こんにちは!!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は『頚椎症性頚髄症の評価に有用な手指10秒テストはご存じですか?』について解説していきたいと思います。
◆頚椎症性脊髄症
頚椎症性頚髄症は上肢のしびれや筋力低下をはじめ、手指の巧緻運動障害、歩行障害、排尿・排便障害など様々な症状を引き起こします。
特に手指の巧緻性障害においては治療や評価に難渋する点でもあります。
◆手指10秒テスト
手指の巧緻性の評価は様々ありますが、非常に有用で簡便な評価方法として手指10秒テスト:(10 Second Grip and Release Test)があります(Ono.1987)。
これは10秒間に手指の把握(グー)と伸展(パー)を何回行えるかを測定します。
測定姿勢は特に既定されておりません。
この手指10秒テストは手術療法を行うかの判断に使用されたり、頚髄症があるかどうかの判断に行われます。
またリハビリテーションにおいても、経過観察や治療効果の判定などの機能評価に非常に有用です。
一般的に25回以上が正常で20回以下で異常がある可能性が示唆されます。
(加藤文彦:労災疾病等13分野医学研究・開発、普及事業 分野名「せき髄損傷」.2009より引用して改変)
4施設:美唄労災病院、千葉労災病院、総合せき損センター、中部労災病院
にてボランティアの健常者900名による頚椎ドックが施行されました。
年齢とともに手指10秒テストの数値は低下してくる傾向にあり、女性の方が回数が少ないようです。
一般的に25回以上が正常で20回以下で異常がある可能性が示唆されますが、健常者の手指10秒テストの平均値を見てみると60歳を超えてくると20回を下回ってきます。
よって60歳以降では異常と判断するラインを15回程度に下げるか、左右差で比較することも重要になります。
手指10秒テスト(10 Second Grip and Release Test)は脊髄外科領域ではよく使用される評価であり、簡便に測定可能なためおすすめのテストです。
最後に手指10秒テストが記載されている1987年の日本人による論文のAbstractを記載しておきます。
今回は『頚椎症性頚髄症の評価に有用な手指10秒テストはご存じですか?』を解説させていただきました。
『頚椎症性脊髄症を放置するとどうなる?~頚椎症性脊髄症 診療ガイドライン2020より~』
◆引用論文
Myelopathy hand. New clinical signs of cervical cord damage
K Ono, S Ebara, T Fuji, K Yonenobu, K Fujiwara, K Yamashita
J Bone Joint Surg Br . 1987 Mar;69(2):215-9.
Abstract
A characteristic dysfunction of the hand has been observed in various cervical spinal disorders when there is involvement of the spinal cord. There is loss of power of adduction and extension of the ulnar two or three fingers and an inability to grip and release rapidly with these fingers. These changes have been termed “myelopathy hand” and appear to be due to pyramidal tract involvement. The characteristic nature of the signs permit the distinction between myelopathy and changes due to nerve root or peripheral nerve disorder. The clinical significance of these signs has been assessed against other tests and their value in management is discussed.
概要
様々な頚椎疾患において,脊髄に病変がある場合,手指に特徴的な機能障害が認められる。尺側の2~3本の指の内転・伸展力が低下し、これらの指で素早く握ったり離したりすることができません。これらの変化は「脊髄症の手」と呼ばれ、錐体路の病変によるものと考えられています。症状の特徴から、脊髄症と、神経根や末梢神経の障害による変化とを区別することができます。これらの徴候の臨床的意義は他の検査と比較して評価されており、管理上の価値が議論されている。