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運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『腰部脊柱管狭窄症には手術VS保存療法どちらが成績良好か?』について解説させていただきます。
腰部脊柱管狭窄症は腰・下肢のしびれや疼痛、間欠性跛行などを主症状とする疾患です。
腰部の後屈で症状が憎悪し、前屈で症状が緩和するとされています。
腰痛患者の3%は腰部脊柱管狭窄症を有し、50歳以上では12.5%、70歳以上では約30~40%に及ぶ(長総義弘.2001)(山崎 健.2010)(紺野慎一.2009)
馬尾性間欠跛行に対する保存療法は限界で、間欠性跛行距離が300m以下の症例では、手術となるケースが多い(小西 宏昭:整形外科53,2002)
これらの報告のように腰部脊柱管狭窄症は高齢者に多い疾患で、保存療法には厳しい意見が多いです。
2021年4月に『腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン2021 改定第2版』が出版されました。
【監修】日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会
この中から、
『腰部脊柱管狭窄症に対する除圧術は自然経過や保存治療より有効か?』という項目がありますので、みてみたいと思います。
結論から話すと、保存療法が無効な例へは除圧術(骨や靭帯などを切除し、神経への圧を軽減する手術)が弱く推奨されています。
また手術または保存治療から2年以内の成績では手術治療群の方が優れているようです。
2年以降は、その差は徐々に減少するとのことです。
「腰部脊柱管狭窄症に対する除圧術は保存療法に比べ、良好な臨床成績が報告されており、画像、理学所見から診断確定された不安定性を伴わない腰部脊柱管狭窄症で保存治療無効例に対しては除圧術を行うことを提案する。」
〈補足〉
●不安定性や変性を伴わない脊柱管狭窄症に対する除圧術の術後2年成績は除圧術施行群で保存治療群に比べ優れている(エビデンスB)
●手術治療群と保存治療の差は術後2年以降においては経時的に減少傾向となる(エビデンスB)
このように記載されています。
不安定性を伴う脊柱管狭窄症に対しては除圧術だけでなく固定術も併用して行うケースがあります。
固定術を併用する場合には術侵襲や腰椎への負荷は増大するため、また違った結果となる可能性があります。
今回は、『腰部脊柱管狭窄症には手術VS保存療法どちらが成績良好か?』について解説させていただきました。