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『大腿骨近位部骨折症例が歩行自立するための因子は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『大腿骨近位部骨折症例が歩行自立するための因子は?』について解説させていただきます。

3つの論文をご紹介させていただき、それぞれの研究からの

『大腿骨近位部骨折症例が歩行自立するための因子』を挙げていきたいと思います。

まずは

【新井智之:大腿骨頸部骨折患者の歩行自立に必要な因子.日本老年医学会誌.2011】

この論文では決定木分析を用いて、大腿骨頸部骨折患者の退院時における歩行能力を、自立と非自立の2群に分けて、歩行自立に関わる因子を明らかにすることを目的としております。

結果としては

退院時歩行自立(杖or独歩)の要因は

・非術側膝伸展筋力が良好

・FRT:Functional Reach Testが良好

・MMSEが良好

・脳血管障害の既往がないこと

でした。

 



続いての論文は

【萩原洋子ら:大腿骨頸部骨折患者の歩行能力と膝伸展筋力との関連-ロジスティック解析による検討-.理学療法学.1998】

この論文では、大腿骨頸部骨折患者40例(平均74±10歳)に対して、歩行自立/非自立の因子を受傷時年齢、骨折型、手術方法、臥床期間、膝伸展筋力の項目から検討しています。

結果としては

退院時の自立歩行(杖or独歩)には

・両側の大腿四頭筋の筋力が必要であった

 



最後の論文は

【川端悠士ら:大腿骨近位部骨折術後例における杖歩行の可否・歩行速度を決定する可変的要因の検討.理学療法学.2014】

この論文では大腿骨近位部骨折術104例(歩行可能群61例、介助群43例)に対して、杖歩行の可否、歩行速度に影響を与える因子を検討しております。

(※歩行可能群:1本杖歩行50m以上自立)

検討項目は年齢、性別、骨折型、脚長差、術前待機日数、術後経過日数、(健側/患側)膝関節伸展筋力、(健側/患側)股関節外転筋力、疼痛です。

結果として

杖歩行自立には

・歩行時痛がなく

・両側の膝伸展筋力が必要

・両側の股関節外転筋力が必要

となりました。

これらの結果をまとめると、歩行自立に必要な要素は下記の図のようになりました。

 

歩行を自立させるためには上記を意識し、また予後予測としてもこれらの知識をしっておくと良さそうですね。

今回は、『大腿骨近位部骨折症例が歩行自立するための因子は?』について解説させていただきました。