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運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールは有用な評価法』について解説させていただきます。
◆腰部脊柱管狭窄症とは
腰部脊柱管狭窄症は腰・下肢痛やしびれ、間欠性跛行を主症状とする疾患です。
腰部の前屈位では症状が緩和され、後屈位では症状が増悪するとされています。
腰痛患者の3%は腰部脊柱管狭窄症を有し、50歳以上では12.5%、70歳以上では約30~40%に及ぶと報告されています(長総義弘.2001)(山崎 健.2010)(紺野慎一.2009)。
これらのことより高齢者に多い疾患といえます。
馬尾性間欠跛行に対する保存療法は限界で、間欠性跛行距離が300m以下の症例では、手術となるケースが多いとされています。(小西 宏昭:整形外科53,2002)
これらの報告のように腰部脊柱管狭窄症は高齢者に多い疾患で、保存療法には厳しい意見が多いです。
◆腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールとは
腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールは福島県立医科大学の紺野慎一医師により腰部脊柱管狭窄症をスクリーニング的に簡便に評価ができるものとして開発されました。
(紺野 慎一:日本腰痛会誌・15巻1号,2009)
該当されたものをチェックし、割りあてられたスコアを合計する(マイナス数値は減算)
ABI:ankle brachial index,足関節上腕血圧比
ATR:Achilles tendon reflex,アキレス腱反射
SLRテスト:straight leg raising test,下肢伸展挙上テスト
この評価に含まれる項目は病歴が2項目(年齢、糖尿病の既往)、問診が3項目(間欠性跛行、立位での下肢症状、前屈での下肢症状),身体所見が5項目(前屈での症状、後屈での症状、ABI、ATR、SLRテスト)で合計点は-2点から16点までで構成されています。
合計点が7点以上の場合は腰部脊柱管狭窄症である可能性が高くなります。
7点をカットオフ値に設定した場合の感度は92.8%、特異度は72.0%である(Konno s et al.:Eur Spijne J,2007)
・腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2011 では【Grade B】
・『腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2021 改定第2版』では
「腰部脊柱管狭窄診断サポートツール」は,患者をスクリーニングするために用いられるツールとして簡便で有用である.
とされています。
◆腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールから読み取れること
腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールを見てみると、腰部脊柱管狭窄症の特徴がよくわかります。
脊柱管狭窄症の特徴
●加点項目
・高齢者
・間欠性跛行がある
・立位で症状悪化
・前屈で症状が軽減
・後屈で症状出現
・ABI0.9以上(0.9以下であると末梢血管性の症状の可能性あり)
・アキレス腱反射低下・消失
●減点項目
・糖尿病あり(減点ではないが糖尿病性の神経症状の可能性あり)
・前屈による症状出現(腰椎椎間板ヘルニアの可能性あり)
・SLRテスト(腰椎椎間板ヘルニアの可能性あり)
このテストをしっかり理解できれば、腰部脊柱管狭窄の病態把握がしやすくなります。
臨床ではこの「腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール」使わなくとも、このサポートツールの項目を頭に入れて評価をすれば、腰部脊柱管狭窄症の評価がしやすくなると思われます。
今回は、『腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールは有用な評価法』について解説させていただきました。
『腰部脊柱管狭窄症に対する運動療法の効果は?~腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2021 改定第2版より~』