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『閉経後の女性においても運動によって骨密度は増加するのか?』

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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『閉経後の女性においても運動によって骨密度は増加するのか?』について解説させていただきます。



骨密度は女性においては、50歳前後から低下するとされており、閉経後、女性ホルモンの分泌低下により、急激に骨密度が減少するといわれています。

骨粗鬆症患者の80%が女性ですが、これらの要因があるからとされています。

一方、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版では、運動介入をすることで、骨密度の上昇(grade A)と骨折の抑制(grade B)につながると報告されています。



そんな中、骨粗鬆症の閉経後女性の適度な歩行運動が、骨代謝に影響を与えるかどうか

を検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果がとても気になるところです。



◆論文紹介

J Bone Miner Metab (IF: 2.63; Q4)

. 2004;22(5):500-8.

 doi: 10.1007/s00774-004-0514-2.

Effect of walking exercise on bone metabolism in postmenopausal women with osteopenia/osteoporosis

骨減少症/骨粗鬆症の閉経後女性における骨代謝に及ぼす歩行運動の影響

Satoshi Yamazaki 1Shoichi IchimuraJun IwamotoTsuyoshi TakedaYoshiaki Toyama

Affiliations expand

Abstract

The purpose of this prospective study was to determine whether moderate walking exercise in postmenopausal women with osteopenia/osteoporosis would affect bone metabolism.

この前向き研究の目的は、骨減少症/骨粗鬆症の閉経後女性の適度な歩行運動が、骨代謝に影響を与えるかどうかを明らかにすることであった。

Fifty postmenopausal women, aged 49-75 years, with osteopenia/osteoporosis were recruited: 32 women entered the exercise program (the exercise group) and 18 served as controls (the control group).

骨減少症/骨粗鬆症のある49~75歳の閉経後女性50名を募集した。32人の女性が運動プログラムに参加し(運動群)、18人が対照者となった(対照群)。

The exercise consisted of daily outdoor walking, the intensity of which was 50% of maximum oxygen consumption, with a duration of at least 1 h with more than 8000 steps, at a frequency of 4 days a week, over a 12-month period. Lumbar (L2-L4) bone mineral density (BMD) was measured at the baseline and every 6 months with dual-energy X-ray absorptiometry (DXA) in both groups. Serum bone-specific alkaline phosphatase (BAP) and urinary cross-linked N-terminal telopeptides of type I collagen (NTX) levels were measured at baseline and at months 1, 3, 6, 9, and 12 by EIA and ELISA, respectively, in the exercise group, and urinary NTX level was measured at the baseline and every 6 months in the control group.

運動は、最大酸素消費量の50%の強度で、8000歩以上、1時間以上の屋外歩行を、週4日の頻度で、12か月間毎日行いました。腰椎(L2-L4)の骨密度(BMD)は,両群とも,ベースライン時と6カ月ごとに二重エネルギーX線吸収法(DXA)で測定した。血清中の骨特異的アルカリホスファターゼ(BAP)と尿中のI型コラーゲンの架橋N末端テロペプチド(NTX)濃度は、運動群ではベースライン時と1、3、6、9、12カ月目にそれぞれEIAとELISAで測定し、対照群ではベースライン時と6カ月ごとに尿中のNTX濃度を測定した。

There were no significant differences in baseline characteristics including age, height, body weight, bone mass index, years since menopause, lumbar BMD, and urinary NTX level between the two groups. Although no significant changes were observed in lumbar BMD and the urinary NTX level in the control group, lumbar BMD in the exercise group was increased as compared with the control group, but was sustained from the baseline. In the exercise group, the urinary NTX level rapidly responded to walking exercise from month 3, and this reduction was sustained until month 12, followed by reduction in the serum BAP level. A moderately negative correlation was found between the percent change in the urinary NTX level at month 3 and that in lumbar BMD at month 12 in the exercise group.

両群間で、年齢、身長、体重、骨量指数、閉経後年数、腰椎BMD、尿中NTX濃度などのベースライン特性に有意な差は見られなかった。対照群では、腰部BMDおよび尿中NTX値に有意な変化は認められなかったが、運動群では対照群に比べて腰部BMDが増加したが、ベースラインからの持続性はなかった。運動群では、尿中NTX値が3カ月目から歩行運動に急速に反応し、この低下は12カ月目まで持続し、続いて血清BAP値も低下した。また、運動群では、3カ月目の尿中NTX値の変化率と12カ月目の腰椎BMD値の変化率との間に中程度の負の相関が認められた。

 



 

◆論文の結論

This study clearly demonstrates that the mechanism for the positive response of lumbar BMD to moderate walking exercise in postmenopausal women with osteopenia/osteoporosis appears to be the suppression of bone turnover, and that an early change in the urinary NTX level may be useful to predict the long-term response of increasing lumbar BMD to exercise, although its efficacy for lumbar BMD may be quite modest.

本研究は、骨減少症/骨粗鬆症の閉経後女性において、中等度の歩行運動による腰部BMDの良好な反応のメカニズムは、骨のターンオーバーの抑制であると思われること、また、尿中NTXレベルの早期の変化は、腰部BMDに対する有効性は極めて低いかもしれないが、運動による腰部BMDの増加という長期的な反応を予測するのに有用であることを明確に示している。

 



◆まとめ

上記論文では、骨粗鬆症の閉経後女性50名(49~75歳)を募集し、運動群32名、対照群18名に振り分けられおります。

運動群は最大酸素消費量の50%の強度で、8000歩以上、1時間以上の屋外歩行を、週4日の頻度で、12か月間毎日行っております。

腰椎(L2-L4)の骨密度(BMD)は、両群ともベースライン時と6カ月ごとに二重エネルギーX線吸収法(DXA)で測定しております。

結果として、対照群では腰部の骨密度(BMD)に有意な変化は認められなかったが、運動群では対照群に比べて腰部BMDが増加したそうです。

またこの論文中の記載では、これらの運動群のような歩行運動が腰椎骨密度を1.71%上昇することが記されています。

以上のことより、これらの論文の結果を踏まえると、骨粗鬆症の閉経後の女性においても歩行運動をすることにより骨密度が上昇することがわかりました。

超高齢社会に突入した我が国、日本においては、骨折予防の観点からも重要な情報でしたね。

今回は、『閉経後の女性においても運動によって骨密度は増加するのか?』について解説させていただきました。