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『腰痛に対する多血小板血漿(PRP)療法の効果は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『腰痛に対する多血小板血漿(PRP)療法の効果は?』について解説させていただきます。

 



腰痛は筋骨格系疾患の中でもっとも有病率が高い痛み愁訴であり(Vos T,et al.2012)、

高齢者だけでなく若年労働者でも多く発症するとされています(Driscoll T,et al.2014)。

就労環境上での腰痛の有病率は83%であり、その内59%は腰痛を有しながらでも就労を継続していると言われており(Fujii T,et al.2013)、腰痛症状の遷延化により医療費が増加する(Dagenasis S ,et al.2008)ともされています。

また、腰痛症状の遷延化により労働生産性が低下するとの報告もあります。(Tsuboi Y ,et al.2018)

腰痛を引き起こす疾患としては、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、椎間関節性腰痛、仙腸関節性腰痛、腰椎すべり症、腰椎分離症、筋筋膜性腰痛など様々です。

そんな中、2020年に、腰痛に対して多血小板血漿(PRP:platelet-rich plasma)療法の効果があるのかを検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果がとても気になるところです。

 



◆PRP療法とは

platelet-rich plasma:PRP療法(多血小板血漿)とは自分の血液を採取して、特殊な技術を駆使し、血液中の血小板が多く含まれる部分のみを抽出して、PRP(多血小板血漿)を作成します。

そして、自分の傷んでいる部位に注射することで早期治癒を図ります。

早期の競技復帰をめざして、多血小板血漿(PRP)療法を行っているプロスポーツ選手なども多くいらっしゃいます。

ヨーロッパやアメリカでは、自己治癒力をサポートする治療として頻繁に行われているようです。

現時点(2022年4月)で多血小板血漿(PRP)療法は自費診療ですので、少し治療費は高くなります。

 



◆論文紹介

Meta-Analysis

 J Neurol Surg A Cent Eur Neurosurg (IF: 1.27; Q4)

. 2020 Nov;81(6):529-534.

 doi: 10.1055/s-0040-1709170. Epub 2020 May 21.

Efficacy of Platelet-rich Plasma for Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-analysis

腰痛に対する多血小板血漿の有効性:系統的レビューとメタアナリシス

Zhaopeng Xuan 1Wenjun Yu 1Yichen Dou 1Tao Wang 1

Affiliations expand

Abstract

Background: Platelet-rich plasma (PRP) may be beneficial for patients with low back pain. However, the results remain controversial. We conducted a systematic review and meta-analysis to explore the efficacy of PRP for low back pain.

概要

背景 多血小板血漿(PRP)は腰痛患者にとって有益である可能性がある.しかし、その結果には依然として議論の余地がある。我々は、腰痛に対する多血小板血漿(PRP)の有効性を探るために、系統的レビューとメタ解析を行った。

Methods: PubMed, Embase, Web of Science, EBSCO, and Cochrane Library databases were searched systematically. Randomized controlled trials (RCTs) assessing the effect of PRP on low back pain were included. Two investigators independently searched articles, extracted data, and assessed the quality of included studies. The primary outcome was pain scores within 8 weeks. Meta-analysis was performed using the random-effects model.

方法は PubMed、Embase、Web of Science、EBSCO、Cochrane Libraryの各データベースを系統的に検索した。腰痛に対する多血小板血漿(PRP)の効果を評価した無作為化対照試験(RCT)を対象とした。2人の研究者が独立して論文を検索し、データを抽出し、含まれる研究の質を評価した。主要アウトカムは,8 週間以内の疼痛スコアとした.メタ分析は、ランダム効果モデルを用いて行った。

Results: Three RCTs involving 131 patients were included in the meta-analysis. Overall, compared with control intervention for low back pain, PRP injection was found to reduce pain scores significantly (mean difference: – 1.47; 95% confidence interval [CI], – 2.12 to – 0.81; p < 0.0001), improve the number of patients with > 50% pain relief at 3 months (risk ratio [RR]: 4.14; 95% CI, 2.22-7.74; p < 0.00001), and offer relatively good patient satisfaction (RR: 1.91; 95% CI, 1.04-3.53; p = 0.04). No increase in adverse events was reported after PRP injection (RR: 1.92; 95% CI, 0.94-3.91; p = 0.07).

結果 131人の患者を含む3つのRCTがメタ分析に含まれた。全体として、腰痛に対するコントロール介入と比較して、多血小板血漿(PRP)注入は疼痛スコアを有意に減少させることが明らかになった(平均差。- 1.47;95%信頼区間[CI]、-2.12~-0.81;p<0.0001)、3ヶ月時点で50%以上痛みが軽減した患者数の改善(リスク比[RR]: 4.14; 95%CI、2.22~7.74; p<0.00001)、比較的良い患者満足度(RR: 1.91; 95%CI、 1.04-3.53; p=0.04)であることが判明した。多血小板血漿(PRP)注入後の有害事象の増加は報告されていない(RR: 1.92; 95% CI, 0.94-3.91; p = 0.07)。

 



◆論文の結論

Conclusions: Compared with control intervention for low back pain, PRP injection was found to improve pain relief and patient satisfaction significantly with no increase in adverse events.

結論 多血小板血漿(PRP)注入は、腰痛に対するコントロール介入と比較して、疼痛緩和と患者満足度を有意に改善し、有害事象の増加もないことがわかった。

 



◆まとめ

上記論文では131名の腰痛患者を含むんだ3つの無作為化対照試験(RCT)がメタ分析に含まれ、多血小板血漿(PRP)注入群と、対照群で効果を主には治療後8 週間以内の疼痛スコアにて比較しています。

その結果、多血小板血漿(PRP)注入は対象群と比較して、疼痛スコアを有意に減少させ、患者満足度も有意に高いことが明らかになっております。

また、治療後3ヶ月時点でも痛みの改善、患者満足度も良好であったとのことです。

上記論文の結果を踏まえると、腰痛の痛みの軽減に対して、多血小板血漿(PRP)注入は、有効な治療法であることが分かりました。

ただ、現時点(2022年4月)で多血小板血漿(PRP)療法は自費診療ですので、少し高価な治療法にはなることを、頭に入れておかなければなりませんね。

今回は、『腰痛に対する多血小板血漿(PRP)療法の効果は?』について解説させていただきました。

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