こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は股関節、足関節機能と関連があるのか?』について解説させていただきます。
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は1973年にBlazinaら(Orthop Clin North Am.1973)によってはじめて定義されております。
ジャンプや着地、ダッシュ等の動作が頻繁に繰り返され、膝伸展機構(大腿四頭筋―膝蓋骨―膝蓋腱―脛骨結節)に過度の負荷がかかることで引き起こされる慢性障害とされています。
バスケットボールやバレーボールなどの跳躍動作を繰り返すスポーツに多いoveruse syndromeのうちのひとつです。
ジャンパー膝の発症要因としては様々ですが、特に、大腿四頭筋の柔軟性低下や優れた跳躍能力等の特徴がみられることが報告されています(Henk W,et al:Br J Sports Med.2011)。
そんな中、2018年に、アスリートにおける膝蓋腱症(ジャンパー膝)と股関節および足部要因の関連性を調査した論文が海外で報告されております。
この論文の検証結果が気になるところであります。
◆論文紹介
J Orthop Sports Phys Ther (IF: 4.75; Q1)
. 2018 Sep;48(9):676-684.
doi: 10.2519/jospt.2018.7426. Epub 2018 May 23.
Association of Hip and Foot Factors With Patellar Tendinopathy (Jumper’s Knee) in Athletes
アスリートにおける膝蓋腱症(ジャンパー膝)と股関節および足部要因の関連性
Luciana D Mendonça, Juliana M Ocarino, Natália F N Bittencourt, Luciana G Macedo, Sérgio T Fonseca
- PMID: 29792104 DOI: 10.2519/jospt.2018.7426
Abstract
Background Investigations on the causes of patellar tendinopathy should consider impairments at the hip and foot/ankle because they are known to influence movement patterns and affect patellar tendon loading.
概要
背景 膝蓋腱症の原因に関する調査は、動作パターンに影響を与え、膝蓋腱の負荷に影響を与えることが知られているため、股関節と足部/足関節の障害を考慮する必要があります。
Objectives
To investigate hip and foot/ankle impairments associated with patellar tendinopathy in volleyball and basketball athletes using classification and regression tree analysis.
目的 バレーボールおよびバスケットボール選手の膝蓋腱障害と関連する股関節および足部・足関節の障害について、分類および回帰木分析を用いて検討する。
Methods
In this clinical measurement, cross-sectional study, 192 athletes were assessed for impairments of the hip and foot/ankle, including shank-forefoot alignment, dorsiflexion range of motion (ROM), iliotibial band flexibility, passive hip internal rotation ROM, and hip external rotator and hip abductor isometric strength. Athletes with tenderness and/or pain at the inferior pole of the patella were considered to have patellar tendinopathy. Athletes with scores higher than 95 points on the Victorian Institute of Sport Assessment-patella (VISA-P), no pain during the single-leg decline squat, and no history of patellar tendon pain were considered not to have patellar tendinopathy. Classification and regression tree analyses were performed to identify interacting factors associated with patellar tendinopathy.
方法 この臨床測定、横断的研究において、192名のアスリートが、脛骨-前足部アライメント、背屈可動域(ROM)、腸脛靱帯柔軟性、股関節内旋他動ROM、股関節外旋筋および股関節外転筋等尺性筋力などの股関節および足部/足関節の障害を評価された。膝蓋骨の下極に圧痛および/痛みがある競技者は、膝蓋腱症を有するとみなされた。Victorian Institute of Sport Assessment-patella (VISA-P)のスコアが95点以上であり,片足立ちスクワットで痛みがなく,膝蓋腱の痛みの既往がない選手は,膝蓋腱症でないと判断された.膝蓋腱障害と関連する相互作用因子を同定するために、分類および回帰木分析を行った。
Results
Interactions among passive hip internal rotation ROM, shank-forefoot alignment, and hip external rotator and abductor strength identified athletes with and without patellar tendinopathy. The model achieved 71.2% sensitivity and 74.4% specificity. The area under the receiver operating characteristic curve was 0.77 (95% confidence interval: 0.70, 0.84; P<.001). 結果 他動股関節内旋ROM、脛骨-前足部アライメント、股関節外旋筋・外転筋力の相互作用により、膝蓋腱症の有無が特定された。このモデルは感度71.2%、特異度74.4%を達成した。ROC曲線(受信者動作特性曲線)下面積は0.77(95%信頼区間:0.70、0.84、P<.001)であった。
◆論文の結論
Conclusion Impairments of the hip and foot/ankle are associated with the presence of patellar tendinopathy in volleyball and basketball athletes. Future studies should evaluate the role of these impairments in the etiology of patellar tendinopathy.
結論 バレーボールとバスケットボールの選手において,股関節と足部/足関節の障害は膝蓋腱症の存在と関連している.今後の研究では,膝蓋腱症の病因におけるこれらの障害の役割を評価する必要がある。
◆まとめ
上記の論文では、192名のアスリート(バスケットボール、バレーボール選手)を対象にジャンパー膝(膝蓋腱炎)と股関節および足関節/足部機能との関連について調査しております。
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の有無と脛骨-前足部アライメント、背屈可動域(ROM)、腸脛靱帯柔軟性、股関節内旋他動ROM、股関節外旋筋および股関節外転筋等尺性筋力などの股関節および足部/足関節の障害の関連性を回帰木分析にて実施されています。
結果としてジャンパー膝(膝蓋腱炎)の有無と相互作用があるのは他動股関節内旋ROM、脛骨-前足部アライメント、股関節外旋筋・外転筋力だったとのことです。
上記論文から考えると、バレーボールとバスケットボールの選手においては、股関節と足部/足関節に障害とジャンパー膝(膝蓋腱炎)は関連性がありそうですね。
今回は、『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は股関節、足関節機能と関連があるのか?』
について解説させていただきました。