こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『膝関節伸展制限に対するアプローチ方法!!~半膜様筋-腓腹筋内側頭リリース~』について解説させていただきます。
膝関節伸展制限が生じると、膝の靭帯は全て弛緩し、膝関節の不安定性のつながり、変形性膝関節症(膝OA)助長させたり、膝関節痛の原因ともなりやすくなります。
特に膝関節内側部の疼痛は腓腹筋内側頭や半膜様筋の腱障害を生じている可能性が高く、この2つの筋はアプローチの対象になることが多いです。
『変形性膝関節症(膝OA)に対するモビライゼーションの効果は?』
◆膝関節伸展可動域制限の原因組織
(市橋則明:理学療法学.2006より引用改変)
上記論文ではラットを30日間、膝関節屈曲位固定した際の研究データです。
30日間固定後のラットの膝関節可動域制限の割合は
・関節構成体が45%
・筋が40%(ハムストリングスが約30%、腓腹筋が約10%)
・皮膚が15%
でした。
30日間膝関節固定後のラット、膝関節伸展は-82.9±16.0°となり、
皮膚切除後の膝関節伸展は-73.3±13.4°(16.6%角度拡大)
ハムストリングス切除後は-54.6±12.1°(32.5%角度拡大)
腓腹筋切除後は-49.1±13.4°(9.5%角度拡大)
したようです。
以上のように膝関節伸展可動域を拡大させる際には、ハムストリングスと腓腹筋の要素が重要であることがわかります。
◆半膜様筋と腓腹筋内側頭の機能解剖
半膜様筋の停止部と腓腹筋内側頭の起始部は結合しており、膝関節を屈曲位から伸展すると、半膜様筋腱と腓腹筋は接触して互いに緊張します。
●半膜様筋
起始:坐骨結節
停止:脛骨内側顆、斜膝窩靭帯、膝窩筋の筋膜
作用:股関節内転・伸展
神経支配:脛骨神経(L5-S2)
半膜様筋と言えば、大腿後面に存在するハムストリングスのうちの1つの筋肉です。
ちなみに半膜様筋の停止部は、5つの線維が存在するといわれております
(LaPrade RF:JBJS.2007)
・Anterior arm
・Direct arm
・Capsular arm
・Central arm
・Superficial arm
●腓腹筋内側頭
起始:大腿骨内側上顆
停止:踵骨腱(アキレス腱)を介し踵骨隆起
作用:距腿関節の底屈
:距踵関節+距踵舟関節の内反(回外)
:膝間屈曲
神経支配:脛骨神経(S1-S2)
腓腹筋は足関節底背屈運動のイメージが強いかもしれませんが、起始は大腿骨内側上顆であり膝関節伸展制限の要素として重要な位置づけにあります。
◆半膜様筋―腓腹筋内側頭の筋間リリースの方法
ここでは半膜様筋―腓腹筋内側頭の筋間リリースの方法を2つ提示したいと思います。
これらの方法で効果が出れば、半膜様筋―腓腹筋内側頭の滑走性が改善し、場合によっては癒着もはがれ、膝関節伸展可動性および足関節背屈の他動可動性が向上することがあります。
またこの2つの筋の収縮効率も改善されることがあります。
まず半膜様筋と腓腹筋内側頭の筋間に指を突っ込みます。
そして、膝関節を他動&自動で膝関節の屈曲伸展を繰り返すことで、それぞれの腱が滑走します。
上記と同様にまず、半膜様筋と腓腹筋内側頭の筋間に指を突っ込みます。
そして、膝関節伸展位とし、他動&自動で足関節の底屈、背屈を繰り返すことで、それぞれの腱が滑走します。
◆半膜様筋伸長テスト
半膜様筋の硬さを確認する際や、半膜様筋へのアプローチが効果的であったかを確認する際は、半膜様筋伸長テストが良い思われます。
背臥位にて、膝関節伸展・足関節背屈した状態から、股関節を屈曲させていき、疼痛が生じたら陽性と判断します。
今回は、『膝関節伸展制限に対するアプローチ方法!!~半膜様筋-腓腹筋内側頭リリース~』について解説させていただきました。