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『五十肩(拘縮肩)へのモビライゼーションに温熱療法の併用は効果的か?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『五十肩(拘縮肩)へのモビライゼーションに温熱療法の併用は効果的か?』について解説させていただきます。

『マエケン体操は五十肩、肩こりに効果があるのか?』

 五十肩はいつ治る?



40歳以上の方は経験していることが多くなってきているかもしれませんが、五十肩で肩関節痛に悩まされてる方は多くおられます思います。

五十肩は退行変性(老化)によって肩の組織が傷んできて炎症を起こし、肩関節の関節包が狭小化(狭くなる)が生じて、肩関節の痛みや肩の運動制限が起こるといわれております。

よって、40歳を超えると発症する方が増加し、60歳前後の方は、特にこの五十肩の症状を発症しやすくなります。

五十肩は医療用語では『肩関節周囲炎』や『拘縮肩』、『凍結肩』、『癒着性関節包炎』と呼んだりと様々です。

五十肩の病態としては関節包炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋腱炎、石灰性沈着性腱板炎

など多岐に渡ります。

五十肩の症状としては肩関節の痛み(運動時痛、夜間痛)と運動制限の大きく2つあります。

五十肩は基本的には経過が長くなることが多く、早く完治する方では1~3か月程度で症状が改善する方もおられますが、治るまで数年(2年~7年)かかることもあります。

そんな中、2019年に五十肩(拘縮肩)の治療として、カルテンボーンコンセプトのモビライゼーションに温熱療法を追加すると効果が高まるかを検証する論文が海外で報告されています。

内容が気になりますので見ていきたいと思います。

 



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

J Pak Med Assoc (IF: 0.573; Q4)

. 2019 Oct;69(10):1421-1424.

Comparing the effectiveness of kaltenborn mobilization with thermotherapy versus kaltenborn mobilization alone in patients with frozen shoulder [adhesive capsulitis]: A randomized control trial

五十肩[癒着性関節包炎]患者におけるカルテンボーン・モビライゼーションと温熱療法の併用とカルテンボーン・モビライゼーション単独の効果を比較。無作為化比較試験

Syed Muhammad Hammad 1Aatik Arsh 2Muhammad Iqbal 3Waleed Khan 4Bilal 5Arif Shah 6

Affiliations expand

  • PMID: 31622290

Abstract

Objective: To compare the effectiveness of Kaltenborn mobilization combined with thermotherapy versus Kaltenborn mobilization alone in patients with adhesive capsulitis.

目的 癒着性関節包炎の患者において、カルテンボーン・モビライゼーションと温熱療法の併用とカルテンボーン・モビライゼーション単独の効果を比較すること。

Methods: The randomised controlled trial was conducted at the Hayatabad Medical Complex and Habib Physiotherapy Complex, Peshawar, Pakistan, from January to June 2017, and comprised patients with adhesive capsulitis. The subjects were randomised into two groups. Group A received Kaltenborn mobilisation with thermotherapy, while group B received Kaltenborn mobilisation alone. Shoulder pain and disability index was used to assess the effectiveness of the intervention. SPSS 20 was used for data analysis.

方法 無作為化対照試験は、2017年1月から6月まで、パキスタンのペシャワールにあるHayatabad Medical ComplexとHabib Physiotherapy Complexで実施し、癒着性関節包炎の患者を対象とした。被験者は2つのグループに無作為に分けられました。A群はカルテンボーン・モビライゼーションと温熱療法を受け、B群はカルテンボーン・モビライゼーションのみを受けました。介入の効果を評価するために、肩の痛みと障害の指数を用いた。データ解析にはSPSS20を使用した。

Results: Of the 30 patients, 15(50%) were in each of the two groups. Baseline characteristics were not significantly different between the groups (p>0.05). Pre- and post-treatment Shoulder pain and disability index score of group A was 75.27}5.738 and 12.33}1.988 respectively (p<0.05). Corresponding scores in group B were 73.67}6.137 and 64.13}5 (p<0.05). Group A showed greater reduction in disability compared to group B (p<0.05).

結果 30名の患者のうち、15名(50%)が2つのグループのそれぞれに属していた。ベースライン特性は両群間で有意な差はなかった(p>0.05)。A群の治療前と治療後のShoulder pain and disability index scoreはそれぞれ75.27}5.738と12.33}1.988であった(p<0.05)。B群の対応するスコアは73.67}6.137と64.13}5であった(p<0.05)。A群はB群に比べて障害の軽減が大きかった(p<0.05)。

 



 

◆論文の結論

Conclusions: Kaltenborn mobilisation combined with thermotherapy was found to be more effective than Kaltenborn mobilisation alone in patients with adhesive capsulitis.

結論としては 癒着性関節包炎の患者において、カルテンボーン・モビライゼーションと温熱療法の併用は、カルテンボーン・モビライゼーション単独よりも効果的であることがわかった。

 



 

◆まとめ

上記の論文では五十肩(癒着性関節包炎)の患者30名を、カルテンボーン・モビライゼーション単独15名と温熱療法の併用15名に振り分け、カルテンボーン・モビライゼーション単独の効果を比較しています。

介入の効果は、肩の痛みとdisability index score用いています。

2群ともに治療前と治療後は肩の痛みとdisability index scoreは有意に改善していますが、カルテンボーン・モビライゼーションに温熱療法を併用した群が肩の痛み、disability index scoreの軽減が大きかったという結果になっています。

モビライゼーションの前に温熱療法で組織温度を高めておく方が肩の治療成績を向上するようです。

リハビリ前の待ち時間や治療時間にゆとりがある場合は温熱療法を併用した方が良さそうですね。

今回は、『五十肩(拘縮肩)へのモビライゼーションに温熱療法の併用は効果的か?』について解説させていただきました。

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