こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『筋筋膜性腰痛の特徴と理学所見とは?』
について解説させていただきます。
筋筋膜性腰痛は画像所見では判断できないいわゆる『非特異的腰痛』の分類に入る腰痛になります。
急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)の原因のうちの一つとされることもあります。
ただ筋筋膜性腰痛は痛みがありますが動けなくなるほど強い腰痛の方はあまりいらっしゃいません。
◆筋筋膜性腰痛の特徴
・臥位では痛みがない
・立位で前屈すると腰背部が痛い
・立位や中腰で重量物を持つと腰背部が痛い
・腰椎を過屈曲(屈曲45°以上)にすると痛みが軽減する
・脊柱起立筋の圧痛がある。
などです。
筋筋膜性腰痛は腰背部の筋である脊柱起立筋での痛みが生じていることがほとんどです。
脊柱起立筋の各種姿勢と筋内圧を調べた調査(紺野愼一:臨整外.1993)では、
臥位、座位、立位後屈ではほとんど筋内圧が上がりません
立位中間位、立位前屈、立位での重り負荷では脊柱起立筋の内圧が上昇します。
身体においては内圧が上昇すると痛みを感じることから、立位中間位、立位前屈、立位での重り負荷時に腰背部痛が生じやすくなります。
よって変形性腰椎症や脊椎圧迫骨折後の脊柱変形により、円背姿勢になると筋筋膜性腰痛が発生しやすくなります。
ただ、屈曲弛緩現象といって、腰椎屈曲45°以上(60°以上の説もある)の姿勢をとると、脊柱起立筋の筋活動が弱化し、靭帯性の姿勢制御となるため、筋筋膜性腰痛が軽減します。
よって立位前屈で腰背部痛があるが、前屈を強めると痛みが軽減すると筋筋膜性腰痛の可能性が高まります。
さらに、下記の論文では筋筋膜性腰痛の理学所見の感度と特異度が示されていますので、見ていきたいと思います。
Diagnosis and Characters of Non-Specific Low Back Pain in Japan: The Yamaguchi Low
Back Pain Study
Hidenori Suzuki*, Tsukasa Kanchiku, Yasuaki Imajo, Yuichiro Yoshida, Norihiro Nishida,
Toshihiko Taguchi
PLoS One. 2016 Aug 22;11(8)
この研究は、山口県にて2015年4月~5月にかけて、主に腰痛のために診療所を訪れ、治療を受けた320名の患者を調査しております。
結果として、画像で判断できない腰痛(非特異的腰痛)は79%であったが、理学所見を補助的に追加したところ、診断可能な腰痛は78%であったと報告しています。
ちなみに、画像で分からない腰痛の原因としては、
◆椎間板性腰痛
◆筋筋膜性腰痛
◆椎間関節性腰痛
◆仙腸関節性腰痛
が挙げられています。
上記の中から、筋筋膜性腰痛の理学所見の感度と特異度が下の図で表されており、和訳したものを提示しました。
感度:病気がある群での検査の陽性率
特異度:病気がない群での検査の陰性率
要するに、感度と特異度が両方とも高い検査が筋筋膜性腰痛と診断できる可能性が高いということになります。
この論文からわかることは、
・傍脊柱筋の圧痛が 感度0.696、特異度0.614
と特に感度と特異度が高く筋筋膜性腰痛の理学所見としては使用できそうです。
私が考える筋筋膜性腰痛のリハビリコンセプトとしては
・脊柱起立筋に対するリラクセーションにて筋内圧を軽減させる
・キネシオテーピング貼付にて脊柱起立筋を滑走させやすい状態にする
・腰椎の生理的な前彎を作るように姿勢を調節する
以上があげられます。
また近年、整形外科医の間ではハイドロリリースという主義(超音波エコーガイド下で滑走障害部位に生理食塩水等を注入する)が流行しており、筋膜性の痛みには抜群に効果があります。
今回は、『筋筋膜性腰痛の特徴と理学所見とは?』について解説させていただきました。