こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『仙腸関節障害の治療とリハビリの方法』について解説させていただきます。
仙腸関節は仙骨と腸骨で構成される関節です。
仙腸関節障害は非特異的腰痛(画像が難しい腰痛)であり、急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)の原因の一つでもあるとされています。
仙腸関節障害は、1905年にGoldthwaitが提唱しており、外傷や感染症などによる明らかな関節破壊を伴わない仙腸関節由来の痛みとしております。
また、MRやCT画像で仙腸関節の機能障害を示す特異的な所見を捉えることは困難(Bernard TN Jr.1991)と報告されています。
腰痛に占める仙腸関節性腰痛の頻度は3.5~30%との報告があるが、村上の1年間調査では504例中54例(10.7%)であった(村上.2010)ともされています。
(村上栄一編:診断のつかない腰痛 仙腸関節の痛み 南江堂)の書籍では
非特異的腰痛には心理・社会的ストレスによる疼痛もあるが、多くは適切な治療が行われていない。
仙腸関節障害の診断ができれば非特異的腰痛の多くが解決する。と記載されています。
◆仙腸関節障害の発生機序
下記の記事でご紹介しております
◆仙腸関節障害の特徴
下記の記事でご紹介しております。
◆仙腸関節障害の診断
下記の記事でご紹介しております。
◆仙腸関節障害の治療
仙腸関節障害の治療として代表的なものは
・仙腸関節ブロック注射
・安静(コルセット、骨盤ベルト)
・手術
・リハビリテーション
があげられます。
仙腸関節ブロック注射は効果が高いですが、症状の緩和が短期的であることが多いです。
効果が切れるのが早い人では1~3日程度、効果が持続する人で1~2週間程度の方が多いです。
コルセット、骨盤ベルトに関しては、腰椎部ではなく骨盤に巻くことが重要です。
また仙腸関節部に巻く骨盤ベルトは伸縮性がないものを使用すると効果が高いです。
骨盤をきっちり骨盤ベルトで固定できていると、仙腸関節の痛みが即時的に軽減することが多いです。
◆仙腸関節障害のリハビリテーション
私が思う仙腸関節障害のリハビリのコンセプトは以下の通りです。
●痛みの強い急性期は
1骨盤ベルトで仙腸関節を安定させる
2近隣関節の柔軟性を向上させ仙腸関節への負荷を減らす
3仙腸関節への圧を軽減させる
●痛みが軽減してきた慢性期は
1仙腸関節を安定させる筋の筋力トレーニング
2近隣関節の柔軟性を向上させ仙腸関節への負荷を減らす
3仙腸関節への圧を軽減させる
仙腸関節の近隣関節である胸郭・腰椎、股関節の関節可動域(ROM)を拡大させて仙腸関節への負担を減らすことは重要と考えます。
また仙腸関節への圧を軽減させる方法としては、
・多裂筋のリラクセーション
・後仙腸靭帯へのアプローチ
が有効と考えます。
多裂筋はいくつか筋線維がありますが、L2棘突起とL3棘突起に付着している多裂筋が、
それぞれ上部背側仙腸靭帯、下部背側仙腸靭帯に付着します。
よって、多裂筋のp筋緊張を軽減させることで仙腸関節(仙腸靭帯)への圧が軽減することが考えられます。
また、徒手療法などで後仙腸靭帯へのアプローチすることで、仙腸関節(後仙腸靭帯)の圧が軽減することが考えられます。
仙腸関節の徒手療法で有名なものに、AKA博田法があります。
AKA博田法の書籍を読んでみても、仙腸関節の痛みが改善する根拠の詳細は示されておりませんが、上記の理由もあり有効と考えます。
骨盤ベルトにて仙腸関節の痛みが軽減するというヒントから、リハビリテーションでは仙腸関節を安定させる筋肉をトレーニングする方法が有効と考えられます。
仙腸関節を安定させる筋肉は以下の5つがあります。
・腹横筋
・内腹斜筋
・大殿筋下部線維
・ハムストリングス
・脊柱起立筋
・腹横筋
・腹横筋
腹横筋の収縮は胸背筋膜を介して後仙腸靭帯の緊張を増加させる
横筋の収縮は、仙腸関節の圧縮力を増加させる
とされています。
・内腹斜筋
内腹斜筋の収縮により、仙腸関節に加わる剪断力を軽減することができるとされています。
・大殿筋下部線維
大殿筋下部線維は仙腸関節下部(仙結節靭帯)を覆うため仙腸関節を安定化させるとされています。
・ハムストリングス
ハムストリングスのうちの大腿二頭筋長頭は仙腸関節に付着する仙結節靭帯と吻合しているため、仙腸関節を安定化に関わっているとされています。
・脊柱起立筋
表層脊柱起立筋の収縮にて仙骨をニューテーションさせるため、骨間靭帯、仙結節靭帯、仙棘靭帯の張力を増加させ仙腸関節を安定化させるとされています。
以上のように、急性期と慢性期の時期によってリハビリテーション内容を変更していくことも良いのではないかと考えております。
今回は、『仙腸関節障害の治療とリハビリの方法』について解説させていただきました。