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『足底腱膜炎の8つの保存療法の中で最も効果的な治療法は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『足底腱膜炎の8つの保存療法の中で最も効果的な治療法は?』について解説させていただきます。

 



足底腱膜は踵骨から足趾の底面に拡がる膜状の組織であり、ジャンプやランニングなど衝撃を吸収する作用があります。

足底腱膜炎は足部に愁訴のある患者の11~15%を占めるとされています。(Preffer G:Foot Ankle Int.1999)

またアメリカでは200万人の患者がいて、国民の約10%が罹患するとされており、特にアスリートに多く8~21%が罹患するという報告があります。

足底腱膜炎はランニングやスポーツ、長時間の立ち仕事などで発症することが多いとされています。

危険因子としては、足関節の背屈制限、肥満度の増加、長時間の立ち仕事などがあります。

また、保存療法により足底腱膜炎患者の80%は12ヶ月以内に改善するとの報告もあります(Thomas Trojian:Am Fam Physician.2019)

症状は、朝一番に足底の近位中足部や踵骨内側に刺すような痛みがあるのが特徴的で、一日の終わりに悪化することが多いとされています。

 

そんな中、2018年に、足底腱膜炎の危険因子や治療法などをまとめてくれている論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところであります。

  

  



◆論文紹介

Meta-Analysis

J Cell Physiol (IF: 6.38; Q2)

. 2018 Jan;234(1):860-870.

 doi: 10.1002/jcp.26907. Epub 2018 Aug 4.

Comparison of efficacy of eight treatments for plantar fasciitis: A network meta-analysis

足底筋膜炎に対する8つの治療法の有効性の比較: ネットワークメタアナリシス

Haibo Li 1Hao Lv 2Ting Lin 3

Affiliations expand

Abstract

The objective of this network meta-analysis (NMA) was to assess the pain relief performance of eight different plantar fasciitis therapies, including nonsteroidal anti-inflammatory medications, corticosteroid injections (CSs), autologous whole blood, platelet-rich plasma (PRP), extracorporeal shockwave therapy (ESWT), ultrasound therapy (US), botulinum toxin A (BTX-A), and dry needling (DN).

概要

このネットワークメタ解析(NMA)の目的は、非ステロイド性抗炎症薬、コルチコステロイド注射(CS)、自己全血、多血小板血漿(PRP)、体外衝撃波治療(ESWT)、超音波治療(US)、ボツリヌス毒素A(BTX-A)、ドライニードル(DN)など8種類の足底筋膜炎治療法の疼痛緩和性能を評価することである。

Published prospective or randomized controlled trials (RCTs) as for the above eight therapies were identified by searching CNKI, PubMed, and Embase. Mean difference (MD) and 95% credible intervals (CrIs) of visual analogue scale (VAS) were used to evaluate multiaspect comparisons. The ranking result was obtained by utilizing surface under cumulative ranking curve (SUCRA). Node-splitting plots were conducted to assess the consistency between direct and indirect evidence. Egger’s test and funnel plots were performed to examine publication bias.

CNKI、PubMed、Embaseで検索し、上記8つの治療法に関するプロスペクティブまたはランダム化比較試験(RCT)を同定した。多面的な比較の評価には、視覚的アナログスケール(VAS)の平均差(MD)および95%信頼区間(CrI)を用いた。ランキングはsurface under cumulative ranking curve(SUCRA)により求めた。ノード分割プロットは、直接証拠と間接証拠の間の整合性を評価するために行った。出版バイアスを検討するため、Eggerの検定と漏斗図を実施した。

Forty-one trials with a total of 2,889 cases were involved in this NMA. In terms of 1-month VAS, only ESWT turned out to be of better efficacy than placebo (MD = -3.3; CrI: [-5.3, -1.1]). No statistically significant difference was found between pair-wise comparisons concerning 2-month VAS. ESWT also demonstrated better efficacy as for 3-month results (MD = -2.7; CrI: [-4.2, -1.3]). Besides, CSs was significantly better than placebo as well in 3-month results (MD = -2.1; CrI: [-4.1, -0.19]). With regard to 6-month VAS results, ESWT performed better than placebo (MD = -3.0; CrI: [-5.0, -0.51]). According to the SUCRA, ESWT ranked the first as for all seven outcomes.

このネットワークメタ解析(NMA)には41試験、総症例数2,889例が含まれた。1ヵ月目のVASでは、体外衝撃波治療(ESWT)のみがプラセボよりも有効であることが判明した(MD = -3.3;CrI: [-5.3, -1.1])。2ヵ月VASに関しては、2対の比較で統計的に有意な差は認められなかった。体外衝撃波治療(ESWT)は、3ヵ月後の結果においても、より優れた効果を示した(MD = -2.7; CrI: [-4.2, -1.3])。また、コルチコステロイド注射(CS)は3ヶ月の結果においてもプラセボより有意に優れていた(MD = -2.1; CrI: [-4.1, -0.19] )。6ヶ月のVAS結果に関しては、体外衝撃波治療(ESWT)はプラセボより優れていた(MD = -3.0; CrI: [-5.0, -0.51])。SUCRAによると、体外衝撃波治療(ESWT)は7つのアウトカムすべてにおいて第1位であった。

 



◆論文の結論

ESWT might be the optimal treatment. In addition, BTX-A and PRP were considered as suboptimal.

体外衝撃波治療(ESWT) は最適な治療法である可能性がある。また、ボツリヌス毒素A(BTX-A)と多血小板血漿(PRP)は最適ではないと考えられた。

 



◆まとめ

上記の論文では足底腱膜炎に関する41試験、2,889例の患者における8つの保存療法の治療成績を検討しております。

8つの保存療法は非ステロイド性抗炎症薬、コルチコステロイド注射(CS)、自己全血、多血小板血漿(PRP)、体外衝撃波治療(ESWT)、超音波治療(US)、ボツリヌス毒素A(BTX-A)、ドライニードル(DN)です。

評価項目は治療後1か月、2か月、3か月、6か月において、視覚的アナログスケール(VAS)にて実施しております

結果として、1ヵ月目のVASでは、体外衝撃波治療(ESWT)のみがプラセボよりも有効であったそうです。

2ヵ月目のVASに関しては、統計的に有意な差があった治療法はなかったとのことです。

3ヵ月後の結果においても、体外衝撃波治療(ESWT)は、より優れた効果を示したそうです。

また、コルチコステロイド注射(CS)も3ヶ月後の結果において、プラセボより有意に優れていた。

6ヶ月のVAS結果に関しては、体外衝撃波治療(ESWT)はプラセボより優れていたそうです。

8つの保存療法の中では体外衝撃波治療(ESWT)が一番優れていたとのことです。

また、ボツリヌス毒素A(BTX-A)と多血小板血漿(PRP)の成績は良くなかったとのことです。

上記論文の結果を踏まえると、足底腱膜炎の保存的治療においては体外衝撃波が一番有効であることがわかりました。

この研究には運動療法が含まれていませんでしたので、運動療法も交えた治療効果においても気になるところです。

今回は、『足底腱膜炎の8つの保存療法の中で最も効果的な治療法は?』について解説させていただきました。