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『橈骨遠位端骨折のリハビリに肩甲骨の運動を追加するべきか?』

リハビリスタッフ向け
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『橈骨遠位端骨折のリハビリに肩甲骨の運動を追加するべきか?』

こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『橈骨遠位端骨折のリハビリに肩甲骨の運動を追加するべきか?』

について解説させていただきます。

 



橈骨遠位端骨折は高齢者の4大骨折のうちの一つとされており、超高齢社会に突入する日本においては、今後ますます増加傾向になることが予測されます。

橈骨遠位端骨折は以下に示す条件で発生リスクが高いと報告されています

・女性

・グルココルチコイド使用歴あり

・骨粗鬆症や骨量減少

・血清ビタミンD低値

・中手骨における骨皮質の多孔性や橈骨遠位端部の骨微細構造の劣化

・片脚起立時間15秒未満

・氷晶雨や路面の凍結、低気温といった気象

 『橈骨遠位端骨折の治療 保存療法VS手術療法 ~橈骨遠位端骨折 診療ガイドライン2017より~』

そんな中、2019年に、橈骨遠位端骨折の保存療法においてリハビリに肩甲骨の運動を追加した際の有効性を検討した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

 



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

Clin Rehabil (IF: 3.48; Q1)

. 2019 Dec;33(12):1931-1939.

 doi: 10.1177/0269215519866240. Epub 2019 Jul 29.

The effectiveness of adding a scapular exercise programme to physical therapy treatment in patients with distal radius fracture treated conservatively: a randomized controlled trial

保存的治療を受けた橈骨遠位端骨折患者における理学療法に肩甲骨運動プログラムを追加することの有効性:無作為化比較試験

Héctor Gutiérrez-Espinoza 1 2Felipe Araya-Quintanilla 1 3Rodrigo Gutiérrez-Monclus 4Iván Cavero-Redondo 5 6Celia Álvarez-Bueno 5 6

Affiliations expand

Abstract

Objective: To determine the effectiveness of a scapular exercise programme in addition to a physical therapy treatment in patients with distal radius fracture.

要旨

目的 橈骨遠位端骨折患者に対する理学療法に加え、肩甲骨エクササイズプログラムの有効性を検討すること。

Design: A single-blinded randomized controlled trial was conducted.

デザイン 単盲検無作為化比較試験を実施した。

Setting: Clinical Hospital San Borja Arriaran, Santiago, Chile.

セッティング Clinical Hospital San Borja Arriaran、チリ、サンチアゴ。

Participants: A total of 102 patients above 60 years of age with extra-articular distal radius fracture were randomly divided into two groups.

参加者 60歳以上の関節外橈骨遠位端骨折患者102名を無作為に2群に分けた。

Interventions: The control group (n = 51) received a six-week physical therapy treatment; the intervention group (n = 51) received the same treatment plus a scapular exercise programme.

介入。対照群(n=51)には6週間の理学療法治療を行い、介入群(n=51)には同治療に加えて肩甲骨エクササイズプログラムを行った。

Outcome measures: The two groups were assessed at baseline and after the six-week treatment. The arm function was assessed with the disabilities of the arm, shoulder and hand (DASH) questionnaire; secondary outcomes were measured by the patient-rated wrist evaluation (PRWE) questionnaire and visual analogue scale (VAS).

アウトカム評価。両群はベースラインと6週間の治療後に評価された。腕の機能はDASH(disabilities of the arm, shoulder and hand)質問票で評価し、副次的な結果は患者評価手関節評価(PRWE)質問票と視覚的アナログスケール(VAS)で測定した。

Results: A total of 102 patients, 51 in the control group (40 women; mean age of 65.3 ± 4.8 years) and 51 in the intervention group (42 women; mean age of 67.2 ± 5.4 years), were analysed. At the end of the treatment, the difference between groups for the DASH was 16.7 points (P < 0.001), 1.5 points (P = 0.541) for the PRWE, 0.2 cm (P = 0.484) for the VAS at rest, and 1.7 cm (P < 0.001) for the VAS at movement. All differences were in favour of the intervention group.

結果は以下の通り。対照群51名(女性40名、平均年齢65.3±4.8歳)、介入群51名(女性42名、平均年齢67.2±5.4歳)の合計102名の患者について分析がなされた。治療終了時の群間差は、DASHが16.7点(P < 0.001)、PRWEが1.5点(P = 0.541)、安静時VASが0.2cm(P = 0.484)、動作時VASが1.7cm(P < 0.001)であった。すべての差は介入群に有利であった。

 



◆論文の結論

Conclusion: In the short term, adding a scapular exercise programme provides a significant clinical benefit in arm function and pain relief with movement in patients above 60 years of age with extra-articular distal radius fracture treated conservatively.

結論 60歳以上の関節外橈骨遠位端骨折患者において、肩甲骨エクササイズプログラムを追加することで、短期的には腕の機能および動作時の疼痛緩和において有意な臨床的効果が得られる。

 



◆まとめ

上記論文では保存加療をしている60歳以上の関節外橈骨遠位端骨折患者102名に対して、介入群51名(理学療法+肩甲骨エクササイズ)と対照群51名(理学療法)の2群に分けて、肩甲骨エクササイズを追加することの有効性を検討しています。

治療前と治療後6週間後に上肢機能としてDASH(disabilities of the arm, shoulder and hand)、(PRWE)、痛みの評価としてVASを測定しております。

結果として、DASH、PRWE、動作時VASは介入群が有意に成績が良かったそうです。

上記論文の結果を踏まえると、60歳以上の保存治療の関節外橈骨遠位端骨折においては、肩甲骨エクササイズを追加することで、短期的には上肢機能、動作時痛が良好であることが示唆されています。

患部以外にもリハビリの視点を置くことは重要ですね。

今回は、『橈骨遠位端骨折のリハビリに肩甲骨の運動を追加するべきか?』

について解説させていただきました。