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『ダーツスロー・モーションは舟状骨と月状骨の間で動きがある?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『ダーツスロー・モーションは舟状骨と月状骨の間で動きがある?』について解説させていただきます。



橈骨遠位端骨折後のリハビリや手関節の関節可動域練習をする際にダーツスロー・モーションが導入されることも増えてきております。

手根骨の骨折に対してもダーツスロー・モーションを導入していくのは最適なのでしょうか?



◆ダーツスロー・モーションとは

ダーツスロー・モーションは名称の通りダーツを投げる際の動作に似ている運動です。

2007年の国際手の外科学会委員会にて『橈背屈から掌尺屈時に起こる機能的な斜め方向の運動』と定義されているようです。

ダーツスロー・モーションは世間的には手根骨遠位列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨)のみが動くと言われております。

Criscoら(JBJS .2005)は前腕回内45°位での橈背屈から掌尺屈(ダーツスロー・モーション)では橈骨手根関節はほとんど動かなくなり、手根中央関節の単独運動となると報告しています。

これらの報告を基に考えると、ダーツスロー・モーションは、橈骨遠位端骨折の保存症例においてのギプス固定除去後の早期や、術後の整復不良や固定性の不良など、橈骨手根関節に負荷を与えたくない時に有効なリハビリとなります。

そんな中、2021年に、ダーツスロー・モーション時に舟状骨と月状骨の間に動きがないかを検証した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところです。



◆論文紹介

J Plast Surg Hand Surg (IF: 1.46; Q4)

. 2021 Oct;55(5):294-296.

 doi: 10.1080/2000656X.2021.1874398. Epub 2021 Jan 28.

There is motion between the scaphoid and the lunate during the dart-throwing motion

ダーツスロー・モーションの際に舟状骨と月状骨の間に運動が存在する

Thorsten Schriever 1Henrik Olivecrona 2Maria Wilcke 1

Affiliations expand

Abstract

Scaphoid and lunate mobility has been suggested to be minimal during the dart-throwing motion in studies based on serial computed tomography (CT) scans and cadaver studies. This study analyzes the direct motion between the scaphoid and the lunate during the dart-throwing motion in vivo.

概要

ダーツスロー・モーションの際の舟状骨と月状骨の可動性は、連続CTスキャンや死体実験に基づく研究では、最小であることが示唆されている。本研究では、ダーツを投げる動作における舟状骨と月状骨の間の直接運動を生体内で解析した。

We examined nine individuals with standard CT scans of the wrist in radial extension and ulnar flexion. The paired CT scans were analyzed with a volume registration technique. The lunate was registered as fixed and the scaphoid as the mobile element. The motion of the scaphoid relative the lunate between the positions of radial extension and ulnar flexion was measured.

我々は、橈骨伸展と尺骨屈曲の手首の標準的なCTスキャンで9人を調査した。ペアとなったCTスキャンはボリュームレジストレーション法により解析された。月状骨は固定要素として、舟状骨は可動要素として登録された。橈骨伸展位と尺骨屈曲位の間の舟状骨の月状骨に対する相対的な動きを測定した。

There was considerable motion between the scaphoid and the lunate with both a distal to proximal translation and rotation during the dart-throwing motion, regardless of whether the scapholunate ligament was intact or not.

ダーツスロー・モーションでは、舟状骨と月状骨の間には、舟状骨靭帯の有無にかかわらず、遠位から近位への移動と回転の両方がかなり見られた。



◆論文の結論

These results suggest that aggressive dart-throwing exercises should not be implemented early on during rehabilitation following scapholunate repair.

これらの結果は、舟状骨修復術後のリハビリテーションにおいて、積極的なダーツスロー・モーション練習を早期に実施すべきではないことを示唆している。



◆まとめ

上記論文では9名の被検者をCTスキャンにてダーツスロー・モーション時の月状骨に対する舟状骨の動きを測定しております。

その結果、ダーツスロー・モーションでは、舟状骨と月状骨の間には、舟状骨靭帯の有無にかかわらず、遠位から近位への移動と回旋が大きく見られたとのことです。

この論文の結果から考えると、舟状骨修復術後や橈骨遠位端骨折後のリハビリテーションにおいて、積極的なダーツスロー・モーション練習を早期に実施すべきではないかもしれません。

Criscoら(2005)は、健常人24名のダーツスロー・モーションを3次元解析装置にて検証した結果、他の手関節の運動よりも、舟状骨と月状骨は有意に動きが少なく、背屈時には2~4mm、掌屈時には有意な運動はなかったと報告しています。

Criscoらの報告と、今回ご紹介した論文とでは内容に相違があるため、様々な情報を加味した上で、リハビリテーションの方針を決める必要性がありそうですね。

今回は、『ダーツスロー・モーションは舟状骨と月状骨の間で動きがある?』について解説させていただきました。