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『医師や看護師は足底腱膜炎になりやすい?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『医師や看護師は足底腱膜炎になりやすい?』について解説させていただきます。

 



足底腱膜は踵骨から足趾の底面に拡がる膜状の組織であり、ジャンプやランニングなど衝撃を吸収する作用があります。

足底腱膜炎は足部に愁訴のある患者の11~15%を占めるとされています。(Preffer G:Foot Ankle Int.1999)

また、アメリカにおいては200万人の患者がおり、国民の約10%が罹患するとされ、特にアスリートに多く8~21%が罹患するという報告があります。

足底腱膜炎はランニングやスポーツ、長時間の立ち仕事などで発症することが多いとされています。

症状としては起床後の歩行時に痛みを感じることが多く、夕方で特に症状が強くなることが多いとのことです。

 『足底腱膜炎にはアキレス腱ストレッチだけでは不十分?』

そんな中、2020年に、台湾の医師、看護師における足底腱膜炎の有病率を調査した論文が海外で報告されております。

労働環境や職業別で足底腱膜炎の有病率に差があるのか、この論文の検証結果が気になるところであります。

 



◆論文紹介

Ind Health (IF: 2.18; Q4)

. 2020 Apr 2;58(2):153-160.

 doi: 10.2486/indhealth.2019-0069. Epub 2019 Sep 20.

Plantar fasciitis in physicians and nurses: a nationwide population-based study

医師と看護師における足底筋膜炎:全国規模の人口ベース研究

Kuo-Chang Sung 1Jui-Yuan Chung 2I-Jung Feng 3Shu-Han Yang 4Chien-Chin Hsu 1 5Hung-Jung Lin 1 6Jhi-Joung Wang 3 7Chien-Cheng Huang 1 8 9

Affiliations expand

Abstract

Physicians and nurses in Taiwan have heavy workload and long working hours, which may contribute to plantar fasciitis. However, this issue is unclear, and therefore, we conducted this study to delineate it.

概要

台湾の医師や看護師は仕事量が多く、労働時間が長いため、足底筋膜炎の一因になっている可能性がある。しかし、この問題は不明であるため、それを明らかにするために本研究を実施した。

We conducted a nationwide population-based study by identifying 26,024 physicians and 127,455 nurses and an identical number of subjects for comparison (general population) via the National Health Insurance Research Database. The risk of plantar fasciitis between 2006 and 2012 was compared between physicians and general population, between nurses and general population, and between physicians and nurses. We also compared the risk of plantar fasciitis among physician subgroups.

国民健康保険研究データベースを通じて、医師26,024名、看護師127,455名と同数の比較対象者(一般住民)を特定し、全国規模の住民ベース調査を実施した。2006年から2012年までの足底筋膜炎のリスクを、医師と一般集団、看護師と一般集団、医師と看護師の間で比較した。また、医師のサブグループ間における足底筋膜炎のリスクも比較した。

Physicians and nurses had a period prevalence of plantar fasciitis of 8.14% and 13.11% during the 7-yr period, respectively. The risk of plantar fasciitis was lower among physicians (odds ratio [OR]: 0.660; 95% confidence interval [CI]: 0.622-0.699) but higher among nurses (OR: 1.035; 95% CI: 1.011-1.059) compared with that in the general population. Nurses also had a higher risk than the physicians after adjusting for age and sex (adjusted odds ratio [AOR]: 1.541; 95% CI: 1.399-1.701). Physician subspecialties of orthopedics and physical medicine and rehabilitation showed a higher risk. Female physicians had a higher risk of plantar fasciitis than male physicians.

 



◆論文の結論

This study showed that nurses, physician specialties of orthopedics and physical medicine and rehabilitation, and female physicians had a higher risk of plantar fasciitis. Improvement of the occupational environment and health promotion are suggested for these populations.

本研究では、看護師、医師の専門分野である整形外科、理学療法士、リハビリテーション科、女性医師が足底腱膜炎のリスクが高いことが示された。これらの人々に対しては、職業環境の改善と健康増進が提案されている。

 



◆まとめ

上記の論文では 台湾の医師26,024名、看護師127,455名と同数の比較対象者(一般住民)を7年間追跡し、足底腱膜炎の有病率を調査しております。

7年間の足底筋膜炎の有病率は、医師が8.14%、看護師が13.11%であり一般集団と比較して、医師では低く、看護師では高かったそうです。

また、医師の中では、整形外科、身体医学・リハビリテーション科の医師では、より高い発症リスクが示されているようです。

さらに、女性医師は、男性医師よりも足底筋膜炎のリスクが高かったとの報告です。

上記論文の結果を踏まえると、看護師および医師では整形外科と身体医学とリハビリテーション医、および女性医師が足底筋膜炎のリスクが高いことがわかりました。

足底腱膜炎は長時間の立ち仕事で発症リスクがあることから、一概には言えませんが、これらの職種が立ち仕事量が多かった可能性がありますね。

日本において置き換えれる情報かはわかりませんが、参考にできることはありそうです。

労働環境の見直しや、シューズ選択について今後、議論することがあるかもしれませんね。

今回は、『医師や看護師は足底腱膜炎になりやすい?』について解説させていただきました。