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『しゃがみ込み動作で必要な股関節、膝関節の関節可動域は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『しゃがみ込み動作で必要な股関節、膝関節の関節可動域は?』について解説させていただきます。

日常生活動作(ADL)の中でしゃがみ込み動作は股関節、膝関節、足関節ともに大きな関節可動域角度が必要となります。

しゃがみ込み動作に必要な関節可動域を知っておくと、リハビリの際の目標になったり、ゴール設定がしやすくなると思います。

そんな中2017年に、日本人の先生方によって、日常生活動作(ADL)に必要な股関節、膝関節、足関節の可動域を研究している英論文が報告されています。

日常生活動作(ADL)に必要な関節可動域(ROM)を知っているとリハビリの際に参考になりますので、内容がとても気になるところです。

◆論文紹介

Braz J Phys Ther (IF: 3.38; Q2)

. May-Jun 2017;21(3):159-166.

 doi: 10.1016/j.bjpt.2017.03.012. Epub 2017 Apr 9.

Hip, knee, and ankle kinematics during activities of daily living: a cross-sectional study

日常生活動作における股関節、膝関節、足関節の運動特性:横断的研究

Kashitaro Hyodo 1Tadashi Masuda 2Junya Aizawa 3Tetsuya Jinno 4Sadao Morita 5

Affiliations expand

Abstract

Background: Joint angle data from healthy subjects are necessary as baseline information. 概要

背景 健常者の関節角度データはベースライン情報として必要である。

Objective: To analyze the problems of patients who struggle with activities of daily living (ADL) due to restricted range of motion and to provide ADL guidance based on objective data.

目的 可動域制限により日常生活動作(ADL)に支障をきたしている患者の問題点を分析し,客観的データに基づいたADL指導を行うこと。

Method: An electromagnetic three-dimensional tracking system (FASTRAK) was used to quantify the hip, knee, and ankle angles of the dominant leg of 26 healthy adults as they performed 22 ADLs related to dressing, using the toilet, bathing, picking up objects, and crouching. For each ADL, the maximum angle was averaged across the 26 subjects. Mean angles of adduction/abduction and internal/external rotation during maximum hip flexion were also measured.

方法 電磁式3次元トラッキングシステム(FASTRAK)を用いて,健常成人26名が着替え,トイレ,入浴,物を拾う,しゃがむなどの22のADLを行った際の利き足の股関節,膝関節,足関節の角度を定量的に測定した。各ADLにおける最大角度は,26人の被験者の平均値とした。また、股関節の最大屈曲時の内転・外転および内旋・外旋の平均角度も測定した。

Results: The largest mean maximum angle was 101° for hip flexion (trunk rotation during crouching), 17° for hip adduction (putting on shoes), and 149° for knee flexion (trunk rotation during crouching). Analysis of adduction/abduction and internal/external rotation angles during maximum hip flexion showed the largest angle of adduction when putting on shoes, and the largest angle of internal rotation with trunk rotation during crouching.

結果 最大の平均最大角度は、股関節屈曲(体幹回旋を伴ったしゃがみ動作)で101°、股関節内転(靴を履く)で17°、膝関節屈曲(体幹回旋を伴ったしゃがみ動作)で149°であった。股関節の最大屈曲時の内転・外転、内旋・外旋の角度を分析すると、靴を履くときに内転の角度が最も大きく、しゃがむときの体幹回旋を伴った股関節内旋の角度が最も大きくなった。

 



◆論文の結論

Conclusions: ADLs such as crouching and putting on pants showed larger joint angles than walking, climbing stairs, and standing up. Results obtained from this study can provide important objective data for ADL guidance for total hip arthroplasty and femoroacetabular impingement patients.

結論としては 歩行、階段昇降、立ち上がりに比べて、しゃがむ、ズボンを履くなどのADLは関節角度が大きかった。本研究で得られた結果は、人工股関節全置換術および大腿骨寛骨臼インピンジメント患者のADL指導に重要な客観的データとなる。

 



◆まとめ

上記論文では3次元解析装置を用いて、健常成人26名のADL動作中の利き足の股関節、膝関節、足関節の角度を定量的に測定しております。

ADL項目は着替え、トイレ、入浴、物を拾う、しゃがみ込みなど22の項目です。

各ADLにおける最大角度は、26人の被験者の平均値としております。

股関節屈曲の平均最大角度は、しゃがみ込み動作で101°

股関節内転の平均最大角度は、靴を履く動作で17°

膝関節屈曲の平均最大角度は、しゃがみ込み動作で149°

であったそうです。

 『日常生活動作に必要な股関節可動域の一覧表』

 



また、股関節の最大屈曲時の内転・外転、内旋・外旋の角度を分析したところ、

靴を履くときに股関節内転の角度が最も大きく、しゃがみ込み動作で股関節内旋の角度が最も大きくなったとのことです。

さらに、歩行、階段昇降、立ち上がりに比べて、しゃがむ、ズボンを履くなどのADLは関節角度が大きかったそうです。

今回は、『しゃがみ込み動作で必要な股関節、膝関節の関節可動域は?』について解説させていただきました。