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『人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリはCPMとヒールスライドどちらが有効?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリはCPMとヒールスライドどちらが有効?』

について解説させていただきます。



人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)は変形性膝関節症や関節リウマチ、膝の骨壊死などの膝関節症によって、痛みや膝関節可動域制限を改善するための手術になります。

人工膝関節に交換することで、痛みが軽減し、歩行や階段昇降などの動作がやりやすくなります。

なかでも高齢女性に多い変形性膝関節症からTKAに移行する割合が最も高いとされています。

人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)の術後にリハビリ以外の時間に、病室などでCPM(持続的他動運動)といわれる機器によって、持続的に20~30分程度、膝の曲げ伸ばしが行われるものを使用している病院が多くあります。

そんな中、2021年に、人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)後においてCPM(持続的他動運動)と自動運動によるヒールスライドのどちらが効果があるのかを検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところですね。



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

 Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc (IF: 4.34; Q1)

. 2021 Oct;29(10):3352-3360.

 doi: 10.1007/s00167-020-06181-4. Epub 2020 Aug 10.

Active heel-slide exercise therapy facilitates the functional and proprioceptive enhancement following total knee arthroplasty compared to continuous passive motion

アクティブヒールスライド運動療法は、CPM(持続的他動運動)と比較して、人工膝関節全置換術後の機能的およびプロプリオセプティブな向上を促進する

Musa Eymir 1Mehmet Erduran 2Bayram Ünver 3

Affiliations expand

Abstract

Purpose: The aim was to compare active heel-slide exercise (AHSE) + standard physiotherapy (PT) to continuous passive motion (CPM) + standard PT during inpatient rehabilitation of total knee arthroplasty (TKA) patients in terms of postoperative outcomes.

概要

目的】人工膝関節全置換術(TKA)患者の入院リハビリテーションにおいて、active heel-slide exercise(AHSE)+標準理学療法(PT)とcontinuous passive motion(CPM)+標準PTを術後成績の観点から比較することを目的としている。

Methods: Patients were randomly assigned into AHSE or CPM groups. Both groups received standard PT (range of motion and strengthening exercises, and ambulation) during hospital stay. Patients were evaluated regarding functional outcomes, knee proprioception, pain intensity, active range of motion, knee circumference, length of hospital stay, time for achieving straight leg raise actively, time for achieving 70° knee flexion.

方法 患者をAHSE群とCPM(continuous passive motion)群に無作為に割り付けた。両群とも入院中に標準的なPT(可動域練習、筋力強化トレーニング、歩行練習)を行った。評価項目は,機能的転帰,膝の固有感覚,疼痛,可動域,膝関節周囲長,入院期間,下肢伸展挙上可能時間,膝関節屈曲70°到達時間であった.

Results: Groups were similar at baseline (n.s.). At discharge, AHSE group was better in terms of pain intensity (p < 0.001), Hospital for Special Surgery knee score (p = 0.001), rise from sitting (p = 0.015), ascend/descend stairs (p = 0.038), and timed up and go test (p = 0.028) compared to CPM group. AHSE group was able to perform the straight leg raise earlier than CPM group during inpatient period (p = 0.001) and demonstrated improved proprioception at discharge and at 3-month follow-up (p < 0.05). No statistical differences were detected between groups in other evaluation parameters (n.s.).

結果 ベースライン時(n.s.)では、各群ともほぼ同じであった。退院時、AHSE群はCPM(continuous passive motion)群に比べ、疼痛強度(p<0.001)、Hospital for Special Surgery膝スコア(p=0.001)、座位からの立ち上がり(p=0.015)、階段昇降(p=0.038)、タイムドアップアンドゴーテスト(p=0.028)で良好であった。入院期間中、AHSE群はCPM群より早くストレートレッグレイズを行うことができ(p=0.001)、退院時および3か月後のフォローアップで固有間隔の改善を示した(p<0.05)。その他の評価項目については、群間における統計的な差は認められなかった(n.s.)。

Conclusion: Our findings support AHSE therapy offers a more functional rehabilitation and leads beneficial results for patients following TKA. Therefore, active exercise approach encouraging patients to participate in their rehabilitation should be first choice in acute postoperative rehabilitation following TKA rather than CPM.

結論 我々の結果は、AHSE療法がより機能的なリハビリテーションを提供し、TKA後の患者にとって有益な結果をもたらすことを支持するものである。したがって、TKA術後の急性期リハビリテーションにおいては、CPM(continuous passive motion)よりも患者自身がリハビリテーションに参加できるような積極的な運動療法を第一選択とすべきであると考えられる。



◆まとめ

上記論文ではTKA(人工膝関節全置換術)後の患者を

ヒールスライド群:active heel-slide exercise(AHSE)+標準理学療法(PT)

CPM群:continuous passive motion(CPM)+標準PT

の2群に分けて、CPMとアクティブヒールスライドのどちらが効果的か検討しております。

標準的なPTは可動域練習、筋力強化トレーニング、歩行練習を行っており、評価項目はベースライン時と退院時、3か月後に機能的転帰、膝の固有感覚、疼痛、関節可動域、大腿周径、入院期間、下肢伸展挙上可能時間、膝関節屈曲70°到達時間としているようです。

結果として、退院時、ヒールスライド群はCPM群と比較し、疼痛強度)、膝スコア、座位からの立ち上がり、階段昇降、タイムドアップアンドゴーテストが有意に良好であった。

入院期間中、ヒールスライド群はCPM群より有意に早くSLRを行うことができ、退院時および3か月後のフォローアップで有意に固有感覚の改善を示したようです。

上記論文の結果を踏まえると、TKA(人工膝関節全置換術)後ではCPMよりもアクティブヒールスライドの方が疼痛や膝関節機能、動作能力において良好であると考えられます。

自動運動による運動療法を組み込むことで、筋機能の改善効果が得られらると予測されます。

今回は、『人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリはCPMとヒールスライドどちらが有効?』

について解説させていただきました。