こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『変形性股関節症(OA)に関節内注射は効果あるの?』
について解説させていただきます。
変形性股関節症(OA)は加齢変化(老化)により、股関節を構成する骨の変形や、関節軟骨(クッションの役割)の摩耗や減少を来たす疾患です。
変形性股関節症の症状としては、股関節の痛み、関節可動域の減少、跛行(歩きにくさ)などが挙げられます。
変形性股関節症は大きく分けて2つに分類されています。
●一次性:あきらかな原因がないもの
●二次性:何らかの病気やケガが原因のもの
日本では先天性股関節脱臼、臼蓋不全によるものが約90%とされています
変形性股関節症(OA)の有病率は全体で1.0~4.3%であり、男性は0~2.0%、女性は2.0~7.5%と女性の割合が多いとされています。
日本においては、一次性変形性股関節症の頻度は、0.65~21%と報告されています。
変形性股関節症(OA)の発症年齢は40~50歳に多く、遺伝の影響を受ける可能性があるとされています。
変形性股関節症においては、2016年5月に『変形性股関節症 診療ガイドライン2016 改定第2版』が南江堂より出版されております。
この変形性股関節症診療ガイドラインでは、世界中の有益な論文を、様々な視点で検証され、科学的根拠のある論文を集め、再編されています。
【監修】日本整形外科学会、日本股関節学会
2006年~2013年で、英文1,143件、和文428件、合計1571件から検証されております。
この中から、
『変形性股関節症に対する関節内注入(ステロイド、ヒアルロン酸)の効果は』
という項目がありますので見てみたいと思います。
推奨グレードの基準に関しては以下の通りです。
この項目では世界中の論文12編から検証されており、そのうち和文は0編でした。
<推奨>
ステロイド関節内注入は、短期的な疼痛の緩和、機能の改善に有用である(Grade C:合意率85%)が、長期的な病気進行予防に関しては不明である。
ヒアルロン酸注入は、短期的な疼痛の緩和、機能の改善に有用である(Grade C:合意率79%)が、長期的な病気進行予防に関しては不明である。
このようにステロイド(抗炎症作用が強いが感染のリスクもある)、ヒアルロン酸(関節軟骨や関節液に含まれる成分)ともに関節内注入による見解は同じようで、短期的な疼痛の緩和について、弱く推奨されているが長期的な効果や進行を予防するかは不明のようです。
ヒアルロン酸関節内注入の安全性については、これまでの報告から問題ないとされている。
・股関節症141例において、1~3回のヒアルロン酸注入は疼痛緩和に有効で3~12か月の経過観察での有効率は50%であり、ヒアルロン酸関節内注入は耐用性がある。
・股関節症80例をステロイド関節内注入群と局所麻酔薬関節内注入群に分け、投与後3週と12週で評価した試験において、ステロイド群は疼痛、関節可動域、機能障害の有意な改善が得られ、鎮痛薬の使用する頻度が低下した。
このような報告がされています。
以上のように短期的には弱く推奨されていますが、ステロイド関節内注入になると若干のリスクがあることに注意を要します。
長期的になる場合は医師と相談の上、ヒアルロン酸注入や、その他の保存療法(運動療法、装具療法など)と組み合わせるこも選択肢としてはありますね。
今回は、『変形性股関節症(OA)に関節内注射は効果あるの?』
について解説させていただきました。