『腰椎牽引モビライゼーションの方法~徒手療法~』
こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、
『腰椎牽引モビライゼーションの方法~徒手療法~』
について解説させていただきます。
腰椎頭尾方向の牽引モビライゼーションを行いたい場面はいくつかあると思います。
・椎間関節性腰痛に対して椎間関節の内圧を軽減させたい
・椎間孔を拡大させ神経根の絞扼を解除したい
・多裂筋のリラクセーション(柔軟性改善)を行いたい
・椎間板内圧を軽減したい
など
今回は腰椎頭尾方向の牽引モビライゼーションの方法についてご紹介いたします。
◆腰椎頭尾方向の牽引モビライゼーション
●治療対象者は側臥位で両股関節約45°屈曲位、両膝関節約90°屈曲位
●2椎間分の棘突起を触診
●頭側の棘突起下端を2本の指で固定
●尾側の棘突起上端を2本の指で固定し、尾側へ牽引する
●この時、尾側に牽引している方の腕(上図では左腕)で治療対象者の骨盤をホールドして一緒に尾側に牽引するとより効果的
この操作で、多裂筋の伸張、椎間孔の拡大、椎間関節の離開、椎間板内圧の軽減の効果が得られると思われます。
◆腰椎の関節可動域について
【腰椎の回旋可動域】
L1-S1間の腰椎の左右回旋は全体で約10°
1椎体あたり約2°
1椎体の片側あたり約1°
【胸椎の回旋可動域】
Th1-Th12の胸椎左右回旋は全体で約75°
片側では約37°
1椎体の片側あたり約3°~4°
【腰椎の屈曲可動域】
腰椎全体での屈曲は約40°
腰椎全体での伸展は約30°
L1-L2間で屈曲・伸展が約11°
L2-L3間で屈曲・伸展が約12°
L3-L4間で屈曲・伸展が約18°
L4-L5間で屈曲・伸展が約23°
L5-S1間で屈曲・伸展が約18°
【腰椎の側屈可動域】
腰椎全体での側屈総可動域は約60°
腰椎片側側屈は約20°~30°
L1-L2間での側屈は約5°
L2-L3間での側屈は約8°
L3-L4間での側屈は約8°
L4-L5間での側屈は約8°
L5-S1間での側屈は約2°
◆椎間孔の拡大肢位
ボランティアの健常成人10名を対象として、腰椎屈曲・同側側屈・対側回旋肢位でのレントゲン撮影を実施したところ、L3/4~L5/S椎間孔が前後径4.75~4.95mm,上下径7.20~10.56mm拡大したと報告されています。
(creighton MS,et al:Positional Distraction, A Radiological Confirmation. The Journal of manual & manipulative therapy,1(3),83-86,1993)
よって、腰椎屈曲・同側側屈・対側回旋肢位で椎間孔が拡大すると思われます。
ただし、脊椎は解剖学的に個人差がありますので、全員がこの姿勢で椎間孔が開くかはわかりませんが、少なくとも、この論文では10名を調査したところ、椎間孔の拡大が確認されているそうです。
◆腰椎椎間関節の離開と圧縮肢位
対側回旋、伸展、同側側屈→圧縮
同側回旋、屈曲、対側側屈→離開
(湯川泰紹・他:腰椎椎問関節の応力解析一3次元剛体バネモデルを使用して一,日本臨床バイオメカニクス学会誌,Vol19,p33-361998.)
今回は、
『腰椎牽引モビライゼーションの方法~徒手療法~』
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