こんにちは。
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回はレントゲン撮影で問題なければ、異常はないのか?について解説していきたいと思います。
肩や腰、膝などが痛くなったり、転倒したり、ぶつけたり怪我をして、病院の医師に診察してもらう経験がある方は多いと思います。
痛みがでた時にする代表的な検査としてレントゲン撮影があります。
レントゲン撮影は短時間で検査が終わり、主に運動器では骨の異常を検出することが可能です。
患者さんからの訴えでもよくあるのですが
「先生に診てらったら、レントゲンで問題ないから大丈夫ですよ。って言われました。」
という方は多くおられると思います。
その後の処置としては、鎮痛薬や外用薬(湿布など)で経過観察をするパターンが多いと思います。
先ほど、レントゲン撮影は骨の異常を検出できると述べました。
ということは、骨以外の異常は検出しにくい検査ということでもあります。
例えば、捻挫、関節炎、筋損傷、靭帯損傷、神経痛、腱炎など骨以外の組織の異常はレントゲン撮影では発見しにくいということです。
このような疾患はMRI検査や超音波画像診断装置(エコー)などの検査や整形外科的テスト(運動検査)を組み合わせないことには、確定診断がつきにくいと言われています。
ということは
「レントゲンで問題ないから大丈夫」という言葉の背景には
「レントゲンで問題ないから《骨は》大丈夫」ということになります。
ですので、痛みや運動障害が気になる方は、レントゲンだけでなく、MRI検査や超音波画像診断装置(エコー)などの追加検査が必要になるかもしれません。
運動器疾患において、レントゲン撮影で検出しやすいものは、骨折、変形性関節症、関節の狭小化などの骨の異常が関連するものです。
例えば、肩が痛くなって、病院に受診し、レントゲン撮影をしてもらい、異常がなかったとします。
この場合は骨折や肩の脱臼、変形性肩関節症の問題はない。ということになります。
その他の代表的な肩関節疾患である、肩関節周囲炎や腱板損傷、捻挫や靭帯損傷の可能性については、診断できないということになります。(レントゲン撮影でわかることもあります)
詳細な検査についてはMRI検査や超音波画像診断装置(エコー)での追加検査が必要になるかもしれません。
他にも坐骨神経痛で病院に受診して、レントゲン撮影しても、診断できる可能性はかなり低くなります。
坐骨神経痛に関しても、神経はレントゲンに写りませんので、MRI検査や超音波画像診断装置(エコー)、整形外科的テスト(運動検査)にて追加検査しなければ、診断がつきにくいということになります。
ちなみにレントゲンは骨の異常を検出できるので、骨折は診断がつきやすいですが、完璧に診断できるわけではありません。
骨折していても、骨が転位(本来の位置からずれること)していなければ、レントゲン撮影で発見できないこともあります。
高齢者の4大骨折(脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位部骨折)の中の、脊椎圧迫骨折と大腿骨近位部骨折のレントゲン撮影での報告をご紹介します。
脊椎圧迫骨折に関する報告では、レントゲン撮影のみ正診率は59.7%と低く、MRI撮影では正診率は99%であった。(中野哲雄ら:脊椎脊髄.2009より引用)
大腿骨近位部骨折(大腿骨頚部骨折/大腿骨転子部骨折)に関しての報告では、レントゲン撮影による正診率は高く96%以上と言われています。(大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン 改訂第2版より引用)
それでも数%は骨折を見抜けないというデータになります。
これらのように、レントゲン撮影をすれば、なんでもかんでも状態がわかるわけではないということを頭に入れておかなければなりませんね。