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『新型コロナワクチン後に肩関節周囲炎症状が発生する?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『新型コロナワクチン後に肩関節周囲炎症状が発生する?』

について解説させていただきます。

 



2019年末に中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVIT-19)は、世界中に拡大し、日本でも2020年より感染が拡大しました。

日本においてのファイザー社の新型コロナワクチンが2021年2月14日に薬事承認され同月の17日より接種が開始されました。

新型コロナワクチンは副反応として、摂取部位の疼痛、倦怠感、頭痛、発熱などの症状が頻繁に報告されているが、肩関節周囲炎症状を訴える症例も少なくない印象です。

そんな中、2021年に、新型コロナウイルスワクチン接種後に三角筋の浮腫やquadrilateral space(四辺形間隙)に浮腫が生じる症例の報告をした論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

 



◆QLS(quadrilateral space:四辺形間隙)とは

QLS(quadrilateral space:四辺形間隙)とは上腕骨外科頚、上腕三頭筋長頭、大円筋、小円筋の間に囲まれた間隙のことを指します。

QLS(quadrilateral space:四辺形間隙)は腋窩神経と後上腕回旋動静脈が通過します。

このQLS部で生じた腋窩神経の絞扼による病態をQLS症候群:quadrilateral space syndromeと言います。

理学所見としては

●QLS部での圧痛

●肩関節水平内転強制時の痛み

●肩関節外転強制時の痛み

などがあります。

関連する筋(上腕三頭筋長頭、大円筋、小円筋)が伸張される際に肩関節痛が生じることが多いです。

 



◆論文紹介

Case Reports

 Radiol Case Rep (IF: 0.57; Q4)

. 2021 Oct;16(10):3024-3028.

 doi: 10.1016/j.radcr.2021.07.028. Epub 2021 Jul 19.

Quadrilateral space region inflammation and other incidental findings on shoulder MRI following recent COVID-19 vaccination: Three case reports

最近のCOVID-19ワクチン接種後の肩MRIにおける四辺形間隙の炎症とその他の偶発的所見。3例の症例報告

Matthew T Eisenberg 1Christopher Tingey 2Oliver Fulton 3Josh Owen 4 5Travis Snyder 1 2 5 6 7

Affiliations expand

Abstract

We present 3 cases reporting the normal appearance of the post COVID-19 vaccination on shoulder MRI exams. All 3 patients were imaged 1 to 5 days post-vaccination for unrelated MSK shoulder symptoms, and none reported any symptoms besides mild shoulder discomfort for a day or 2 following vaccine administration. All 3 patients demonstrated characteristic deltoid edema, quadrilateral space region edema and axillary nodal prominence. Vessel prominence with t2 and t1 increased signal draining to the approximate location of the quadrilateral space and axilla was an associated feature. The normal appearance of the covid-19 vaccine on shoulder MRI has not been previously described, and recognition by the radiologist will prevent erroneous differential diagnosis, unnecessary medical workups, and detract from the clinically relevant pathological imaging findings in patients with shoulder pain.

要旨

肩のMRI検査でCOVID-19ワクチン接種後の正常な外観を報告した3例を紹介します。3例ともワクチン接種後1~5日目にMSK(筋骨格系)肩の症状と無関係に撮像され、ワクチン投与後1~2日の軽い肩の不快感以外に症状を訴えたものはなかった。3名とも特徴的な三角筋の浮腫、quadrilateral space(四辺形間隙)の浮腫、腋窩の結節の隆起を認めた。quadrilateral space(四辺形間隙)と腋窩のおおよその位置にドレナージするt2およびt1増加信号の血管隆起が関連する特徴であった。肩のMRIにおけるcovid-19ワクチンの正常な外観はこれまで報告されておらず、放射線科医による認識は、肩の痛みを持つ患者における誤った鑑別診断や不必要な医療検査を防ぎ、臨床的に適切な病理画像所見を損なわないことになる。

 



◆まとめ

上記論文では新型コロナ(COVID-19)ワクチン接種をした3例の、肩MRI撮像所見について報告されています。

その結果、3名とも特徴的な三角筋の浮腫、quadrilateral space(四辺形間隙)の浮腫を認めていたそうです。

このことから考えると、三角筋、quadrilateral space(四辺形間隙)の浮腫は自然に改善することが予測されますが、中には浮腫が長引いて肩関節周囲炎やQLS症候群に移行する症例もでてくることが考えられますね。

因果関係は不明ですが実際に新型コロナワクチン後に肩関節周囲炎(拘縮肩、五十肩)を発症したと訴える方が数名リハビリに来られました。

今後、長期経過に関する報告も気になるところですね。

今回は、『新型コロナワクチン後に肩関節周囲炎症状が発生する?』

について解説させていただきました。