こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『椎間関節性腰痛の特徴と理学所見とは?』
について解説させていただきます。
椎間関節性腰痛は急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)の要因の一つでもあります。
また慢性腰痛症においても椎間関節性腰痛の方は多くおられます。
若年者から高齢者まで男女問わず、幅広い年齢層に見られる腰痛になります。
椎間関節とは脊椎の椎体と椎体をつなぐ関節であり、下位椎体の上関節突起と上位椎体の下関節突起で構成されております。
椎間関節は滑膜で覆われており、侵害受容器が30%含まれている(Yamashita T:JBJS 1990)ため、腰椎でも痛みを感じやすい組織とされています。
椎間関節は全荷重の16%を支え(Adams:JBJS.1980)ます。
腰椎を後屈すると、軸方向の荷重は平均16%受けるが、脊椎に変形があった場合、その荷重は70%まで受ける(Dunlop RB et al:JBJS 1984)(Yang KH:Spine 1983)とされています。
よって高齢になって腰椎が多少なりとも加齢変化(老化)により変形してくると、椎間関節への負荷はかなり強くなります。
腰椎レベルの椎間関節はL1/2、L2/3、L3/4、L4/5、L5/Sになります。
椎間関節の場所は下記の図でご確認ください。
ちなみに椎間関節は腰多裂筋も付着しており、多裂筋と椎間関節は脊髄神経後枝内側枝という同じ支配神経であるため、相互に関わり合うことが多いです。
例)椎間関節に痛みがあって、多裂筋にも痛みが波及する
◆特徴
・椎間関節に圧痛がある
・多裂筋に圧痛がある
・片側性の腰痛
・前屈位から後屈へ移行した際の疼痛
・体幹後屈時の疼痛
・膝から遠位には痛みがない
・One point indication sign(一本指で痛い箇所を示す)
・伸展、同側側屈、反対回旋で疼痛が生じやすい
バイオメカニクス研究から腰椎椎間関節への力学的負荷は伸展、同側側屈、反対回旋で強くなることがわかっています(湯川 泰紹 他:関節外科18(7) 1999 )。
例)右椎間関節へ負荷がかかるのは伸展・右側屈・左回旋(KEMPテストの肢位)
下記の論文では腰椎椎間関節の理学所見の感度と特異度が示されていますので、見ていきたいと思います。
Diagnosis and Characters of Non-Specific Low Back Pain in Japan: The Yamaguchi Low
Back Pain Study
Hidenori Suzuki*, Tsukasa Kanchiku, Yasuaki Imajo, Yuichiro Yoshida, Norihiro Nishida,
Toshihiko Taguchi
PLoS One. 2016 Aug 22;11(8)
この研究では、山口県にて2015年4月から5月にかけて、主に腰痛のために診療所を訪れ、治療を受けた320名の患者を調査しております。
結果として、画像で判断できない腰痛(非特異的腰痛)は79%であるが、理学所見を補助的に追加し、診断可能な腰痛は78%であったと報告しています。
ちなみに、画像で分からない腰痛の原因としては、
◆筋筋膜性腰痛
◆椎間関節性腰痛
◆椎間板性腰痛
◆仙腸関節性腰痛
が挙げられています。
上記の中から、椎間関節性腰痛の理学所見の感度と特異度が下の図で表されており、和訳したものを提示しました。
感度:病気がある群での検査の陽性率
特異度:病気がない群での検査の陰性率
要するに、感度と特異度が両方とも高い検査が椎間関節性腰痛と診断できる可能性が高いということになります。
この論文からわかることは、
・Kempテストが 感度0.706、特異度0.861
・One pointの痛みが 感度0.706、特異度0.861
・傍脊柱筋の圧痛が 感度0.706、特異度0.861
と特に上記の3つが特に感度と特異度が高く椎間関節性腰痛の理学所見としては使用できそうです。
私が考える椎間関節性腰痛のリハビリコンセプトとしては
◆椎間関節の除圧
・多裂筋のリラクセーション(椎間関節に付着しているため)
・椎間関節離開徒手操作(牽引・同側回旋・反対側側屈)
◆近隣関節の拘縮除去
・股関節屈曲筋のリラクセーション&ストレッチ
・胸郭モビライゼーション
◆姿勢調節
・腰椎前彎の是正
・腹横筋ex
・多裂筋拘縮除去
などが良いかと考えています。
今回は、『椎間関節性腰痛の特徴と理学所見とは?』について解説させていただきました。
『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 リハビリは効果なし?』