こんにちは！

運動器専門のリハビリスタッフです！！

いつもお世話になります。

今回は、『新型コロナワクチン後に五十肩（拘縮肩）が発生した10症例報告！』

について解説させていただきます。

2019年末に中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症（COVIT-19）は、世界中に拡大し、日本でも2020年より感染が拡大しました。

日本においてのファイザー社の新型コロナワクチンが2021年2月14日に薬事承認され同月の17日より接種が開始されました。

新型コロナワクチンは副反応として、摂取部位の疼痛、倦怠感、頭痛、発熱などの症状が頻繁に報告されているが、肩関節周囲炎症状を訴える症例も少なくない印象です。

そんな中、2022年に、新型コロナウイルスワクチン接種後に五十肩（拘縮肩）を生じた症例の報告をした論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

◆五十肩について
◆論文紹介
Abstract
◆論文の結論
◆まとめ

◆五十肩について

いわゆる五十肩は医療用語では『肩関節周囲炎』や『拘縮肩』、『凍結肩』と呼んだりします。

五十肩は退行変性（老化）によって肩の組織が傷んできて炎症を起こし、肩関節の関節包が狭小化（狭くなる）が生じて、肩関節痛や運動制限が起こるといわれております。

よって、60歳前後の方は、特にこの五十肩症状になりやすくなってきます。

五十肩の病態としては関節包炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋腱炎、石灰性沈着性腱板炎

など様々です。

五十肩の症状としては肩関節の痛み（運動時痛、夜間痛）と運動制限の大きく2つあります。

五十肩は基本的には経過が長くなることが多く、早く完治する方では1～3か月程度で症状が治る方もおられますが、治るまで数年（2年～7年）かかることもあります。

◆論文紹介

JSES Int (Report missing IFs)

. 2022 Jul;6(4):682-685.

doi: 10.1016/j.jseint.2022.02.013. Epub 2022 Mar 18.

Frozen shoulder after COVID-19 vaccination

COVID-19ワクチン接種後の五十肩

Dipit Sahu¹²³, Gautam Shetty⁴⁵⁶

Affiliations expand

PMID: 35316893　PMCID: PMC8930777　DOI: 10.1016/j.jseint.2022.02.013

Free PMC article

Abstract

Background: The data on frozen shoulder and shoulder injury related to vaccine administration (SIRVA) after coronavirus disease 2019 (COVID-19) vaccination are absent from the literature. Hence, the purpose of this case series was to describe the clinical presentation and short-term follow-up of patients who developed frozen shoulder after COVID-19 vaccination.

概要

背景コロナウイルス症2019（COVID-19）ワクチン接種後の五十肩やワクチン投与に関連した肩の損傷（SIRVA）に関するデータは文献上存在しない。したがって、このケースシリーズの目的は、COVID-19ワクチン接種後に五十肩を発症した患者の臨床像と短期間のフォローアップを記述することであった。

Methods: In the present study, 10 patients (9 women and 1 man) with a mean age of 53 ± 8 years (range, 43-68 years) who presented to the shoulder surgeon’s practice center with painful stiffness of the shoulder after COVID-19 vaccination between June 1 and September 30, 2021, were retrospectively evaluated.

方法本研究では、2021年6月1日から9月30日の間にCOVID-19ワクチン接種後に有痛性肩こりで肩の外科診療センターを受診した平均年齢53±8歳（範囲、43～68歳）の患者10名（女性9名、男性1名）について、レトロスペクティブ評価を実施した。

Results: All 10 patients had normal radiographs and were diagnosed as frozen shoulder. Eight patients (80%) had a comorbidity during presentation (4 patients with hypothyroidism, 3 patients with diabetes mellitus, and 1 patient with prediabetes/hyperglycemia). Symptoms developed immediately after the vaccination in 6 patients (60%), at 48 hours in 1 patient (10%), and at 10 days in 3 patients (30%). The mean pain visual analog scale score was 6.5 ± 1.9 (range, 2.5-8), and both active and passive range of motion were limited in all the patients at the time of presentation.

結果は以下の通り。10例ともレントゲン写真は正常であり，五十肩と診断された。8名（80％）が来院時に合併症を有していた（甲状腺機能低下症4名、糖尿病3名、糖尿病予備軍・高血糖症1名）。症状は，ワクチン接種直後に6例（60％），48時間後に1例（10％），10日後に3例（30％）で発現した．平均疼痛Visual analog scale scoreは6.5±1.9（範囲：2.5～8），受動・能動可動域は全例で制限されていた．

◆論文の結論

Conclusion: The musculoskeletal specialists who will see such patients with painful shoulder stiffness should be aware of the frozen shoulder diagnosis, which can occur after COVID-19 vaccination, so that such patients can be identified and treated early.

結論 COVID-19 ワクチン接種後に発症する五十肩の診断に注意し，早期に発見し治療することが重要である．