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『腰椎コルセットを長期間装着すると体幹筋力は本当に低下する?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『腰椎コルセットを長期間装着すると体幹筋力は本当に低下する?』

について解説させていただきます。

 



一昔前から「腰椎コルセットを長期間装着すると体幹筋力が低下する」とよく耳にします。

しかし、実際にそのようなデータや論文、書籍での情報は見たことがありません。

リハビリの養成校時代の先生や、医療機関のリハビリ関連の先輩や、医師などこの事を口にしている人は多くいらっしゃいました。

 



◆腰椎コルセットを使用する疾患

・腰痛(仙腸関節性腰痛、椎間関節性腰痛、筋筋膜性腰痛、椎間板性腰痛)

・腰椎椎間板ヘルニア

・腰部脊柱管狭窄症

・腰椎すべり症

・腰椎分離症

・腰椎手術後

などがあります。

 『非特異的腰痛85%の時代は終わった?』

 『脊椎圧迫骨折や腰痛に対する腰椎装具(コルセット)の種類と特性』

そんな中、下記の論文が「腰椎コルセットを長期間装着すると体幹筋力が低下する?」かを解決してくれています。

菊地臣一先生や紺野愼一先生らの福島県立医科大学のグループからの論文です。

福島県立医科大学は腰痛関連の論文を何本も出しており、メディアにも取り上げられるぐらい腰痛研究の最先端を走っております。

 

◆論文紹介

Effects of long-term corset wearing on chronic low back pain

Naoto Sato 1Miho SekiguchiShinichi KikuchiHiroaki ShishidoKatsuhiko SatoShinichi Konno

Fukushima J Med Sci . 2012;58(1):60-5.

Abstract

There are few studies of the therapeutic effects of long-term corset wearing in patients with chronic low back pain. The aim of this study was to evaluate the effects of long-term corset wearing on chronic low back pain and to examine the myoelectrical activities of the paravertebral muscles. Forty subjects with chronic low back pain were enrolled and randomly divided into two groups: a group wearing corsets for 6 months (CW) group and a group not wearing corsets (NW). The treatment effects were measured using the Japanese Orthopaedic Association (JOA) score. Muscle endurance was evaluated during the Biering-Sorensen test (S-test), and the degree of muscle fatigue was evaluated by the change in percent mean power frequency (%MPF) of the paravertebral muscles. Corset treatment for chronic low back pain improved low back pain and increased muscle endurance for a short period of time. Paravertebral muscle fatigue was not increased by long-term corset wearing for chronic low back pain, and weakening of the paravertebral muscles was not observed up to 6 months after the start of corset wearing.

慢性腰痛に対する長期コルセット着用の影響

概要

慢性腰痛患者における長期コルセット着用の治療効果に関する研究はほとんどありません。本研究の目的は、慢性腰痛に対するコルセットの長期着用の効果を評価し、傍脊柱筋の筋電活動を調べることである。慢性腰痛患者の被験者40名を登録し、無作為に6カ月間コルセットを着用する群(CW)グループとコルセットを着用しない群(NW)に分けた。治療効果は、日本整形外科学会(JOA)スコアを用いて測定した。筋持久力はBiering-Sorensenテスト(S-test)で評価し、筋疲労の程度は傍脊柱筋の平均パワー周波数(%MPF)の変化で評価した。慢性腰痛患者に対するコルセット治療は,短期間で腰痛を改善し,筋持久力を向上させた。慢性腰痛に対する長期のコルセット装着では傍脊柱筋の筋疲労は増加せず,コルセット装着開始後6カ月までは傍脊柱筋の弱化は認められなかった。

 



この研究によると、慢性腰痛患者に対して6か月間、腰椎コルセットを装着しても傍脊柱筋の弱化は認められなかったとされています。

もちろんこの研究1本だけが全てではありませんが、腰椎コルセットの長期間着用でも体幹筋力(傍脊柱筋)は低下しないことが証明されました。

慢性腰痛患者だけでなく、腰椎術後症例でも同じような結果になるのか気になるところではあります。

今回は、『腰椎コルセットを長期間装着すると体幹筋力は本当に低下する?』

について解説させていただきました。