こんにちは！

運動器専門のリハビリスタッフです！！

いつもお世話になります。

今回は、『モートン病に対してインソールは効果があるのか？』

について解説させていただきます。

モートン病は足趾へと向かう神経が、足趾の付け根の部位で圧迫を受けることで生じる神経障害になります。

神経が圧迫される原因としては、槌趾変形（マレット指）がある場合や中腰の作業、ハイヒール常用などの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾など骨の形態異常などが指摘されています。

ガングリオンなどの腫瘍が神経を圧迫する場合もあるようです。

ハイヒールの常用などでは、中足趾節（MP）関節でつま先立ちをすることによって、足趾に行く神経が深横中足靱帯のすぐ足底部を通過するため、この靱帯と地面の間で圧迫されて神経障害が生じます。

中年以降の女性に多く発症するとされています。

初期には歩行時に足趾の付け根が痛くなり、症状が進行すると、足趾や足の甲への痛み、しびれといった知覚異常が生じることがあります。

症状は第2-3、3-4足趾間、4-5足趾間のしびれ、疼痛の神経症状が出現することが多いです。

足趾の付け根の部位で足を横から挟むように圧迫して疼痛が誘発されれば、モートン病が強く疑われます(Mulderテスト)。

障害神経の足趾間に感覚障害があり、中足骨頭間足底に腫瘤と同部のティネルサインがあれば確定診断できるようです。

また、場合によってはX線（レントゲン）検査、筋電図検査、MRI検査、超音波検査などを必要に応じて行います。

また、足趾を背屈するか、つま先立ちさせると痛みが強くなることが多いです。

治療としては、保存療法と手術があり、保存療法では、靴の変更(ソールを軟らかくする、ヒールを低くする)、薬物療法、足底挿板(インソール)の作成や局所神経ブロック注射などがあります。

これらの保存療法で改善しない場合には、神経剥離術や神経切除術などの手術療法が選択されることがあります。

そんな中、2019年に、モートン病に対してインソールの効果を検討した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

◆論文紹介
Abstract
◆論文の結論
◆まとめ

◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

Clin Rehabil (IF: 3.48; Q1)

. 2019 Dec;33(12):1898-1907.

doi: 10.1177/0269215519873949. Epub 2019 Sep 11.

Effectiveness of customized insoles in patients with Morton’s neuroma: a randomized, controlled, double-blind clinical trial

モートン神経腫患者におけるカスタマイズインソールの有効性：無作為化対照二重盲検臨床試験

Hilda Alcântara Veiga de Oliveira¹, Jamil Natour¹, Mariana Vassalli¹, Andre Rosenfeld¹, Fabio Jennings², Anamaria Jones²

Affiliations expand

PMID: 31505943　DOI: 10.1177/0269215519873949

Abstract

Objective: To assess the effectiveness of customized insole in patients with Morton’s neuroma.

概要

目的 Morton’s neuroma患者におけるカスタマイズインソールの有効性を評価すること。

Design: Double-blind randomized controlled trial with intent-to-treat analysis.

デザインデザイン：二重盲検無作為化比較試験（intent-to-treat分析）。

Setting: Outpatients, University Hospital.

設定：大学病院の外来患者。外来患者、大学病院。

Subjects: A total of 72 patients with Morton’s neuroma met the inclusion criteria and were randomly allocated to either the study group (n = 36) or the control group (n = 36).

対象者モートン神経腫の患者72名が参加基準を満たし、試験群（n = 36）または対照群（n = 36）のいずれかに無作為に割り付けられた。

Interventions: The study group was assigned to use a customized insole with metatarsal and arch support made of ethyl vinyl acetate and the control group received a flat insole of the same material, color, and density.

介入。試験群には酢酸エチル製の中足骨とアーチをサポートするカスタマイズインソールを、対照群には同じ素材、色、密度の平板インソールを使用するよう割り付けた。

Main measures: The primary outcome measure was walking pain intensity measured by the visual analogue scale. The secondary outcomes were as follows: pain at rest, palpation, and paresthesia (visual analogue scale); functional disability (6-minute walk test, Foot Function Index, and Foot Health Status Questionnaire); quality of life (Health Survey Short Form-36 (SF-36)); and foot pressure (AM Cube FootWalk Pro program).

主要評価項目主要アウトカム指標は、視覚的アナログスケールで測定した歩行時痛の強さであった。副次的評価項目は，安静時痛，触診時痛，知覚異常（visual analogue scale），機能障害（6分間歩行試験，足機能指数，足の健康状態質問票），QOL（健康調査 Short Form-36 (SF-36) ），足圧（AM Cube FootWalk Pro program）であった．

Results: In the comparison between the groups over time, a statistically significant difference, with improvement in favor of the experimental group, was found for pain during walking (P = 0.048); in the general health domains (P < 0.001) and physical activity (P = 0.025) of the Foot Health Status Questionnaire; in the general Foot Function Index score (P = 0.012); and in the functional capacity domain of the SF-36 questionnaire (P = 0.046). For the other parameters, no difference was found between groups.

結果歩行時の痛み（P = 0.048）、足の健康状態質問票の一般健康領域（P < 0.001）および身体活動（P = 0.025）、足の機能指数スコア（P = 0.012）、SF-36質問票の機能能力領域（P = 0.046）について経時比較を行ったところ、実験群に有利で、統計的に有意な改善が確認されました。その他のパラメータについては、群間差は認められなかった。

◆論文の結論

Conclusion: The study demonstrated that customized insole with metatarsal and arch support relieved walking pain and improved patient-reported measures of function in patients with Morton’s neuroma.

結論本研究では，中足骨とアーチをサポートするカスタマイズインソールが，モートン神経腫患者の歩行痛を緩和し，患者報告による機能指標を改善することが実証された．

◆まとめ

上記論文では大学病院に通院中のモートン病患者72名をインソール群（36名）とコントロール群（36名）の2群に分けてモートン病に対するカスタマイズされたインソールの効果を検証しております。

評価項目はvisual analogue scale（VAS:歩行時痛）、安静時痛、圧痛、知覚異常、6分間歩行、Foot Function Index（足関節スコア）、 Foot Health Status Questionnaire （足の健康状態質問票）、QOL（健康調査 Short Form-36 (SF-36) ）、足圧を測定しております。

結果として、インソール群において、歩行時痛、Foot Health Status Questionnaire（足の健康状態質問票：一般健康領域、身体活動）、Foot Function Index（足関節スコア）、SF-36質問票の機能能力領域が有意な改善を認めたとのことです。

上記論文の結果を踏まえると、モートン病に対する中足骨およびアーチをサポートするカスタマイズされたインソールは、歩行時痛および足機能を改善させることがわかりました。

今回は、『モートン病に対してインソールは効果があるのか？』

について解説させていただきました。