こんにちは！
運動器専門のリハビリスタッフです！！
いつもお世話になります。
今回は、『半月板断裂に対する半月板縫合術の治療成績は？』
について解説させていただきます。
半月板は膝関節のクッションの役割をする組織とされています。
半月板損傷は若年者のスポーツ外傷や、高齢者の退行変性（老化）による損傷まで幅広い疾患となります。
高齢者に注目すれば、変形性膝関節症例では半月板が脱転（亜脱臼）していたり、損傷していることもあります。
高齢者においては保存療法が選択されることが多いですが、若年者やスポーツ選手においては、半月板縫合術や半月板切除術（変形性膝関節症に移行しやすい）など手術療法も選択肢になることが多々あります。
そんな中、2021年に、半月板断裂に対する関節鏡下半月板縫合術の成績を検証した論文が海外で報告されております。
この論文の検証結果が気になるところですね。
◆論文紹介
Review
Orthop J Sports Med (IF: 2.49; Q1)
. 2021 Oct 22;9(10):23259671211038289.
doi: 10.1177/23259671211038289. eCollection 2021 Oct.
Second-Look Arthroscopic Evaluation of Healing Rates After Arthroscopic Repair of Meniscal Tears: A Systematic Review and Meta-analysis
半月板断裂の関節鏡修復術後の治癒率に関するセカンドルック関節鏡評価。システマティックレビューとメタアナリシス
Wenli Dai 1, Xi Leng 2, Jian Wang 3, Xiaoqing Hu 1, Yingfang Ao 1
Affiliations expand
- PMID: 34708138 PMCID: PMC8543730 DOI: 10.1177/23259671211038289
Free PMC article
Abstract
Background: Evaluation of meniscal healing status after repair is important, as it allows the surgeon to inform patients whether they can increase their activities or return to sports.
概要
背景 半月板修復後の治癒状態を評価することは、外科医が患者に活動量の増加やスポーツ復帰が可能かどうかを知らせることができるため、重要である。
Purpose: To identify the healing rates after arthroscopic repair of meniscal tears via second-look arthroscopic evaluation.
目的：関節鏡視下手術による半月板断裂の修復後の治癒率を明らかにする。
Study design: Systematic review; Level of evidence, 4.
研究デザイン システマティックレビュー；エビデンスレベル、4。
Methods: Searches of PubMed, Embase, Scopus, and the Cochrane databases were conducted to identify relevant studies published before June 1, 2020. Studies were eligible for this meta-analysis if they provided data regarding healing status of the meniscus at second-look arthroscopy. Random-effects meta-analyses were generated to provide pooled meniscal healing estimates. We further performed subgroup analysis to investigate the healing rates of the meniscus under different situations.
方法 PubMed、Embase、Scopus、Cochraneデータベースの検索を行い、2020年6月1日以前に発表された関連研究を特定した。セカンドルック関節鏡検査時の半月板の治癒状態に関するデータを提供している研究を本メタ解析の対象とした。プールされた半月板治癒推定値を提供するために、ランダム効果メタ分析を作成した。さらに、異なる状況下での半月板の治癒率を調べるために、サブグループ分析を行った。
Results: A total of 41 studies with 1908 individuals were included in the study. The pooled analysis showed the complete healing rate was 74% (95% confidence interval [CI], 67%-80%), the partial healing rate was 10% (95% CI, 6%-16%), and the failure rate was 12% (95% CI, 10%-15%) for arthroscopic repair of meniscal tears via second-look arthroscopic evaluation. Sensitivity analysis demonstrated that no individual study affected the overall healing rate by >1%. Subgroup analysis found higher meniscal healing rates in patients with the following characteristics: age <40 years, male, body mass index <26, red-red tear location, tear in posterior horn, vertical tear, outside-in technique, repair concomitant with anterior cruciate ligament reconstruction, weight-restricted rehabilitation, and time interval from meniscal repair to second-look arthroscopy >12 months.
結果 1908人を対象とした計41件の研究が対象となった。プール解析の結果、関節鏡視下手術による半月板断裂の修復について、完全治癒率は74％（95％信頼区間［CI］、67％～80％）、部分治癒率は10％（95％CI、6％～16％）、失敗率は12％（95％CI、10％～15％）であることが示された。感度分析では、個々の研究が全体の治癒率に1％以上の影響を与えることはなかった。サブグループ解析の結果、以下の特徴を有する患者において、より高い半月板治癒率が認められた：年齢＜40歳、男性、肥満度＜26、赤色断裂位置、後角の断裂、垂直断裂、アウトサイドイン法、前十字靭帯再建と同時の修復、体重制限リハビリ、半月板修復からセカンドルック関節鏡検査までの時間間隔＜12ヶ月。
◆論文の結論
Conclusion: In this systematic review, the complete healing rate was 74%, the partial healing rate was 10%, and the failure rate was 12% for arthroscopic repair of meniscal tears via second-look arthroscopic evaluation.
結論 このシステマティックレビューでは、関節鏡検査による半月板断裂の完全治癒率は74％、部分治癒率は10％、失敗率は12％であった。
◆まとめ
上記論文では関節鏡視下手術による半月板断裂の縫合術の治癒率について、1908例、41件の研究を分析し、システマティックレビューとして報告しております。
結果として、関節鏡視下半月板縫合術は、完全治癒率74％、部分治癒率は10％、失敗率は12％であったようです。
さらに以下の例でより半月板治癒率が高かったとのことです。
・40歳未満
・男性
・BMI26未満
・後角断裂
・垂直断裂
・アウトサイドイン法
・前十字靭帯との同時再建
・体重制限リハビリ
上記論文の結果を踏まえると、半月板断裂後の関節鏡視下半月板断裂術の治癒率は完全治癒率74％、部分治癒率は10％、失敗率は12％であり、40歳未満、男性、BMI26未満、後角断裂、垂直断裂、アウトサイドイン法、前十字靭帯との同時再建、体重制限リハビリに該当していると治癒率は高くなるようです。諸家の報告による半月板切除術よりは成績が良い印象ですね。
今回は、『半月板断裂に対する半月板縫合術の治療成績は？』
について解説させていただきました。
