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『モートン病に対してブロック注射は効果があるのか?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『モートン病に対してブロック注射は効果があるのか?』

について解説させていただきます。

 



モートン病は足趾へと向かう神経が、足趾の付け根の部分で圧迫を受けることで生じる神経障害です。

神経が圧迫される原因としては、槌趾変形(マレット指)がある場合や中腰の作業、ハイヒール常用などの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾(がいはんぼし)など骨の形態異常などが指摘されています。

ガングリオン(ゼリー状の腫瘤)などの腫瘍が神経を圧迫する場合もあるようです。

中年以降の女性に多く発症するとされています。

 



初期には歩行時に足趾の付け根が痛くなり、症状が進行すると、足趾や足背への痛み、しびれといった知覚異常が生じることがあります。

症状は第2-3、3-4足趾間、4-5足趾間のしびれ、疼痛の神経症状が出現することが多いとされています。

治療としては、保存療法と手術があり、保存療法では、靴の変更(ソールを軟らかくする、ヒールを低くする)、薬物療法、足底挿板(インソール)の作成や局所神経ブロック注射などがあります。

これらの保存療法で改善しない場合には、神経剥離術や神経切除術などの手術療法が選択されることがあります。

そんな中、2021年に、モートン病に対してブロック注射の治療効果を検討した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。

 



◆論文紹介

Clin Orthop Surg (IF: 1.89; Q2)

. 2021 Jun;13(2):266-277.

 doi: 10.4055/cios20256. Epub 2021 Apr 22.

Corticosteroid Injection for Morton’s Interdigital Neuroma: A Systematic Review

モートン趾間神経腫に対する副腎皮質ステロイド注射:系統的レビュー

Jun Young Choi 1Hyun Il Lee 1Woi Hyun Hong 2Jin Soo Suh 1Jae Won Hur 1

Affiliations expand

Abstract

Backgroud: This review aimed to evaluate the effects of corticosteroid injections on Morton’s neuroma using an algorithmic approach to assess the methodological quality of reported studies using a structured critical framework.

概要

背景 このレビューは、構造化された批判的枠組みを用いて報告された研究の方法論的品質を評価するアルゴリズムアプローチを用いて、モートン神経腫に対するコルチコステロイド注射の効果を評価することを目的としています。

Methods: Several electronic databases were searched for articles published until April 2020 that evaluated the outcomes of corticosteroid injections in patients diagnosed with Morton’s neuroma. Data search, extraction, analysis, and quality assessments were performed according to the Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses (PRISMA). guidelines, and clinical outcomes were evaluated using various outcome measures.

方法 2020年4月までに発表された、モートン神経腫と診断された患者に対する副腎皮質ホルモン注射の転帰を評価した論文を、複数の電子データベースで検索した。データ検索,抽出,解析,品質評価は,Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA).ガイドラインに従って行い,臨床転帰は様々なアウトカム指標を使用して評価した。

Results: With 3-12 months of follow-up, corticosteroid injections provided satisfactory outcomes according to Johnson satisfaction scores except in two studies. Visual analog scale scores showed maximal pain reduction between 1 week and 3 months after injection. We found that 140 subjects out of 469 (29.85%) eventually underwent surgery after receiving corticosteroid injections due to persistent pain.

結果 3~12ヶ月のフォローアップで、2つの研究を除き、副腎皮質ステロイド注射はJohnson satisfaction scoreによると満足のいく結果をもたらした。Visual analog scale scoreでは,注射後1週間から3ヶ月の間に最大限の痛みの軽減が認められた.469例中140例(29.85%)が,副腎皮質ステロイド注射後,持続する痛みのために最終的に手術を受けたことがわかった。

 



◆論文の結論

Conclusions: Corticosteroid injections showed a satisfactory clinical outcome in patients with Morton’s interdigital neuroma although almost 30% of the included subjects eventually underwent operative treatment. Our recommendation for future research includes using more objective outcome parameters, such as foot and ankle outcome scores or foot and ankle ability measures. Moreover, studies on the safety and effectiveness of multiple injections at the same site are highly necessary.

結論 副腎皮質ステロイド注射は,Morton指間神経腫の患者において満足のいく臨床結果を示したが,対象者の約30%が最終的に手術治療を受けた。今後の研究課題としては、足関節のアウトカムスコアや足関節の能力測定など、より客観的なアウトカムパラメータを用いることを推奨する。また、同一部位への複数回注射の安全性と有効性に関する研究も必要である。

 



◆まとめ

上記論文ではモートン病患者への副腎皮質ステロイド注射を評価した論文を検索し469例の治療効果の検証をしております。

治療効果はJohnson satisfaction score(満足度スコア)、Visual analog scale score(痛み)にて評価されているようです。

結果として、副腎皮質ステロイド注射によりJohnson satisfaction scoreで満足のいく結果をもたらし、Visual analog scale scoreでは注射後1週間から3ヶ月の間に最大限の痛みの軽減が認められたようです。

しかし、約30%の症例で副腎皮質ステロイド注射後にも痛みが持続しており最終的に手術を受けたようです。

上記論文の結果を踏まえると、モートン病に対してブロック注射は痛みに対して効果が得られるようです。

しかし、対象者の約30%は最終的に手術を受ける結果となったようです。

今回は、『モートン病に対してブロック注射は効果があるのか?』

について解説させていただきました。