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『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は等尺性収縮と等張性収縮どちらが有効か?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は等尺性収縮と等張性収縮どちらが有効か?』

について解説させていただきます。



ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は1973年にBlazinaら(1973)によってはじめて定義されております。

ジャンプや着地、ダッシュ等の動作が頻繁に繰り返され、膝伸展機構(大腿四頭筋―膝蓋骨―膝蓋腱―脛骨結節)に過度の負荷がかかることで引き起こされる慢性障害とされています。

症状としては膝に痛みがあらわれますが、特に膝蓋骨の下方に圧痛を認めることが多いです。

バスケットボールやバレーボールなどの跳躍動作を繰り返すスポーツに多いoveruse syndromeのうちのひとつとされています。

ジャンパー膝の発症要因としては様々ですが、特に、大腿四頭筋の柔軟性低下や優れた跳躍能力等の特徴がみられることが報告されています(Henk W,et al:Br J Sports Med.2011)。



そんな中、2016年に、膝蓋腱症のアスリートに、アイソメトリック(等尺性)運動プログラムとアイソトニック(等張性)運動プログラムにて疼痛が軽減するかを検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところであります。



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

 J Sci Med Sport (IF: 4.32; Q1)

. 2016 Sep;19(9):702-6.

 doi: 10.1016/j.jsams.2015.11.006. Epub 2015 Dec 7.

Do isometric and isotonic exercise programs reduce pain in athletes with patellar tendinopathy in-season? A randomised clinical trial

シーズン中の膝蓋腱症のアスリートにおいて、アイソメトリック運動プログラムとアイソトニック運動プログラムは痛みを軽減するか?無作為化臨床試験

Mathijs van Ark 1Jill L Cook 2Sean I Docking 2Johannes Zwerver 3James E Gaida 4Inge van den Akker-Scheek 3Ebonie Rio 2

Affiliations expand

Abstract

Objectives: Many athletes with patellar tendinopathy participate in sports with symptoms during or after activities. Current treatments do not decrease pain in-season; eccentric exercises in-season result in an increase in pain. This study examined if isometric and isotonic exercises relieved pain in competing athletes with patellar tendinopathy.

概要

目的 膝蓋腱症のアスリートの多くは、活動中や活動後に症状を抱えながらスポーツに参加しています。現在の治療ではシーズン中の痛みは減少せず、シーズン中のエキセントリックエクササイズは痛みの増加をもたらす。本研究では、膝蓋腱症の競技アスリートにおいて、等尺性運動と等張性運動が痛みを緩和するかどうかを検討した。

Design: Randomised clinical trial.

デザイン 無作為化臨床試験。

Methods: Jumping athletes with patellar tendinopathy playing at least three times per week participated in this study. Athletes were randomised into an isometric or isotonic exercise group. The exercise programs consisted of four isometric or isotonic exercise sessions per week for four weeks. Pain during a single leg decline squat (SLDS) on a Numeric Rating Scale (NRS; 0-10) was used as the main outcome measure; measurements were completed at baseline and at 4-week follow-up.

方法 週3回以上競技を行っている膝蓋腱症のジャンピングアスリートがこの研究に参加した。選手はアイソメトリック運動群とアイソトニック運動群に無作為に分けられた。運動プログラムは、等尺性または等張性の運動セッションを週4回、4週間行った。NRS(Numeric Rating Scale、0~10)によるシングルレッグデクラインスクワット(SLDS)時の疼痛を主要評価項目とし、ベースライン時および4週間のフォローアップ時に測定を行った。

Results: Twenty-nine athletes were included in this study. Median pain scores improved significantly over the 4-week intervention period in both the isometric group (Z=-2.527, p=0.012, r=-0.63) and isotonic group (Z=-2.952, p=0.003, r=-0.63). There was no significant difference in NRS pain score change (U=29.0, p=0.208, r=0.29) between the isometric group (median (IQR), 2.5 (1-4.5)) and isotonic group (median (IQR), 3.0 (2-6)).

結果 29名のアスリートがこの研究に参加した。疼痛スコアの中央値は、等尺性群(Z=-2.527, p=0.012, r=-0.63)と等張性群(Z=-2.952, p=0.003, r=-0.63)ともに4週間の介入期間に有意に改善された。NRS疼痛スコア変化(U=29.0, p=0.208, r=0.29)は,アイソメトリック群(中央値(IQR),2.5(1-4.5))とアイソトニック群(中央値(IQR),3.0(2-6))で有意差はなかった。



◆論文の結論

Conclusions: This is the first study to show a decrease in patellar tendon pain without a modification of training and competition load and the first study to investigate isometric exercises in a clinical setting. Both isometric and isotonic exercise programs are easy-to-use exercises that can reduce pain from patellar tendinopathy for athletes in-season.

結論 本研究は、トレーニングや競技の負荷を修正することなく膝蓋腱の痛みの減少を示した最初の研究であり、臨床の場でアイソメトリックエクササイズを調査した最初の研究である。アイソメトリック運動とアイソトニック運動の両プログラムは、シーズン中のアスリートにとって膝蓋腱症の痛みを軽減できる使い勝手の良い運動である。



◆まとめ

上記の論文では、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)のジャンピングアスリート29名に対してアイソメトリック(等尺性)運動群とアイソトニック(等張性)運動群の2群に分けて疼痛の軽減効果について検討しております。

運動セッションは週4回、4週間行っており、シングルレッグデクラインスクワット(SLDS)時のNRS(疼痛スコア)にて評価しております。

結果として両群ともに疼痛が有意に軽減しており、両群間に有意な差はなかったとのことです。

上記論文の結果を踏まえると、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)に対してはアイソメトリック(等尺性)運動およびアイソトニック(等張性)運動のいずれのエクササイズでも疼痛軽減効果をもたらすということになります。

個人的には、アイソメトリック(等尺性)運動の方が疼痛軽減効果が高いと予測しておりましたが、上記論文内容を考慮すると、特にトレーニングの収縮様式は気にしなくてもよさそうです。

今回は、『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は等尺性収縮と等張性収縮どちらが有効か?』

について解説させていただきました。

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