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『心理社会的要因と慢性腰痛は本当に関連があるのか?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『心理社会的要因と慢性腰痛は本当に関連があるのか?』について解説させていただきます。



『1万2000人のうち、腰痛有病割合は〇〇%!腰痛関連因子5つを公表!』

腰痛は筋骨格系疾患の中でもっとも有病率が高い痛み愁訴であり(Vos T,et al.2012)、

高齢者だけでなく若年労働者でも多く発症すると報告されています(Driscoll T,et al.2014)。

就労環境での腰痛の有病率は83%であり、その内の59%は腰痛を有しながら就労を継続している(Fujii T,et al.2013)と言われ、腰痛症状の遷延化により医療費が増加する(Dagenasis S .2008)ともされています。

また、腰痛症状の遷延化により労働生産性が低下する(Tsuboi Y .2018)との報告もあります。

 

そんな中2015年に、心理社会的要因と慢性腰痛との関連性について報告している英論文が報告されています。

内容が気になるところです。

 



◆論文紹介

Ind Health

. 2015;53(4):368-77.

 doi: 10.2486/indhealth.2014-0260. Epub 2015 Jun 6.

Assessment of psychosocial risk factors for the development of non-specific chronic disabling low back pain in Japanese workers-findings from the Japan Epidemiological Research of Occupation-related Back Pain (JOB) study

日本人労働者における非特異的慢性障害性腰痛発症の心理社会的危険因子の評価-職業性腰痛に関する日本疫学研究(JOB)の結果から

Ko Matsudaira 1Mika KawaguchiTatsuya IsomuraKyoko InuzukaTadashi KogaKota MiyoshiHiroaki Konishi

Affiliations expand

Abstract

To investigate the associations between psychosocial factors and the development of chronic disabling low back pain (LBP) in Japanese workers.

日本の労働者における心理社会的要因と慢性的な障害を伴う腰痛(LBP)の発症との関連性を調査する。

A 1 yr prospective cohort of the Japan Epidemiological Research of Occupation-related Back Pain (JOB) study was used.

職業性腰痛の日本疫学研究(JOB)の1年間のプロスペクティブコホートを使用した。

The participants were office workers, nurses, sales/marketing personnel, and manufacturing engineers.

参加者は、オフィスワーカー、看護師、セールス/マーケティング担当者、および製造エンジニアであった。

Self-administered questionnaires were distributed twice: at baseline and 1 yr after baseline. The outcome of interest was the development of chronic disabling LBP during the 1 yr follow-up period. Incidence was calculated for the participants who experienced disabling LBP during the month prior to baseline. Logistic regression was used to assess risk factors for chronic disabling LBP.

ベースライン時とベースラインから1年後の2回、自記式質問票を配布しました。興味のある結果は、1年間の追跡調査期間中に慢性的な障害を伴うLBPを発症したかどうかであった。罹患率は、ベースライン前の1カ月間に障害を伴うLBPを経験した参加者について算出した。慢性的に身体が不自由なLBPの危険因子の評価には、ロジスティック回帰を用いた。

Of 5,310 participants responding at baseline (response rate: 86.5%), 3,811 completed the questionnaire at follow-up. Among 171 eligible participants who experienced disabling back pain during the month prior to baseline, 29 (17.0%) developed chronic disabling LBP during the follow-up period. Multivariate logistic regression analysis implied reward to work (not feeling rewarded, OR: 3.62, 95%CI: 1.17-11.19), anxiety (anxious, OR: 2.89, 95%CI: 0.97-8.57), and daily-life satisfaction (not satisfied, ORs: 4.14, 95%CI: 1.18-14.58) were significant.

ベースライン時に回答した5,310名(回答率:86.5%)のうち、3,811名が追跡調査時にアンケートに回答した。ベースライン前の1カ月間に障害を伴う腰痛を経験した171名の対象者のうち、29名(17.0%)がフォローアップ期間中に慢性的に障害を伴う腰痛を発症した。多変量ロジスティック回帰分析では、仕事へのやりがい(やりがいを感じていない、OR:3.62、95%CI:1.17-11.19)、不安(不安を感じている、OR:2.89、95%CI:0.97-8.57)、日常生活の満足度(満足していない、OR:4.14、95%CI:1.18-14.58)が有意であった。

 



◆論文の結論

Psychosocial factors are key to the development of chronic disabling LBP in Japanese workers. Psychosocial interventions may reduce the impact of LBP in the workplace.

日本人労働者の慢性障害性腰痛症の発症には、心理社会的要因が重要である。心理社会的介入は、職場でのLBPの影響を軽減する可能性がある。

 



◆まとめ

上記論文は日本の労働者における心理社会的要因と慢性腰痛発症との関連性を調査しています。

参加者は、オフィスワーカー、看護師、セールス/マーケティング担当者、および製造エンジニアであり、調査時と調査1年後の2回、自記式質問票を配布しています。

1年間で29名(17.0%)が慢性腰痛を発症し『仕事へのやりがいを感じていない』、『不安を感じている』、『日常生活は満足していない』が関連していた。

また、論文中では『20kg以上の重労物持ち上げ動作が、腰痛の遷延化の危険因子である』ともされていました。

やはり、心理社会的要因と慢性腰痛は本当に関連があるようですね。

今回は、『心理社会的要因と慢性腰痛は本当に関連があるのか?』について解説させていただきました。