り入れている

・疼痛よりも機能不全を重視



 



◆ドイツ徒手医学

DGMSM(ドイツ筋骨格医学会)は発足から60年以上の歴史を持つ治療手技を学ぶ団体です。

ドイツ筋骨格医学会日本アカデミー(DGMSM-JAPAN)主催のコースを受講することで学習が可能なコンセプトです。

WHOから唯一「医学」として認められているコンセプトであり、理学療法大国ドイツでは非常に有名なコンセプトです。

世界的なスタンダードとなっている徒手療法は数多くありますが、唯一『医学』として体系づけられた『ドイツ徒手医学』をDGMSMセミナーシステムに準じて学習、体得して頂けます。認定マニュアルセラピスト講習会を開催しています。

ドイツでは、PT以外に整形外科医もこの徒手医学を学んでいるそうです。ドイツ連邦医師会によると、約1万名の医師も徒手医学を行っており、特に整形外科医に限ってみると7000名中3000名が認定セラピストの資格を取得しているそうです。

DGMSM(ドイツ筋骨格医学会)のカリキュラムは基礎だけでも250を超す治療手技が用意されています。頭の先から手足の先まであらゆる部位を関連付けながら系統的に学ぶことが可能です。




◆メイトランドコンセプト(Maitland concept)

オーストラリア出身のメイトランドという理学療法士が発展させた学派です。

メイトランドコンセプトでは、高いレベルの技術的スキルが要求されるが、技術的スキル自体が全てではなく、患者の評価・治療における論理的思考過程の展開が最大の特徴です。

メイトランドコンセプト検査は主観的検査と客観的検査に分けられます。

最初に、主観的検査を行い、その結果に基づいて客観的検査が行われます。

そして、主観的検査・客観的検査の結果を統合して、治療が決定され、治療結果を再評価し、必要に応じて再検討されます。

治療においては、治療中の症状の変化を問診し、関節可動域の変化、関節可動域内における抵抗、筋スパズムの変化を触知します。治療後、直ちに症状および徴候についての再評価を行い、用いた治療テクニックの有効性を検証します。期待した効果が得られない場合には、その原因について再度検討し、同一テクニックで体位、グレード、リズムなどを変更します。

以上のように主観的検査・客観的検査、評価、治療、再評価を一貫した流れの中で論理的思考過程が展開される。この思考過程を繰り返すことにより治療テクニックの選択および治療進行や予後推定がより正確となり効率的なアプローチが可能となります。



◆AKA-博田法

関節運動学的アプローチ博田法(Arthrokinematic approach-Hakata method)

海外の理学療法学派を参考に、博田節夫医師が日本で独自に発展させた手技になります。

日本の医師や理学・作業療法士の中ではAKA=AKA-博田法と同義で解釈されているので、「博田法」を省略して表現することが多いです。

医師は『日本 関節運動学的アプローチ医学会』で、理学療法士・作業療法士は『日本 関節運動学的アプローチ医学会・理学・作業療法士会』(と医学会の両方)で受講可能です。

AKA-博田法は腰痛の原因が関節の遊び(joint play)の少なさから起こる関節包内運動の制限にあると考えられたものです。

特に仙腸関節の問題が生じると、全身に影響が及ぼされると説明されています。

全身の関節アプローチがありますが、治療の第一選択は仙腸関節の治療を重きにおいてることが最大の特徴であり、その方法はjoint playの改善を行います。

徒手操作には以下の手技があります。

・関節副運動技術

・離解法

・滑り法

・軸回旋法

・関節構成運動技術

・他動構成運動-伸張なし

・他動構成運動-伸張あり

・抵抗構成運動



◆関節ファシリテーション(SJF)

関節ファシリテーション(SJF)は、関節の機能障害というものを改善する目的で、理学療法士の宇都宮初夫先生が提唱した関節包内運動の促通技術です。

 関節ファシリテーション( Synovial Joints Facilitation SJF)とは、「関節運動学(arthrokinematics)に基づく関節内運動および関節の潤滑機構に基づく接近(close)技術を用いて、Mennellの関節機能障害(joint dysfunction)を治療し、自動・他動運動における関節の動きを、量的・質的に改善する運動療法技術である。」(宇都宮初夫RPT)とされています。

宇都宮初夫氏は、博田節夫医師と共同でAKA手技を開発していましたが、理学療法技術を向上させるために、AKAを改良してSJFを開発したとされています。

技術的な面での特徴として、SJFでは接近(close)を用いて関節内の摩擦係数を軽減させて動かしていくところにあります。

そしてSJFでも関連症候領域というものがあり、最も全身に影響を及ぼすのは腰仙関節L5-S1にあるとのことです。

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◆PNF法(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)

固有受容性神経筋促通法(PNF:Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)

医師であり神経生理学者であったHerman Kabatが、Margaret KnottやDorothy Vossといった理学療法士とともに発展させたコンセプトです。

日本PNF協会や日本PNF学会で受講可能であり、日本理学療法士協会が主催している講習会もあります。

PNFの定義は以下になります。

P:Proprioceptive(固有受容性)→体の位置や運動の情報を伝える感覚受容器に働きかける

N:Neuromuscular(神経筋)→神経や筋を含む

F:Facilitation(促通)→動きを容易に

PNF法の治療原則

最適抵抗を加えることで、筋収縮能力の増大・運動制御の向上・運動認識の促進・筋力強化が生じ、多くの動作が強化できるとされています。

PNFテクニックには様々であり以下のような手技があります。

・リズミックイニシエーション(Rhythmic Initiation)

・等張性収縮の組み合わせ(Combination of Isotonics)

・拮抗筋による逆運動(Reversal of Antagonists)

・ダイナミックリバーサル(Dynamic Reversals)

・スタビライジングリバーサル(Stabilizing Reversals)

・リズミックスタビライゼーション(Rhythmic Stabilization)

・反復伸長(Repeated Stretch)

・開始域での反復伸張(Repeated Stretch from Beginning of Range)

・全可動域での反復伸張(Repeated Stretch Through Range)

・ホールドリラックス(Hold-Relax) 

・コントラクトリラックス(Contract-Relax)

・リプリケーション(Replication)


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今回は、『徒手療法の手技(種類)一覧をまとめて解説』

について解説させていただきました。