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『五十肩(拘縮肩)に後方関節包ストレッチか肩甲骨モビライゼーションのどちらが有効か?』

リハビリスタッフ向け
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『五十肩(拘縮肩)に後方関節包ストレッチか肩甲骨モビライゼーションのどちらが有効か?』

こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『五十肩(拘縮肩)に後方関節包ストレッチか肩甲骨モビライゼーションのどちらが有効か?』について解説させていただきます。



五十肩はいつ治る?

 『肩外側を痛がる人の原因は?』

五十肩は退行変性(老化)によって肩の組織が傷んできて炎症を起こし、肩関節の関節包が狭小化(狭くなる)が生じて、肩関節痛や運動制限が起こるといわれております。

よって、60歳前後の方は、特にこの五十肩症状になりやすくなってきます。

五十肩は医療用語では『肩関節周囲炎』や『拘縮肩』、『凍結肩』と呼んだりします。

五十肩の病態としては関節包炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋腱炎、石灰性沈着性腱板炎

など多岐に渡ります。

五十肩の症状としては肩関節の痛み(運動時痛、夜間痛)と運動制限の大きく2つあります。

五十肩は基本的には経過が長くなることが多く、早く完治する方では1~3か月程度で症状が治る方もおられますが、治るまで数年(2年~7年)かかることもあります。

そんな中、2019年に五十肩(拘縮肩)の治療として、徒手による後方関節包ストレッチと肩甲骨モビライゼーションのどちらが良いか?検証している論文が海外で報告されています。

内容が気になるところです。

 



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

 J Musculoskelet Neuronal Interact (IF: 1.66; Q3)

. 2019 Sep 1;19(3):311-316.

Which method for frozen shoulder mobilization: manual posterior capsule stretching or scapular mobilization?

五十肩のモビライゼーションは、徒手による後方関節包ストレッチと肩甲骨モビライゼーションのどちらが良いか?

Irem Duzgun 1Elif Turgut 1Leyla Eraslan 1Bulent Elbasan 2Deran Oskay 2Ozgur Ahmet Atay 3

Affiliations expand

Abstract

Objectives: This study aimed to compare the superiority of scapular mobilization, manual capsule stretching, and the combination of these two techniques in the treatment of frozen shoulder patients to evaluate the acute effects of these techniques on shoulder movements. 目的は以下の通り。本研究では、五十肩患者の治療において、肩甲骨モビライゼーション、徒手的な関節包ストレッチ、およびこれら2つのテクニックの組み合わせの優位性を比較し、肩の動きに対する急性期の効果を評価することを目的とした。

Methods: This study designed to a single-blinded, randomized, and pre-post assessment study. This study was included 54 patients diagnosed with stage 3 frozen shoulder. Group 1 (n=27) received scapular mobilization, and Group 2 (n=27) received manual posterior capsule stretching. After the patients were assessed, the interventions were re-applied with a crossover design to obtain results for the combined application (n=54). The range of motion, active total elevation, active internal rotation, and posterior capsule tensions of the shoulder joint were recorded before and immediately after mobilization.

方法は以下の通り。本研究は、単盲検、無作為化、事前事後評価の研究としてデザインされた。本研究では、ステージ3の五十肩と診断された54名の患者を対象とした。グループ1(n=27)には肩甲骨のモビライゼーションを、グループ2(n=27)には徒手的な後方関節包ストレッチを行った。患者を評価した後、クロスオーバーデザインで介入を再適用し、複合的に適用した場合の結果を得た(n=54)。介入前と直後に肩関節の可動域、自動挙上、自動内旋、後方関節包の伸張性を記録した。

Results: Statistical analysis showed an increase in all range of motion values (p<0.05), except for shoulder internal rotation (p>0.05), without significant difference among the groups (p>0.05). The posterior capsule flexibility did not change in any group (p>0.05).

結果。統計解析の結果、肩関節内旋(p>0.05)を除き、すべての可動域の値が増加し(p<0.05)、群間に有意な差はなかった(p>0.05)。後方関節包の柔軟性は、どの群でも変化がなかった(p>0.05)。

 



◆論文の結論

Conclusions: Scapular mobilization and manual posterior capsule interventions were effective in improving the acute joint range of motion in frozen shoulder patients.

結論としては 肩甲骨のモビライゼーションとマニュアルによる後方関節包への介入は、五十肩患者の急性期の関節可動域の改善に有効であった。

 



◆まとめ

上記論文では54名の五十肩患者に対して、肩甲骨モビライゼーションと徒手による関節包ストレッチを比較して、どちらが急性期の効果が高いかを検証しております。

介入前と直後に肩関節可動域、自動挙上、自動内旋、後方関節包の伸張性を評価した結果、介入前後での比較では肩関節内旋と後方関節包の柔軟性以外は全て改善しています。しかし、2群間では有意差はなかったとのことです。

よって、結論としては 肩甲骨のモビライゼーションと徒手による後方関節包への介入は、五十肩患者の急性期の関節可動域の改善に有効であるが2つの治療法に優劣はなかったということになります。

五十肩治療においては肩甲骨への治療と肩関節包への治療のどちらも大切ということですね。

今回は、『五十肩(拘縮肩)に後方関節包ストレッチか肩甲骨モビライゼーションのどちらが有効か?』について解説させていただきました。