こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『靴下を履くのに必要な腰椎可動域は?』について解説させていただきます。
日常生活動作(ADL)の中で靴下を履く動作は大きな腰椎の屈曲可動域角度が必要となります。
靴下を履く動作に必要な腰椎可動域を知っておくと、リハビリの際の目標になったり、ゴール設定がしやすくなると思います。
そんな中1994年と少し古いですが、立位から座位、座位から立位、靴下を履く、床から物を取る動作に必要な腰椎の可動域を研究している英論文が報告されています。
日常生活動作(ADL)に必要な関節可動域(ROM)を知っているとリハビリの際に参考になりますので、とても気になるところです。
◆論文紹介
J Manipulative Physiol Ther (IF: 1.44; Q4)
. Jul-Aug 1994;17(6):353-8.
Range of motion of the lumbar spine required for four activities of daily living
日常生活の4つの動作に必要な腰椎の可動域
Affiliations expand
- PMID: 7964194
Abstract
Objective: To assess the range of motion of the lumbar spine required for four activities of daily living.
概要
目的 日常生活の4つの動作に必要な腰椎の可動域を評価すること。
Design: Descriptive study.
デザイン 記述的研究。
Setting: Chiropractic college research laboratory.
設定 カイロプラクティック大学の研究室
Subjects: Forty-eight young and healthy subjects.
被験者 若くて健康な48人の被験者。
Instrumentation: OSI CA-6000 computerized spinal motion analyzer.
器具 OSI CA-6000コンピュータ式脊椎運動解析装置
Results: The intraclass correlation coefficient ranged from .99-.95 for peak flexion measurements. Stand-to-sit and sit-to-stand activities required approximately 56-66% of lumbar flexion. Putting on socks required about 90% of lumbar flexion. Picking an object off the floor required almost full lumbar flexion (95%). Analysis of variance showed significant differences among all four activities (p < .001). Scheffe tests revealed that the differences were found between sit/stand activities and picking up an object from the floor, and also between sit/stand activities and putting on socks.
結果 ピーク屈曲の測定におけるクラス内相関係数は、0.99~0.95であった。立位から座位、座位から立位の動作では、約56~66%の腰部の屈曲が必要であった。靴下を履くときには、腰部の約90%の屈曲が必要であった。床から物を取る動作では、腰部をほぼ完全に屈曲させる必要があった(95%)。分散分析の結果、4つの活動の間に有意な差が見られた(p < 0.001)。Scheffe検定では、sit/stand活動と床から物を拾うことの間、またsit/stand活動と靴下を履くことの間にも違いが見られた。
◆論文の結論
Conclusion: We showed that four activities of daily living could be reliably measured by an OSI CA-6000 motion analyzer. Putting on socks and picking up an object off the floor were found to require more lumbar flexion motion than sit/stand activities. Also, different strategies were observed in performing these activities. Future research shall address these activities and their changes in low back pain patients.
結論 OSI CA-6000モーションアナライザーを用いて、4つの日常生活動作を信頼性高く測定できることを示した。靴下を履く動作と床から物を拾う動作は、座位・立位動作よりも腰部の屈曲動作を必要とすることがわかった。また、これらの活動を行う際には、異なる戦略が観察された。今後は、腰痛患者におけるこれらの動作とその変化について研究していく予定である。
◆まとめ
上記論文では若年健康成人48名に対して、日常生活動作4つに必要な、腰椎可動域を脊椎運動解析装置を用いて調査しております。
日常生活動作4つは以下の通りです。
・立位から座位
・座位から立位
・靴下を履く
・床から物を取る
立位から座位、座位から立位の動作では、約56~66%の腰部の屈曲が必要であった。
靴下を履くときには、腰部の約90%の屈曲が必要であった。
床から物を取る動作では、腰部をほぼ完全に屈曲させる必要があった(95%)。
以上のことより、立ち座りの動作は、ある程度の腰椎可動性が保たれていれば動作遂行が可能と思われます。
しかし、靴下を履く動作であったり、床から物を取る動作においては、9割以上の腰椎屈曲可動性が必要となりますので、腰椎可動性が制限された場合は、股関節の可動性による代償や、ソックスエイド、リーチャーなどの自助具の必要性を考える必要性がありそうです。
今回は、『靴下を履くのに必要な腰椎可動域は?』について解説させていただきました。