こんにちは!!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は脊椎圧迫骨折のリハビリは何をすればいいのか?解説していきたいと思います。
今から10年以上前は脊椎圧迫骨折のリハビリテーションの方法が書いてある書籍や、雑誌はほとんどありませんでした。
ようやく見つけた情報を見ても、「脊柱起立筋のトレーニングや腹横筋トレーニングをするべき」ぐらいしか記載はありませんでした。
現在でも、状況はさほど変化しておらず、セラピストが執筆している脊椎圧迫骨折の書籍はかなり少ないです。
しかし、Dr.によって執筆されている『Orthopaedics』や『関節外科』などの医学雑誌に掲載されている、脊椎圧迫骨折の様々な情報から、リハビリに活かせる内容は大いにあります。
赤羽根良和先生によってgeneから出版された
骨粗鬆症を原因とした 脊椎圧迫骨折の病態理解と運動療法(2017年9月)という書籍は、セラピストによって執筆された唯一の書籍かと思われます。(世に認知された書籍の中で)
そのような情報をまとめた上で、脊椎圧迫骨折のリハビリテーションで重要なことを解説できればと思います。
◆脊椎圧迫骨折の保存療法
脊椎圧迫骨折に対する治療方針としては9割が保存療法になりますので、保存療法でのリハビリについて解説します。
脊椎圧迫骨折に関わらず、骨折の保存療法でのリハビリの大原則は、『骨の状態を悪化させないこと』これ以上に重要なことはありません!!
リハビリの専門家が介入しているにも関わらず、骨の状態が悪化(骨転位など)するようなことは避けたいところではあります。
拘縮や筋力低下などは後から取り戻せる可能性が高いですが、一度悪化した骨の状態は基に戻りませんので、場合によっては手術療法に切り替えることになる可能性がでてきてしまいます。
脊椎圧迫骨折のリハビリは概ねコルセットでの安静を保ちつつ、リハビリをしていく流れになるかと思います。
ADLの練習をしていくのは当然ですが、他に何をすればいいか?また何をしてはいけないか?わからないリハビリスタッフの方も多いのではないでしょうか?
上の図のように、何も配慮せずリハビリを実施すると、骨折椎体は圧潰し、円背姿勢が助長され、『偽関節』『脊髄の圧迫』『椎間関節性腰痛』『筋筋膜性腰痛』『逆流性食道炎』などを併発してしまう可能性がでてきます。
では椎体を圧潰させないようにリハビリするにはどうすれば良いか?
このヒントは下記の図です。
レントゲン撮影を正中位・前屈位・後屈位で撮影した症例です。
椎体前壁の高さをそれぞれ計測していますが、正中位から前屈位で約4.5mm椎体前壁が圧潰しているのがわかります。
このように椎体は前壁が骨梁構造が弱く、圧潰しやすい状態になっております。
ですので、前屈動作というのは椎体の圧潰を進行させやすい動作になりますので、動作指導はかなり重要になってきます。
では、椎体の圧潰が生じやすい時期(骨が転位しやすい時期)はいつか?ということですが、
骨は骨折してから破骨細胞が優位になり、骨がドロドロの状態になります。
この状態は10日目がピークといわれております。
骨折から約3週間経過すると軟性仮骨が形成され始め、骨は徐々に強くなっていきます。
これらのことを踏まえると、骨折椎体が圧潰しやすい時期は受傷から約3週間程度になります。受傷から約3週間は特に気をつける時期ということになります。
次に、
椎体が圧潰しやすいのは前屈動作と記載しましたが、海外の報告で椎体への負荷量を調査した論文がありましたので、独自に作図したものを上記に掲載いたします。
これを解釈すると、端坐位も前屈位になりますので、負荷量が多いことがわかります。ですので車いす座位等での座位時間が長くなると椎体が圧潰しやすくなることが予測されます。
一方『歩行器』は椎体への負荷量が低いことがわかります。歩行器により、体重を部分免荷した状態で、体幹を前後屈中間位に保ち、移動する事で、椎体が圧潰しにくくなる事が予測されます。
ですので、離床する際や、移動する際は、歩行器歩行がベターということが言えると思います。
脊椎圧迫骨折に対する運動療法
『運動療法』としては
脊椎が後弯位とならないように、
立位での
・脊柱起立筋収縮練習
・腸腰筋収縮練習
・肩甲骨内転エクササイズ
等があります。
また腰背部痛予防として、胸郭と股関節の柔軟性を保つようなリハビリを導入すると良いと思います。
運動療法については簡単に記載しましたが、また詳細の解説記事も今後掲載させていただきます。
『脊椎圧迫骨折に対するリハビリ(運動療法)のご紹介!!』
『脊椎圧迫骨折に対する日常生活動作(ADL)指導のご紹介!!』