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『腰椎椎間板ヘルニアはどれくらいの期間で吸収(自然退縮)される?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、

について解説させていただきます。



◆腰椎椎間板ヘルニアとは

腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎と腰椎の間でクッションのような働きを担う椎間板と呼ばれる組織が、加齢などの原因で変性して突出し、腰椎の中を走行している神経を圧迫し、さまざまな神経症状を引き起こす症状です。

腰椎椎間板ヘルニアの症状は、突出した椎間板の位置や大きさによって異なります。

腰やお尻に痛みが生じることが多く、突出した椎間板に圧迫された神経側の太ももやふくらはぎに、放散するようなしびれと痛みが引き起こされます。

腰椎椎間板ヘルニアは20~40歳代の男性に多く、ブルーカラー(重労働者)の方が発症しやすいと言われています。

椎間板の組織は20歳代から徐々に変性していくことが分かっており、このような加齢による変性の結果として椎間板の外郭(線維輪)の断裂が生じ、椎間板の中身(髄核)がはみ出すことが主な原因とされています。

また、近年の報告では遺伝的要因が影響しているとされています。

腰椎椎間板ヘルニアの確定診断には、MRI検査で椎間板の突出や神経の圧迫を確認する必要があります。

治療法としての多くは保存療法(リハビリテーション、投薬治療、装具療法、ブロック注射)もしくは各種手術療法が選択されます。

椎間板ヘルニアは保存治療において、吸収(自然退縮)されると言われております。

脱出した椎間板の吸収には、椎間板の内部成分(髄核、内層線維輪)が外部環境に暴露されることが必要であり、マクロファージによって分解貪食されると報告されております。

(菊池太朗ら:整・災外科.2000)



◆腰椎椎間板ヘルニアはいつ吸収(自然退縮)される?

腰椎椎間板ヘルニアの自然吸収(退縮)には下記のような報告があります。

腰椎椎間板ヘルニア26例において、MRI上で確認したところ、

最短2か月で1症例がヘルニア塊が消失し、3ヵ月以内にほとんどの症例が50%以下となるという報告があります。

また、下肢痛は2か月以内に半減し消失までの平均期間は4.8か月~5.3か月とのことです。

(池田天史(他):整形外科と災害外科,1997)

手術で椎間板摘出をすれば、痛みがすぐに楽になる事が多いですが、保存療法で自然治癒するには、腰椎椎間板ヘルニアの発症から2~3か月で下肢痛が半減し、約5か月で痛みが消失することが多いようですね。



 

(時岡孝光・(他):腰椎椎間板ヘルニアの自然経過-MRI複数回撮像例の検討-,整形外科と災害外科,47(3),1068-1073,1998)

また上記のような報告もあります。

・腰椎椎間板ヘルニア32例(平均42.2歳、追跡期間3~24カ月)において、MRI上で3か月ごとに撮影したところ、50%以上の縮小は3か月で5例(15.6%)、6か月で16例(50.0%)、9か月で22例(68.7%)、12か月で28例(87.5%)

・膨隆型は6例:12か月で2例が縮小、残り4例は12か月後もわずかな縮小か縮小しなかった

※膨隆型(protrusion):ヘルニアが線維輪の最外層を超えない

・脱出型は13例:6か月で5例縮小、9か月で10例、12か月までに全例が50%以上の縮小

※脱出型(extrusion):ヘルニアが線維輪の最外層を超える

・遊離脱出型は13例:では3か月で5例、6か月で11例が縮小、12か月では全例が縮小した

※遊離脱出型(sequestration):ヘルニアが硬膜外に遊離移動する

・JOAスコアの改善率は最終評価時で膨隆・突出型で74.3%、脱出型で72.3%、遊離脱出型で82.8%

上記論文では腰椎椎間板ヘルニアのタイプにもよりますが、発症から約6か月で50%以上に退縮する症例が50%程度で、以降9カ月、12か月と経過するつれ、ヘルニアの退縮率が上がっていきます。

また、脱出型、遊離脱出型のように重症度が上がる方が症状としてはつらいですが、自然吸収(退縮)される確率は高くなります。

 



◆まとめ

・腰椎椎間板ヘルニアの自然吸収(退縮)は、発症から3か月~6カ月程度でヘルニアが50%以下に退縮することが多い

・腰椎椎間板ヘルニアが消失にいたるまで自然吸収(退縮)するには6カ月~12か月程度かかる事が多い

・腰椎椎間板ヘルニアのタイプは脱出型、遊離脱出型のように重症度が上がる方が自然吸収(退縮)される確率は高くなる。

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今回は、『腰椎椎間板ヘルニアはどれくらいの期間で吸収(自然退縮)される?』について解説させていただきました。