スポンサーリンク

『腰椎椎間板ヘルニアに対する多血小板血漿(PRP)療法の効果は?』

リハビリスタッフ向け
スポンサーリンク

こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『腰椎椎間板ヘルニアに対する多血小板血漿(PRP)療法の効果は?』について解説させていただきます。

 



腰椎椎間板ヘルニアは20~40歳代の男性に多く、ブルーカラー(重労働者)の方が発症しやすいと言われています。

また、近年の報告では遺伝的要因が影響しているとされています。

治療法としての多くは保存療法(リハビリテーション、投薬治療、装具療法、ブロック注射)もしくは手術療法が選択されます。

 『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 リハビリは効果なし?』

そんな中、2021年に、腰椎椎間板ヘルニアに対して多血小板血漿(PRP:platelet-rich plasma)療法の効果があるのかを検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果がとても気になるところです。

 



◆PRP(多血小板血漿)療法とは

platelet-rich plasma:PRP療法(多血小板血漿)とは、自分の血液を採取して、特殊な技術を駆使し、血液中の血小板が多く含まれる部分のみを抽出して、PRP(多血小板血漿)を作成します。

そして、自分の傷んでいる部位に注射することで組織の修復や関節炎の症状を軽減させ、早期治癒を図る再生医療です。

早期の競技復帰をめざしたプロスポーツ選手も、多血小板血漿(PRP)療法を行っていることもあります。

ヨーロッパやアメリカでは、自己治癒力をサポートする治療として頻繁に行われているようです。

現時点(2022年4月)ではm多血小板血漿(PRP)療法は自費診療になりますので、少し治療費は高価になります。

 



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

 Neural Plast (IF: 3.6; Q3)

. 2021 May 27;2021:5558138.

 doi: 10.1155/2021/5558138. eCollection 2021.

Ultrasound-Guided Transforaminal Injections of Platelet-Rich Plasma Compared with Steroid in Lumbar Disc Herniation: A Prospective, Randomized, Controlled Study

腰椎椎間板ヘルニアに対する多血小板血漿(PRP)の超音波ガイド下経椎間関節注射とステロイドの比較: 前向き無作為化比較試験

Zhen Xu 1Shaoling Wu 1Xiao Li 1Cuicui Liu 1Shengnuo Fan 1Chao Ma 1

Affiliations expand

Abstract

Transforaminal steroid injection is extensively used as a treatment in cases of herniated disc, but it is associated with complications. In comparison, platelet-rich plasma (PRP) injection has been used in musculoskeletal disorders and could be another option. This study is aimed at comparing the efficacy and safety aspects between ultrasound-guided transforaminal injections of PRP and steroid in patients who suffer from radicular pain due to lumbar disc herniation.

概要

椎間板ヘルニアの治療法として経椎間板ステロイド注射が広く行われているが、合併症を伴う。それに比べ、多血小板血漿(PRP)注入は筋骨格系疾患で使用されており、別の選択肢となりうる。本研究は、腰椎椎間板ヘルニアによる放散痛を患う患者に対して、超音波ガイド下経孔的、多血小板血漿(PRP)注入とステロイド注入の有効性と安全性の側面を比較することを目的とする。

In a randomized controlled trial, ultrasound-guided transforaminal injections of either PRP (n = 61) or steroid (n = 63) were administered to a total of 124 patients who suffer from radicular pain due to lumbar disc herniation. Patients were assessed by the visual analogue scale (VAS), pressure pain thresholds (PPTs), Oswestry disability index (ODI), and the physical function (PF) and bodily pain (BP) domains of the 36-item short form health survey (SF-36) before operation and 1 week, 1 month, 3 months, 6 months, and 12 months after operation. The rate and latency of F-wave were obtained before operation and 12 months postoperation.

無作為化比較試験において、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症状の患者124名に、多血小板血漿(PRP)(n=61)またはステロイド(n=63)の超音波ガイド下経孔注入を行いました。術前,術後1週間,1カ月,3カ月,6カ月,12カ月に,VAS,pressure pain thresholds (PPTs),Oswestry disability index (ODI),SF-36の身体機能,身体の痛みの各項目で患者を評価した.また,術前と術後12カ月にF波の出現率および潜伏期間を測定した.

There was no statistical difference in terms of age and sex between both groups. Statistically significant improvements from the patients’ data before operation to data obtained 1-month postoperation were observed in VAS, PPTs, ODI, and PF and BP of SF-36 in both groups and kept for 1 year. F-wave rate and latency were improved significantly at 1-year postoperation in both groups. Intergroup differences during follow-ups over a period of 1 year were not found to be significant in all the above assessment between the PRP and steroid groups. No complications were reported.

両群間に年齢、性別の統計的な差はなかった。術前のデータと術後1ヶ月のデータを比較すると,両群ともVAS,PPT,ODI,SF-36身体機能と身体の痛みで統計的に有意な改善が認められ,1年間維持された.術後1年では、両群ともF波の出現率および潜伏時間が有意に改善された。1年間の追跡調査において、多血小板血漿(PRP)群とステロイド群との間で、上記の評価のすべてにおいてグループ間の有意差は認められなかった。また、合併症の報告もなかった。

 



◆論文の結論

The results showed similar outcome for both transforaminal injections using PRP and steroid in the treatment of lumbar disc herniation, suggesting the possible application of PRP injection as a safer alternative.

腰椎椎間板ヘルニアの治療において、多血小板血漿(PRP)とステロイドを用いた経椎間関節注射の結果は同等であり、より安全な代替療法として多血小板血漿(PRP)注射の適用の可能性が示唆されました。

 



◆まとめ

上記論文では124名の神経根症状を伴う腰椎椎間板ヘルニア患者に対して、多血小板血漿(PRP)療法群61名とステロイド注射群63名の2群に分けて、効果を検証しています。

治療前、治療後、1週間後、1カ月後、3カ月後、6カ月後、12カ月後に、VAS(疼痛)、pressure pain thresholds (PPTs),Oswestry disability index (ODI),SF-36の身体機能,身体の痛みの各項目で患者を評価しております。

結果として、両群ともに治療後1か月ではVAS,PPT,ODI,SF-36身体機能と身体の痛みの項目で有意に改善しております。

また、両群間での有意差はみられなかったそうです。

上記論文の結果を踏まえると、多血小板血漿(PRP)とステロイド注射に効果の差はみられなかったということなので、多血小板血漿(PRP)によって安全に治療成績を上げられる可能性があります。

ただ、現時点(2022年4月)で多血小板血漿(PRP)療法は自費診療ですので、少し高価な治療法になることを、頭に入れておかなければなりませんね。

今回は、『腰椎椎間板ヘルニアに対する多血小板血漿(PRP)療法の効果は?』について解説させていただきました。