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『人工股関節全置換術(THA)後に対する電気刺激療法の効果は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『人工股関節全置換術(THA)後に対する電気刺激療法の効果は?』について解説させていただきます。

 『橈骨遠位端骨折への超音波や電気刺激は骨癒合を促進させるか?』

 『日常生活動作に必要な股関節可動域の一覧表』



日本は超高齢社会に突入し、変形性関節症患者が増加してくることが予測されます。

変形性関節症の中で変形性股関節症は末期症状になると人工股関節全置換術(THA)を施行される方が多くいらっしゃいます。

また、様々なリハビリの中に物理療法があり、その中でも電気刺激治療があります。

電気刺激療法は様々な分野で効果を発揮しております。


そんな中2008年に、高齢者の変形性股関節症に対する人工股関節全置換術後の大腿四頭筋・下腿後面筋に対する電気刺激療法の効果を検証している英論文が報告されています。

電気刺激療法は治療者の技量に関係なく、誰でも同じ効果が出せるといっ利点がありますので、内容がとても気になるところです。

 



◆論文紹介

Randomized Controlled Trial

Arch Phys Med Rehabil (IF: 3.97; Q2)

. 2008 Dec;89(12):2265-73.

 doi: 10.1016/j.apmr.2008.05.024.

Low-frequency electric muscle stimulation combined with physical therapy after total hip arthroplasty for hip osteoarthritis in elderly patients: a randomized controlled trial

高齢者の変形性股関節症に対する人工股関節全置換術後の低周波電気筋肉刺激と理学療法の併用:無作為化比較試験

Vincent Gremeaux 1Julien RenaultLaurent PardonGaelle DeleyRomuald LepersJean-Marie Casillas

Affiliations expand

Abstract

Objective: To assess the effects of low-frequency electric muscle stimulation associated with usual physiotherapy on functional outcome after total hip arthroplasty (THA) for hip osteoarthritis (OA) in elderly subjects.

概要

目的 高齢者の変形性股関節症(OA)に対する人工股関節全置換術(THA)後の機能的転帰に対して,通常の理学療法に加えて低周波電気筋肉刺激を行うことの効果を評価する。

Design: Randomized controlled trial; pre- and posttreatment measurements.

デザイン デザイン:無作為化比較試験、治療前と治療後の測定。

Setting: Hospital rehabilitation department.

設定 設定:病院のリハビリテーション部門

Participants: Subjects (N=29) referred to the rehabilitation department after THA for hip OA.

参加者 対象者:THA後に股関節OAのためにリハビリテーション部に紹介された被験者(N=29)。

Interventions: The intervention group (n=16; 78+/-8 y) received simultaneous low-frequency electric muscle stimulation of bilateral quadriceps and calf muscles (highest tolerated intensity, 1h session, 5 d/wk, for 5 weeks) associated with conventional physical therapy including resistance training. The control group (n=13; 76+/-10 y) received conventional physical therapy alone (25 sessions).

介入を行った。介入群(n=16、78+/-8歳)は、レジスタンストレーニングを含む従来の理学療法に加えて、両側の大腿四頭筋とふくらはぎの筋肉に低周波電気刺激を同時に与えた(最高許容強度、1時間セッション、5日/週、5週間)。対照群(n=13,76+/-10歳)は従来の理学療法のみ(25セッション)を受けた。

Main outcome measures: Maximal isometric strength of knee extensors, FIM instrument, before and after; a six-minute walk test and a 200 m fast walk test, after; length of stay (LOS). 主な評価項目 膝伸展筋の最大等尺性筋力,FIM測定器,6分間歩行テストおよび200m速歩テスト,入院期間(LOS)。

Results: Low-frequency electric muscle stimulation was well tolerated. It resulted in a greater improvement in strength of knee extensors on the operated side (77% vs 23%; P<.01), leading to a better balance of muscle strength between the operated and nonoperated limb. The low-frequency electric muscle stimulation group also showed a greater improvement in FIM scores, though improvements in the walk tests were similar for the 2 groups, as was LOS.

結果 低周波電気筋肉刺激は忍容性が高かった。手術側の膝伸展筋力の改善が大きく(77% vs 23%; P<.01)、手術肢と非手術肢の筋力のバランスが良くなった。また、低周波電気筋刺激群ではFIMスコアの改善が大きかったが、歩行テストの改善はLOSと同様に2群で同程度であった。

 



◆論文の結論

Conclusions: Low-frequency electric muscle stimulation is a safe, well-tolerated therapy after THA for hip OA. It improves knee extensor strength, which is one of the factors leading to greater functional independence after THA.

結論としては 低周波電気筋肉刺激は、股関節OAに対するTHA後の安全で忍容性の高い治療法である。低周波電気筋刺激は、THA後の機能的自立につながる要因の1つである膝伸展筋力を改善する。

 



◆まとめ

上記論文では、高齢者の変形性股関節症(OA)に対する人工股関節全置換術(THA)後の低周波電気刺激療法の効果を検証しています。

介入群16例(平均78歳)は、従来の理学療法に加えて、両側の大腿四頭筋・下腿後面筋に低周波電気刺激を受けています。

対照群13例(平均76歳)は従来の理学療法のみ(25セッション)を受けています。

評価項目は膝伸展筋の最大等尺性筋力、FIM、6分間歩行テストおよび200m速歩テスト、入院期間であります。

結果として、低周波電気刺激群では、手術側の膝伸展筋力の改善が大きく、FIMスコアの改善が大きかったとされています。

以上のことより、高齢者の変形性股関節症(OA)に対する人工股関節全置換術(THA)後では、通常の理学療法に加えて電気刺激療法を併用すると、術側の膝伸展筋力の向上と日常生活動作の向上が見込めそうですね。

今回は、『人工股関節全置換術(THA)後に対する電気刺激療法の効果は?』について解説させていただきました。