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『橈骨遠位端骨折にTFCC損傷を合併した際の機能予後は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『橈骨遠位端骨折にTFCC損傷を合併した際の機能予後は?』

について解説させていただきます。

 



橈骨遠位端骨折は転倒して手をついた際に発生することが多く、高齢者の4大骨折のうちの一つとされています。

特に骨粗鬆症があると発生しやすくなります。

超高齢社会に突入する日本においては、今後ますます増加傾向になることが予測されます。

また、橈骨遠位端骨折は以下に示す条件において、発生リスクが高いとされています。

・女性

・骨粗鬆症や骨量減少

・グルココルチコイド使用歴あり

・血清ビタミンD低値

・中手骨における骨皮質の多孔性や橈骨遠位端部の骨微細構造の劣化

・片脚起立時間15秒未満

・氷晶雨や路面の凍結、低気温といった気象

など

 



そんな中、2019年に、橈骨遠位端骨折にTFCC損傷を合併した際の機能予後を検討した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

 



◆三角線維軟骨複合体:TFCCとは                              

三角線維軟骨複合体(TFCC: triangular fibrocartilage complex)は手関節の尺側に位置している靭帯や腱、軟骨などの軟部組織構造のことを指します。

TFCCは手関節の安定性や支持性、力の伝達・吸収・分散などの役割があるとされており、前腕の回内外の運動も行います。

TFCC損傷は橈骨遠位端骨折に合併して発症することが、しばしばあるとされています。

 



◆論文紹介

J Hand Ther

. Jan-Mar 2019;32(1):57-63.

 doi: 10.1016/j.jht.2017.09.002. Epub 2017 Oct 18.

Outcomes of surgically treated distal radial fractures with associated triangular fibrocartilage complex injury

三角線維軟骨複合体損傷を合併した橈骨遠位端骨折の外科的治療の転帰について

Katerina Kasapinova 1Viktor Kamiloski 2

Affiliations expand

Abstract

Study design: Prospective cohort.

概要

研究デザイン。プロスペクティブ・コホート。

Introduction: Clinical studies that evaluate the correlation between associated lesions of the triangular fibrocartilage complex (TFCC) and outcome of distal radial fractures expressed with the patient-rated disability are missing.

はじめに 三角線維軟骨複合体(TFCC)の関連病変と患者評価障害で表される橈骨遠位端骨折の転帰との相関を評価する臨床研究は不足している。

Purpose of the study: To evaluate the outcomes of distal radius fractures associated with or without an injury of the TFCC.

研究の目的 橈骨遠位端骨折の転帰を、三角線維軟骨複合体(TFCC) の損傷を伴うものと伴わないもので評価する。

Methods: Patients undergoing operative treatment for distal radial fracture were prospectively enrolled (n = 70). The TFCC was examined by wrist arthroscopy, and injuries were classified according to Palmer. Comparative analyses were performed on data from 45 patients with TFCC injury (the injured group) and 25 patients with an intact TFCC (the intact group). The outcome measures included The Patient-Rated Wrist Evaluation (PRWE) and the Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand (DASH) questionnaires, 3 and 12 months after injury.

方法 橈骨遠位端骨折の手術療法を受けた患者を前向きに登録した(n = 70)。TFCCは手関節鏡で検査し,傷害はPalmerに準じて分類した。三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷患者45名(損傷群)とTFCC無傷患者25名(無傷群)のデータを用いて比較分析を行った。アウトカム評価には、受傷後3ヶ月および12ヶ月のThe Patient-Rated Wrist Evaluation(PRWE)およびDisabilities of the Arm, Shoulder and Hand(DASH)質問票を使用した。

Results: The TFCC was injured in 45 patients (64%). In patients with an intact TFCC, the mean total PRWE score was 27 (at 3 months) and 16 (at 12 months), whereas in patients with TFCC injury, it was 40 (at 3 months) and 24 (at 12 months). Mean DASH scores were 26 and 13 for the intact group and 39 and 27 for the injured group at 3 and 12 months, respectively. PRWE and DASH results showed significant difference at 3 and 12 months when compared using the Mann-Whitney test.

結果 三角線維軟骨複合体(TFCC)は45名(64%)の患者で損傷した。TFCCが損傷していない患者の平均PRWE総スコアは27(3ヵ月時)および16(12ヵ月時)であったのに対し、TFCCが損傷した患者では40(3ヵ月時)および24(12ヵ月時)であった。DASHスコアの平均は、3ヶ月と12ヶ月の時点で、無傷群では26点と13点、損傷群では39点と27点であった。PRWEとDASHの結果をMann-Whitney検定で比較したところ、3ヶ月と12ヶ月で有意差が認められた。

 



◆論文の結論

Conclusions: Disability outcomes were worse in patients with distal radial fracture where TFCC was injured. TFCC injuries are an important cofactor affecting the outcome of distal radial fractures.

結論 橈骨遠位端骨折で三角線維軟骨複合体(TFCC)を受傷した患者では、障害予後が悪化していた。TFCC損傷は橈骨遠位端骨折の転帰に影響する重要なコファクターである.

 



◆まとめ

上記論文では橈骨遠位端骨折の手術療法を受けた患者70名を、三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷患者45名(損傷群)とTFCC無傷患者25名(無傷群)の2群に振り分け、TFCC損傷の有無による機能予後を検討しております。

評価には、受傷後3ヶ月、12ヶ月のThe Patient-Rated Wrist Evaluation(PRWE)およびDisabilities of the Arm, Shoulder and Hand(DASH)質問票にて測定しております。

結果として受傷後3か月と12カ月においてTFCC無償群の方がPRWE、DASHスコアともに有意に成績が不良であったとのことです。

上記論文の結果を踏まえると、橈骨遠位端骨折に三角線維軟骨複合体(TFCC)を受傷した患者では、手術後の機能予後が悪化することがわかりました。

橈骨遠位端骨折術後のリハビリを実施する際はTFCCの損傷の有無を確認しておくことが重要になりそうですね。

今回は、『橈骨遠位端骨折にTFCC損傷を合併した際の機能予後は?』

について解説させていただきました。