こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『腰痛および坐骨神経痛の原因となる組織の割合(%)を公開!』
について解説させていただきます。
腰痛や坐骨神経痛の原因を知るための興味深い論文があります。
下記の論文は被引用数が1298とかなり多く引用をされている有名な論文です。
現在ではなかなか倫理的にできないであろう研究ではあると思います。
The tissue origin of low back pain and sciatica: a report of pain response to tissue stimulation during operations on the lumbar spine using local anesthesia.
腰痛と坐骨神経痛の起源となっている組織:
局所麻酔下での腰椎手術中に、組織を刺激した際の、疼痛がでた場所と割合の研究
Kuslich SD1,Ulstrom CL,Michael CJ
The Orthopedic Clinics of North America, 01 Apr 1991, 22(2):181-187
PMID: 1826546
引用元1298本
【Abstract】
In an effort to define the origin of low back pain and sciatica, 193 patients were carefully studied using progressive local anesthesia. These patients had surgery for herniated discs, spinal stenoses, or both. Various tissues were stimulated during the performance of these lumbar spinal operations. This article discusses our observations and the results of that study.
腰痛と坐骨神経痛の起源を定義するために、193人の患者が局所麻酔を用いて、研究された。これらの患者は椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、またはその両方の手術を受けた。これらの腰椎手術の間に様々な組織が刺激された。この記事では、我々の観察とその研究の結果について説明します。
論文の内容の一部を抜粋し、翻訳し図にしております。
胸腰筋膜:17%/腰痛
脊柱起立筋:41%/腰痛
棘上靭帯:25%/腰痛
棘間靭帯:6%/腰痛
椎間関節:30%/腰痛、殿部痛
黄靭帯:0%
硬膜:23%/腰痛、殿部痛、下肢痛
圧迫された神経根:99%/殿部痛、下肢痛、足部痛
正常な神経根:11%/殿部痛、下肢痛
線維輪:74%/腰痛
髄核:0%/
終板:61%/腰痛
これらの組織が腰痛や下肢痛(坐骨神経痛)の原因となっている組織です。
興味深いデータがいくつもあります。
例えば、
・圧迫された神経根は99%の割合で痛みがでるが、正常な神経根の場合は11%しか痛みがでない。
・椎間板性腰痛に関連する線維輪や終板などは腰痛の出る割合が高い。
・椎間関節は腰痛の原因で多いが、そこまで割合が多くない(30%)
・髄核は神経がないため、解剖生理学通り痛みが発生しない
・硬膜は腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症で圧迫を受けるため、疼痛割合が多いと予想されたがそこまで多くない(23%)
このように組織ごとの腰下肢痛がでる割合と場所を知っておくと、腰痛を評価するときに画像や理学所見から病態が考察しやすくなりますね。
今回は、『腰痛および坐骨神経痛の原因となる組織の割合(%)を公開!』について解説させていただきました。