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『橈骨遠位端骨折の治療は保存療法と手術療法どちらが有効か?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『橈骨遠位端骨折の治療は保存療法と手術療法どちらが有効か?』

について解説させていただきます。

 



橈骨遠位端骨折は高齢者の4大骨折のうちの一つであり、超高齢社会に突入する日本においては、今後ますます増加してくることが予測されます。

橈骨遠位端骨折は以下に示す条件で発生リスクが高いと報告されています

・女性

・グルココルチコイド使用歴あり

・血清ビタミンD低値

・骨粗鬆症や骨量減少

・氷晶雨や路面の凍結、低気温といった気象

・中手骨における骨皮質の多孔性や橈骨遠位端部の骨微細構造の劣化

・片脚起立時間15秒未満

  『橈骨遠位端骨折の受傷後6か月の機能は?』

そんな中、2015年に、橈骨遠位端骨折の治療において保存療法と手術療法でどちらの成績が良好かを比較検討した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果がとても気になるところです。

 



◆論文紹介

Review

 Langenbecks Arch Surg (IF: 3.44; Q2)

. 2015 Oct;400(7):767-79.

 doi: 10.1007/s00423-015-1324-9. Epub 2015 Aug 30.

Comparison of treatment outcomes between nonsurgical and surgical treatment of distal radius fracture in elderly: a systematic review and meta-analysis

高齢者の橈骨遠位端骨折に対する非外科的治療と外科的治療の治療成績の比較:系統的レビューとメタアナリシス

Ji-Hui Ju 1Guang-Zhe Jin 1Guan-Xing Li 1Hai-Yang Hu 1Rui-Xing Hou 2

Affiliations expand

Abstract

Purpose: The best treatment of distal radius fractures (DRFs) in the elderly is uncertain. The purpose of this meta-analysis was to compare the outcomes of surgical and nonsurgical management of DRFs in persons 65 years of age or older.

概要

目的 高齢者の橈骨遠位端骨折(DRF)に対する最適な治療法は不明である。このメタアナリシスの目的は、65歳以上の高齢者における橈骨遠位端骨折(DRF)の外科的治療と非外科的治療の結果を比較することである。

Methods: Medline, Cochrane, EMBASE, and Google Scholar databases were searched until April 27, 2015 using the following search terms: distal radius fracture, conservative treatment, nonoperative treatment, nonsurgical treatment, surgical treatment, operative, elderly, and older. The primary outcome measure was DASH score, and secondary outcomes were functional and radiological assessments. The standard difference in post-treatment means was calculated for the outcomes to compare the two groups.

方法は以下の通り。Medline,Cochrane,EMBASE,Google Scholarの各データベースを,以下の検索語を用いて2015年4月27日まで検索した:橈骨遠位端骨折,保存療法,非手術療法,手術療法,手術,高齢,olden。主要アウトカム指標はDASHスコア、副次的アウトカムは機能的評価と放射線学的評価とした。治療後の平均値の標準差を算出し、2群の比較を行った。

Results: Of 59 articles identified, eight studies with a total of 440 patients in the surgical groups and 449 in the control groups were included in the analysis. No significant differences in DASH score, VAS pain score, grip strength, wrist extension, pronation, or supination, and ulnar deviation were noted between the groups. The nonsurgical group had significantly greater wrist flexion, radial deviation, and ulnar variance and less radial inclination than the surgical group.

結果は以下の通り。同定された59件の論文のうち、手術群440名、対照群449名の合計8件の研究が解析に含まれた。DASHスコア、VAS疼痛スコア、握力、手関節伸展、回内、回外、尺側偏位は両群間に有意差は認められなかった。非手術群は手術群に比べ、手関節の屈曲、橈骨偏位、ulnar variance(橈骨に対する尺骨の高さ)が有意に大きく、橈骨傾斜が小さかった。

 



◆論文の結論

Conclusions: Surgical and nonsurgical methods produce similar results in the treatment of DRFS in the elderly, and minor objective functional differences did not result an impact on subjective function outcome and quality of life.

結論 高齢者におけるDRFSの治療において、手術法と非手術法は同様の結果をもたらし、わずかな客観的機能差は主観的機能結果やQOLに影響を及ぼさないことがわかった。

 

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◆まとめ

上記論文ではMedline,Cochrane,EMBASE,Google Scholarの各データベースから59件の論文を抽出し、8件の論文から65歳以上の高齢者における橈骨遠位端骨折(DRF)患者を、手術群440名、保存療法群449名の2群に分けて、治療成績を比較しております。

評価項目はDASHスコア、機能的評価、放射線学的評価で検討しております。

結果として、DASHスコア、VAS疼痛スコア、握力、手関節伸展、回内、回外、尺側偏位は両群間に有意差は認められなかったとのことです。

保存療法群は手術群に比べ、手関節の屈曲、橈骨偏位、ulnar variance(橈骨に対する尺骨の高さ)が有意に大きく、橈骨傾斜が小さかったそうです。

上記論文の結果を踏まえると、65歳以上の橈骨遠位端骨折(DRFS)の治療においては、手術と保存療法は橈骨および尺骨のアライメントに関しては手術の方が優れている面はありますが、機能的にはそれほど差はないという結果が得られています。

今回は、『橈骨遠位端骨折の治療は保存療法と手術療法どちらが有効か?』

について解説させていただきました。