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『五十肩(拘縮肩)への有効な治療法は?』(肩関節周囲炎)

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『五十肩(拘縮肩)への有効な治療法は?』について解説させていただきます。

 



 『五十肩の最新治療法の効果~サイレントマニピュレーション~』

 『五十肩(拘縮肩)の原因組織は?』

 五十肩はいつ治る?

いわゆる五十肩は医療用語では『肩関節周囲炎』や『拘縮肩』、『凍結肩』と呼んだりします。

五十肩は退行変性(老化)によって肩の組織が傷んできて炎症を起こし、肩関節の関節包が狭小化(狭くなる)が生じて、肩関節痛や運動制限が起こるといわれております。

よって、60歳前後の方は、特にこの五十肩症状になりやすくなってきます。

五十肩の病態としては関節包炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋腱炎、石灰性沈着性腱板炎

など様々です。

五十肩の症状としては肩関節の痛み(運動時痛、夜間痛)と運動制限

大きく2つあり疼痛と運動制限があります。

五十肩は基本的には経過が長くなることが多く、早く完治する方では1~3か月程度で症状が治る方もおられますが、治るまで数年(2年~7年)かかることもあります。

そんな中、2014年に五十肩(拘縮肩)/癒着性関節包炎に有効な理学療法介入を検証している論文が海外で報告されています。

内容が気になるところです。

 



◆論文紹介

 J Back Musculoskelet Rehabil (IF: 0.821; Q2)

. 2014;27(3):247-73.

 doi: 10.3233/BMR-130443.

The effectiveness of physiotherapeutic interventions in treatment of frozen shoulder/adhesive capsulitis: a systematic review

五十肩/癒着性関節包炎の治療における理学療法的介入の有効性:システマティックレビュー

Tarang K Jain 1Neena K Sharma 1

Affiliations expand

Abstract

Background and objective: Frozen shoulder is a common condition, yet its treatment remains challenging. In this review, the current best evidence for the use of physical therapy interventions (PTI) is evaluated.

背景と目的 五十肩は一般的な疾患であるが、その治療は依然として困難である。本レビューでは、理学療法介入(PTI)の使用に関する現在のベストエビデンスを評価した。

Method: MEDLINE, CINAHL, Cochrane, PEDro, ProQuest, Science Direct, and Sport Discus were searched for studies published in English since 2000.

方法は以下の通り。MEDLINE、CINAHL、Cochrane、PEDro、ProQuest、Science Direct、Sport Discusを用いて、2000年以降に英語で発表された研究を検索した。

Results: 39 articles describing the PTI were analyzed using Sackett’s levels of evidence and were examined for scientific rigor. The PTI were given grades of recommendation that ranged from A to C.

結果は以下の通り。理学療法介入(PTI)を記述した39件の論文を、Sackettのエビデンスレベルを用いて分析し、科学的厳密性を検討した。理学療法介入(PTI)には、AからCの範囲で推奨度が与えられた。

Conclusions: Therapeutic exercises and mobilization are strongly recommended for reducing pain, improving range of motion (ROM) and function in patients with stages 2 and 3 of frozen shoulder. Low-level laser therapy is strongly suggested for pain relief and moderately suggested for improving function but not recommended for improving ROM. Corticosteroid injections can be used for stage 1 frozen shoulder. Acupuncture with therapeutic exercises is moderately recommended for pain relief, improving ROM and function. Electro- therapy can help in providing short-term pain relief. Continuous passive motion is recommended for short-term pain relief but not for improving ROM or function. Deep heat can be used for pain relief and improving ROM. Ultrasound for pain relief, improving ROM or function is not recommended.

結論:五十肩のステージ2および3の患者において、痛みの軽減、可動域(ROM)および機能の改善には、治療的エクササイズとモビライゼーションが強く推奨される。低レベルレーザー治療は、痛みの軽減には強く推奨され、機能の改善には中程度に推奨されるが、ROMの改善には推奨されない。コルチコステロイドの注射は、ステージ1の五十肩に使用できる。鍼灸治療と運動療法は、疼痛緩和、ROMと機能の改善には中程度に推奨される。電気治療は、短期的な痛みの緩和に役立つ。持続的受動運動は、短期的な疼痛緩和には推奨されるが、ROMや機能の改善には推奨されない。深部温熱は、疼痛緩和とROMの改善に使用できる。痛みの緩和、ROM や機能の改善のための超音波は推奨されない。

 



◆まとめ

理学療法介入を記述した39件の海外論文を解析した結果をまとめると以下のようになります。

●エクササイズとモビライゼーション→痛みの軽減、可動域(ROM)および機能の改善には強く推奨

●低レベルレーザー治療→痛みの軽減には強く推奨、機能の改善には中程度の推奨、ROMの改善には推奨なし。

●鍼灸治療と運動療法→疼痛緩和、ROMと機能の改善には中程度の推奨。

●電気治療→短期的な痛みの緩和に役立つ。

●持続的他動運動→短期的な疼痛緩和には推奨、ROMや機能の改善には推奨されない。

●深部温熱療法→疼痛緩和とROMの改善に使用できる。

●超音波療法→痛みの緩和、ROM や機能の改善のためには推奨なし。

このような結果となっています。

エクササイズやモビライゼーションといった徒手的治療は痛みや機能障害など全般的に治療効果が高く推奨されているようです。

様々な物理療法に関しては、痛みの緩和に推奨されているものが多いですが、機能障害に対しては推奨レベルが低かったり推奨されないものも多くあります。

よって五十肩(拘縮肩)に対しては物理療法と徒手的治療の組み合わせがいいのではないかと思われます。

今回は、『五十肩(拘縮肩)への有効な治療法は?』について解説させていただきました。

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