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『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)に対する手術の成績は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)に対する手術の成績は?』

について解説させていただきます。

 



ジャンパー膝(膝蓋腱炎)はBlazinaら(1973年)によってはじめて定義されております。

ジャンプや着地、ダッシュ等の動作が頻繁に繰り返され、膝伸展機構(大腿四頭筋―膝蓋骨―膝蓋腱―脛骨結節)に過度の負荷がかかることで引き起こされる慢性障害とされています。

症状としては膝に痛みがあらわれますが、特に膝蓋骨の下方に圧痛を認めることが多いです。

バスケットボールやバレーボールなどの跳躍動作を繰り返すスポーツに多いoveruse syndromeのうちのひとつとされています。

ジャンパー膝の発症要因としては様々ですが、特に、大腿四頭筋の柔軟性低下や優れた跳躍能力等の特徴がみられることが報告されています(Henk W,et al:Br J Sports Med.2011)。

 



そんな中、2015年に、慢性膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に対する手術治療の効果を検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところであります。

 



◆論文紹介

Review

 Arthroscopy (IF: 4.77; Q1)

. 2015 Dec;31(12):2424-9.e3.

 doi: 10.1016/j.arthro.2015.06.010. Epub 2015 Aug 3.

Results of Surgical Treatment of Chronic Patellar Tendinosis (Jumper’s Knee): A Systematic Review of the Literature

慢性膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に対する外科的治療の結果: 文献のシステマティックレビュー

Matthias Brockmeyer 1Nora Diehl 1Cornelia Schmitt 1Dieter M Kohn 1Olaf Lorbach 2

Affiliations expand

Abstract

Purpose: To review the literature concerning surgical treatment options for chronic patellar tendinosis (jumper’s knee), a common problem among athletes. When conservative treatment fails, surgical treatment is required.

概要

目的】アスリートに多い慢性膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に対する手術療法の選択肢に関する文献をレビューすることである。保存的治療が無効な場合、外科的治療が必要である。

Methods: Systematic review of the literature concerning the results of current surgical treatment options for chronic patellar tendinosis. All articles of studies with an evidence level ≥IV from January 2000 until February 2015 presenting the surgical outcome after arthroscopic as well as open treatment of chronic patellar tendinosis were included. The literature research of the PubMed database was performed using the following key words: “patellar” and “tendinitis,” “tendonitis,” “tendinosis” or “tendinopathy”; “inferior patellar pole”; “jumper’s knee”; “surgical treatment” and “open” or “arthroscopic patellar tenotomy.”

方法 慢性膝蓋腱炎に対する現在の外科的治療法の結果に関する文献の系統的レビュー。2000年1月から2015年2月までのエビデンスレベル≧IVの研究で、慢性膝蓋腱炎に対する関節鏡および開腹治療後の手術成績を提示したすべての論文を対象とした。PubMedデータベースの文献調査は、以下のキーワードで行った。「膝蓋骨」「腱炎」「腱鞘炎」「腱症」「下膝蓋骨極」「ジャンパー膝」「外科的治療」「open」「関節鏡下膝蓋骨腱切開術」。

Results: A systematic review of the literature was performed especially to point out the effectiveness of arthroscopic treatment of chronic patellar tendinosis. The results revealed good clinical results for arthroscopic as well as open treatment of chronic patellar tendinosis that is refractory to conservative treatment in athletes. An average success rate of 87% was found for the open treatment group and of 91% for the arthroscopic treatment group. However, after open surgery, the mean time of return to the preinjury level of activity is 8 to 12 months, with a certain number of patients/athletes who cannot return to the preinjury level of activity.

結果 特に慢性膝蓋腱症に対する関節鏡視下手術の有効性を指摘するために、文献のシステマティックレビューを行った。その結果、スポーツ選手の保存療法に難渋する慢性膝蓋腱炎に対して、開腹治療と同様に関節鏡視下手術が良好な臨床結果を示すことが明らかになった。成功率はopen治療群で平均87%、関節鏡治療群で平均91%でした。しかし、open手術後、受傷前の活動レベルに戻るまでの平均期間は8~12ヶ月であり、受傷前の活動レベルに戻れない患者・選手も一定数存在することがわかった。

 



◆論文の結論

Conclusions: Minimally invasive, arthroscopically assisted or all-arthroscopic procedures may lead to a significantly faster return to sporting activities and may, therefore, be the preferred method of surgical treatment.

結論 低侵襲手術、関節鏡補助下手術、あるいは全関節鏡手術は、スポーツ活動への復帰を著しく早める可能性があり、したがって、望ましい外科的治療方法であると考えられる。

 



◆まとめ

上記論文では、スポーツ選手の慢性膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に対する手術成績について、2000年から2015年までのエビデンスレベルの高い研究を対象とし、文献調査しております。

結果として、スポーツ選手の保存療法に難渋する慢性膝蓋腱炎に対しての手術において、

open治療群の成功率は平均87%、関節鏡治療群の成功率は平均91%だったとのことです。

しかし、open手術後においては、受傷前の活動レベルに戻るまでの平均期間は8~12ヶ月であり、受傷前の活動レベルに戻れない患者・選手も一定数存在するとのことです。

上記論文の結果を踏まえると、慢性膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に対する手術は、スポーツ活動への復帰を早める可能性があり、手術治療は有効であると思われます。

しかしながら、復帰までは1年近くかかることもあるということの認識も必要ですね。

今回は、『ジャンパー膝(膝蓋腱炎)に対する手術の成績は?』

について解説させていただきました。