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『腰椎前彎アライメントを調整するには腰椎前彎頂点の第〇腰椎をアプローチ』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『腰椎前彎アライメントを調整するには腰椎前彎頂点の第〇腰椎をアプローチ』について解説させていただきます。

 



腰椎椎間板ヘルニアや筋筋膜性腰痛をはじめ、腰椎前彎のアライメントを維持しておく方が、症状が軽減、改善しやすい疾患が多くあります。

腰椎椎間板ヘルニアに関しては腰椎後彎姿勢で椎間板内圧が上昇し、腰下肢痛を生じる症例が多くいます。

 腰椎椎間板ヘルニアに有効なリハビリとは?

筋筋膜性腰痛に関しては腰椎後彎変形により、脊柱起立筋内圧が亢進し、腰背部痛を生じる症例が多くいらっしゃいます。 

腰椎疾患だけでなく、腰椎が後彎変形し、円背が進行し、股関節、膝関節へと負担がくることもあります。

腰椎前彎位を保つ、または後彎位から前彎位へ姿勢を改善させる際に、腰椎前彎の頂点がどのレベルなのかは知っておく必要があります。

 



腰椎前彎の頂点(トップ)が記された論文

下記の論文では腰椎前彎の頂点が記されていました。

2020年のかなり最近の論文になります。

Correlation between the apex of lumbar lordosis and pelvic incidence in asymptomatic adult

Eur Spine J 29(3):420-427.2020                    

Pan C,Wang G,Sun J

無症候性成人における腰椎前彎の頂点と骨盤形態との相関

Abstract/概要

Purpose: The objective of this study was to test the correlation between the apex of lumbar lordosis (LLA) and pelvic incidence (PI) in asymptomatic adults, and to establish predictive formulae based on the PI to obtain the reference values of lumbar sagittal parameters.

【目的】

本研究の目的は,無症候性成人における腰部前彎の頂点(LLA)と骨盤形態(PI)との相関関係を検証し,PIに基づいて腰部矢状面パラメータの基準値を得るための予測式を確立することである。

Methods: A cohort of 183 asymptomatic volunteers older than 18 years was enrolled in this study between April 2017 and May 2019. A full-spine, standing X-ray was taken for each subject. The following parameters in the sagittal plane were measured: the LLA, the distance between the plumb line of the lumbar apex (LAPL) and gravity plumb line, lumbar lordosis (LL), the upper arc of lumbar lordosis (LLUA), the lower arc of lumbar lordosis (LLLA) and the PI. The correlations between lumbar parameters and PI were analysed, and simple linear regressions were simultaneously constructed. The statistical significance level was P < 0.05.

【方法】

2017年4月から2019年5月にかけて、18歳以上の無症候性ボランティア183名を本研究に登録した。各被験者について全脊柱の立位X線写真を撮影した。矢状面における以下のパラメータを測定した:LLA、腰部頂点の垂直線(LAPL)と重力垂直線との距離、腰部前彎(LL)、腰部前彎上弧(LLUA)、腰部前彎下弧(LLLA)、PI。腰部パラメータとPIの相関関係を分析し、同時に単純な線形回帰を構築した。統計的有意水準はP < 0.05とした。

Results: The PI was statistically correlated with the LLA (rs = – 0.595, P < 0.001), LAPL (rs = 0.503, P < 0.001), LL (rs = 0.605, P < 0.001), LLUA (r = 0.354, P < 0.001) and the LLLA (r = 0.658, P < 0.001). The corresponding regression formulae were as follows: LLA = – 0.042*PI + 6.134 (R2 = 0.306), LAPL = 0.448*PI + 26.570 (R2 = 0.279), LL = 0.888*PI – 2.667 (R2 = 0.370), LLUA = 0.272*PI – 2.297 (R2 = 0.126) and LLLA = 0.607*PI + 0.177 (R2 = 0.433).

【結果】

PIはLLA(rs = – 0.595, P < 0.001)、LAPL(rs = 0.503, P < 0.001)、LL(rs = 0.605, P < 0.001)、LLUA(r = 0.354, P < 0.001)、LLLA(r = 0.658, P < 0.001)と統計的に相関していた。対応する回帰式は以下の通りである。LLA = – 0.042*PI + 6.134 (R2 = 0.306), LAPL = 0.448*PI + 26.570 (R2 = 0.279), LL = 0.888*PI – 2.667 (R2 = 0.370), LLUA = 0.272*PI – 2.297 (R2 = 0.126), LLLA = 0.607*PI + 0.177 (R2 = 0.433) であった。

Conclusion: The PI has strong correlations with the LLA, LAPL, LL, LLUA and LLLA, which demonstrates that the specific lumbar shape can be affected by the pelvic morphology. Moreover, predictive models for ideal lumbar sagittal parameters based on the PI have been developed, contributing to the design of precise and individualized preoperative plans. These slides can be retrieved under Electronic Supplementary Material.

【結論】

 PIはLLA、LAPL、LL、LLUA、LLLAと強い相関関係があり、具体的な腰部形状が骨盤の形態に影響されることを示している。さらに、PIに基づいた理想的な腰部矢状面のパラメータの予測モデルが開発され、精密で個別の術前計画の設計に貢献しています。これらのスライドはElectronic Supplementary Materialでご覧いただけます。

 



◆論文の詳細を少し記載します

平均年齢48.4±14.9歳(範囲18~72歳)の健常成人183名(女性91名、男性92名)が参加しました。

LLA(腰椎前彎の頂点)はL4椎体のほぼ中央に位置していた(平均4.2±0.8)。

近位はT12/L1から遠位はL5/S1までの範囲であった。

LAPL(腰椎頂点の垂線)の平均値は47.7±9.1mm、範囲は31.3~86.4mmであった。

この値の範囲は、無症候性の人では、脊椎-骨盤の矢状パラメータが非常に多様であることを示している。

値の範囲が広いことから、無症候性の人では脊柱-骨盤矢状面のパラメータが大きく変化することがわかった。

PIとLL(r=0.605、<0.001)、PIとLLUA(r=0.354、<0.001)、PIとLLLA(r=0.658、<0.001)

という結果であり、予測はできますが、仙骨が前傾していると腰椎の前彎が強くなるということが考えられる。

 



 

apex of lumbar lordosis (LLA):腰椎前彎の頂点

plumb line of the lumbar apex (LAPL):腰椎頂点の垂線

 lumbar lordosis (LL):腰椎前彎角

upper arc of lumbar lordosis (LLUA):上部腰椎前彎角

lower arc of lumbar lordosis (LLLA):下部腰椎前彎角

pelvic incidence (PI):骨盤形態角

sacral slope(SS):仙骨系斜角

 



これらの論文からの知見をリハビリに活かしていく必要があります。

腰椎前彎アライメントを調整していく際に、まず腰椎前彎の頂点(トップ)がL4(第4腰椎)ということがわかりました。

 

両側の腸骨稜を結んだ線がだいたいL4棘突起もしくはL4棘突起とL5棘突起の間になりますので、それを目安にL4の棘突起を触診します。

L4を背側側から腹側側に押しますが、棘突起を押すと痛いので、棘突起の1横指外側の多裂筋がある個所(上記図の水色の丸)を腹側側に押します。

ただ個人差もあることが予測されますので、L3~L5あたりまでアプローチしておく方が良いかもしれません。

この徒手操作を行ったあとに、バードドッグや腹臥位姿勢、背筋エクササイズなどをすると、さらに腰椎前彎位を保持しやすくなります。

今回は、『腰椎前彎アライメントを調整するには腰椎前彎頂点の第〇腰椎をアプローチ』について解説させていただきました。