こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は膝関節へのヒアルロン酸注射の効果について解説していきたいと思います。
ヒアルロン酸は、細胞と細胞の間に存在し、水分を蓄えて、細胞どうしを結合したり、クッションの役割をして、細胞を保護してくれます。
ヒアルロン酸は体内に存在しますが、30代から減り始め、60代になると赤ちゃんと比較し、25%まで減少するようです。
皮膚のシワ・たるみの改善、ほうれい線を目立たなくする手法として、ヒアルロン酸注射が注目されています。
芸能人の方も何人かされている方がいるそうです。
そしてヒアルロン酸注射は美容業界だけでなく、医療業界でも活躍しています。
よく、ちまたで
「この前、ヒアルロン酸注射を打ってもらって膝が楽になった」
とか
「膝にヒアルロン酸注射打って楽になったけど、2.3日でまた痛み出した」
とか
聞いたことありませんか?
実はヒアルロン酸は関節内にも存在します。
肩や膝の関節内にはヒアルロン酸を含む関節液があります。
●関節液は潤滑油の役割を担っており、骨と軟骨のこすれ合う摩擦を軽減してくれます。
さらに
●関節液は衝撃を和らげるクッションの役割もあるといわれています。
要するに、ヒアルロン酸は関節内で潤滑油の作用とクッション性の作用があるということです。
先ほど述べさせていただいたように、ヒアルロン酸は30代から徐々に減少し始めるわけですから、関節内の関節軟骨のすり減りやクッション性の減少により、関節痛が出現しやすい状況になってくるわけです。
●膝関節へのヒアルロン酸注射
さて、本題の膝関節痛へのヒアルロン酸注射ですが、変形性膝関節症などの膝関節痛で悩まされている方は適応となることが多いです。
変形性膝関節症とは、体重の増加や加齢的変化(老化)などの影響により、膝関節の軟骨がすり減り、膝の強い痛みを感じたり、曲げ伸ばしなどの動きづらさを感じる疾患です。
40歳代以降で年代が上がっていくにつれて増加していき、女性に多いと言われています。
膝関節の痛み方に関しては様々で、歩いているときの痛み(歩行時痛)、立ち座りや階段昇降時の痛み、睡眠時や安静時の痛み(安静時痛)などがあります。
膝関節痛へのヒアルロン酸注射では、1度ヒアルロン酸を注入すると膝関節痛が和らぐ方が多いです。
(膝関節内に疼痛の原因がある方に限る)
ただし、数日後に痛みがぶり返す方も多いです。
その原因は、ヒアルロン酸は体内に吸収されてしまうからです。
なので、ヒアルロン酸注射は医師の指示の下、週に1回や2週に1回を何か月か継続することが多いです。
保険適応されているので、費用は安くすみ、副作用は少ないと言われております。
その中で、徐々に膝関節痛が軽減する方もいますし、膝関節痛が変わらない方もいらっしゃいます。
ヒアルロン酸の特性を考えても、効果が一時的になるのは予想されます。
●医学的なデータでは
日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン2012年では変形性膝関節症患者へのヒアルロン酸注射の推奨度B(行うよう推奨する)、SOR(strength of recommendation:推奨強度)は87%となっており高い数値がでております。
《ヒアルロン酸関節内注射は膝OA患者において有用な場合がある。副腎皮質ステロイドIA注射に比較して、その作用発現は遅いが、症状緩和作用は長く持続することが特徴である》と記載があります。
(IA:関節内、OA変形性関節症)
またBannuruらの2011年の報告では、4週から24週にかけeffect size(効果量)は小さいものの、プラセボに比べてヒアルロン酸関節内注射は有意に疼痛を抑制すると示されています。
よって、膝関節へのヒアルロン酸関節内注射は弱い効果ではあるが1か月~6か月程度は痛みを和らげる効果があると結論できるかと思います。
ヒアルロン酸関節内注射とリハビリテーションなど治療法を併用するとより効果的かもしれませんね。
膝関節痛でお困りの方は、お近くの整形外科のあるクリニックや病院で相談してみてください。
今回は膝関節へのヒアルロン酸注射の効果について、ご紹介させていただきました。