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『モートン病に対して体外衝撃波は効果があるのか?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『モートン病に対して体外衝撃波は効果があるのか?』

について解説させていただきます。

 



モートン病は足趾へと向かう神経が、足趾の付け根の部位で圧迫を受けることで生じる神経障害です。

神経が圧迫される原因としては、槌趾変形(マレット指)がある場合や中腰の作業、ハイヒール常用などの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾など骨の形態異常などが指摘されています。

ガングリオンなどの腫瘍が神経を圧迫する場合もあるようです。

ハイヒールの常用などでは、中足趾節(MP)関節でつま先立ちをすることによって、足趾に行く神経が深横中足靱帯のすぐ足底部を通過するため、この靱帯と地面の間で圧迫されて神経障害が生じます。

中年以降の女性に多く発症するとされています。

 



初期には歩行時に足趾の付け根が痛くなり、症状が進行すると、足趾や足の甲への痛み、しびれといった知覚異常が生じることがあります。

症状は第2-3、3-4足趾間、4-5足趾間のしびれ、疼痛の神経症状が出現することが多いです。

治療としては、保存療法と手術があり、保存療法では、靴の変更(ソールを軟らかくする、ヒールを低くする)、薬物療法、足底挿板(インソール)の作成や局所神経ブロック注射などがあります。

これらの保存療法で改善しない場合には、神経剥離術や神経切除術などの手術療法が選択されることがあります。

そんな中、2016年に、モートン病に対して体外衝撃波の効果を検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

 



◆体外衝撃波治療(shock wave)

体外衝撃波治療(shock wave)は衝撃波を患部に照射する新しい整形外科領域の治療法です。

腱付着部炎などの有痛性疾患の痛みに対して応用されています。

1回の治療時間は約10分で、一定の期間をあけて、複数回照射を実施します。

体外衝撃波治療は集束型衝撃波と拡散型圧力波の2種類あり、集束型の方が治療効果は高いですが、治療者は医師に限定されます。拡散型については収束型と比較すると効果は少し劣りますが、医師の指示の下、理学療法士が治療を実施することが可能です。

日本では集束型においては難治性足底腱膜炎に対して、保険が適応されています。(2022年10月現在)

拡散型については消炎鎮痛の分類で保険適応されています。

よって、日本での体外衝撃波治療(shock wave)は、自費診療で行っている診療機関も多くあります。

 



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

J Am Podiatr Med Assoc (IF: 0.68; Q4)

. 2016 Mar;106(2):93-9.

 doi: 10.7547/14-131.

Extracorporeal Shockwave Therapy in Patients with Morton’s Neuroma A Randomized, Placebo-Controlled Trial

モートン神経腫患者における体外衝撃波治療 ランダム化プラセボ対照試験

Hyun SeokSang-Hyun KimSeung Yeol LeeSung Won Park

Abstract

Background: The aim of this study was to evaluate the efficacy of extracorporeal shockwave therapy (ESWT) for the treatment of Morton’s neuroma by measuring changes in patient pain, function, and neuroma size.

概要

背景 この研究の目的は、患者の痛み、機能、神経腫の大きさの変化を測定することによって、モートン神経腫の治療に対する体外衝撃波療法(ESWT)の有効性を評価することであった。

Methods: Patients with Morton’s neuroma were randomly assigned to either the ESWT group or the sham stimulation group. Outcome measures, including visual analog scale (VAS) and American Orthopaedic Foot and Ankle Society lesser toes (AOFAS) scores, were assessed at baseline and 1 and 4 weeks after treatment. The Johnson satisfaction test was also performed 1 and 4 weeks after treatment. The neuroma diameter was measured using ultrasonography at baseline and 4 weeks after treatment.

方法 モートン神経腫の患者をESWT群と偽刺激群のいずれかに無作為に割り付けた。視覚的アナログスケール(VAS)およびAmerican Orthopaedic Foot and Ankle Society lesser toes(AOFAS)スコアを含む転帰指標を、治療前、治療後1週間および4週間で評価した。また、治療後1週間と4週間後にJohnson satisfaction testを実施した。神経腫の直径は、治療前と治療後4週間目に超音波検査で測定した。

Results: Patients receiving ESWT exhibited significantly decreased VAS scores 1 and 4 weeks after treatment relative to baseline, and AOFAS scores were significantly improved 4 weeks after treatment relative to baseline. In the sham stimulation group, VAS and AOFAS scores showed no significant changes at any time after treatment. Neither group showed significant changes in Johnson satisfaction test results or neuroma diameter.

結果 ESWTを受けた患者は、治療1週間後と4週間後にベースラインに対して有意にVASスコアが低下し、AOFASスコアは治療4週間後にベースラインに対して有意に改善された。偽刺激群では、VASおよびAOFASスコアは治療後のどの時点でも有意な変化を示さなかった。両群ともJohnson satisfaction testの結果や神経腫の直径には有意な変化が見られなかった。

 



◆論文の結論

Conclusions: These results suggest that ESWT may reduce pain in patients with Morton’s neuroma.

結論 これらの結果は、ESWTがモートン神経腫患者の痛みを軽減する可能性があることを示唆している。

 



◆まとめ

上記論文ではモートン病に対して体外衝撃波治療群とコントロール群の2群に分けて体外衝撃波治療の有効性を検討しております。

評価は治療前、治療後1週、治療後4週にVAS(痛み)、American Orthopaedic Foot and Ankle Society lesser toes(AOFAS)スコアという足関節機能スコア、超音波検査(神経腫の直径)および治療後1週と4週にJohnson satisfaction test(満足度)を測定しております。

結果として、体外衝撃波治療群は治療後1週と4週にVAS(痛み)が有意に改善し、AOFASスコアは治療後4週後に有意に改善したとのことです。

しかし、Johnson satisfaction test(満足度)や神経腫の直径は有意な変化が見られなかったようです。

上記論文の結果を踏まえると、モートン病に対して体外衝撃波治療は神経腫の大きさは変わらないが、痛みを軽減させる効果があることがわかりました。

今回は、『モートン病に対して体外衝撃波は効果があるのか?』

について解説させていただきました。