こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『骨折はMRIの脂肪抑制像をみれば誰でも簡単に見抜ける』について解説させていただきます。
リハビリスタッフにおいても画像所見の読影は非常に重要です。
運動器分野のリハビリスタッフでは骨折の画像所見は見抜けるようになりたいところです。
レントゲンの読影においても見慣れてくると骨折の所見がわかるようになってきます。
しかし、中にはかなりわかりにくい症例や、転位がなくレントゲンでは判別困難な症例もいます。
そんな時にはMRIの脂肪抑制像をみると、初心者でもすぐに骨折しているかがわかります。
MRIには大きく分けてT1強調画像、T2強調画像とあります。
T2強調画像については水分や脂肪を白く写す撮影方式になります。
T2の分類の中に脂肪抑制像:Fat sat (fat saturation)というものがあります。
脂肪抑制像では脂肪も抑制した撮影するため、水分だけが白く写ります。
骨には毛細血管がうずまいているので、骨折すると必ず出血します。
血液は水分ですので白く写ります。
脂肪抑制像にはいくつか種類があります。
●CHESS(CHEmical Shift Selective)
●STIR(ShortT1 Inversion Recovery)
●WATS(water selective excitation technique)
などがあります。
MRIをみてみると、Fat satやSTIRなど記載されていると思います。
実際の下記の症例でみてみましょう
左の図はレントゲンです。
わかりにくいですが、Th12とL3が圧迫骨折をしています。
レントゲンで圧迫骨折がわかったとしても5年前の骨折なのか、2日前の骨折なのかは判別がかなり難しいです。
そこで右の図でMRIの脂肪抑制像をみてみると、Th12は白く写らずに、L3が白く写っているのがわかります。
ということは、L3は骨折して出血している状態ということになります。
ですので、結果としてTh12は昔の陳旧性圧迫骨折で、L3は最近骨折した新鮮圧迫骨折
ということになります。
脊椎圧迫骨折のレントゲンによる正診率は諸家の報告で50%前後のものが多いです。
よってMRIによる読影は重要になってきます。
続いて転位をしていない大腿骨頚部骨折のレントゲンとMRI脂肪抑制像です。
大腿骨頚部骨折のレントゲンの正診率は97%前後とかなり判別しやすい部類になります。
(大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン 改定第2版)
しかし、上記の左図のように転位をしていない骨折に関してはレントゲンでも判別が困難です。
右図の脂肪抑制像をみてみると、大腿骨頸部が白くライン上に写っているのがわかります。
ということは、不顕性の大腿骨頚部骨折をしていることが判別できます。
MRIがない施設では医師がレントゲン撮影と理学所見や叩打痛、整形外科的テストなど、さまざまな合わせ技を使って骨折しているか判別していると思います。
どうしてもわからない時は、MRIがある施設に紹介することもあります。
今回は、『骨折はMRIの脂肪抑制像をみれば誰でも簡単に見抜ける』について解説させていただきました。